20話 初めての使い魔
17話で〈主従魔法〉の説明のときに従魔のことを書き忘れたので修正しました。
今回で20話目です。
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白い岩だと思ったそれは、翼の生えた馬だった。
自分の目を疑った.........なんてことはない。この世界に来て、今まで何回も変な生き物を見てきたのだ。今さら翼の生えた馬が出てきたところでそこまで驚きはしない。
と、若干クールアピールをしてしまったが、正直ちょっとテンションが上がっている。
だってこれ所謂”ペガサス”ってヤツでしょ? アニメや漫画で幾度と見たペガサスが目の前にいる。
ゴブリンも漫画で何度も見たことあるやろ、とツッコミをもらいそうだが、ペガサスはゴブリンとは訳が違う。白く美しい毛並みに、力強い翼、めちゃくちゃかっこよくないすか? 是非空を駆けるその姿を一度拝見したい。
鑑定してみようか。
「勝手に鑑定して失礼じゃないかな」なんて人間相手には一度も思ったことがないような事を考えつつも鑑定する。
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ペガサス 1億8190歳 男
レベル625
〈スキル〉
鑑定 偽装 身体強化24 気配察知 危機察知 威圧 念話 思考加速12 限界突破
─ユニーク─
攻撃無効 姿隠し
〈称号〉
神の子 泉を創る者 不老不死
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〈攻撃無効〉...人間世界に存在する全ての攻撃を無効にする。
〈姿隠し〉...姿を隠す。
〈神の子〉...神の子に与えられる称号。親の神の力を一部受け継ぐ。
〈泉を創る者〉...泉を創り出した者に与えられる称号。
〈不老不死〉...不老不死の者に与えられる称号。
.........。
バ、バグかな? ...うん、バグな訳ないよね。
1億8000年も生きてんのか。......あ。無意識に190年分を省略してしまう自分に衝撃だ。
ガイア達を鑑定した時もその年齢に驚いたが、ペガサスは神と違ってそんなに長生きなイメージはなかったから余計に驚くな。
〈不老不死〉の称号でまた更に驚かされる。不老不死なのかぁ。流石は(地球では)伝説上の生き物だな。
レベルが異様に高いのもその為だろう。
〈攻撃無効〉に関してはチート。チートとしか言いようがない。
なんだよ全ての攻撃を無効にするって。なろう系の主人公か。
そして気になるは〈神の子〉。
神の子だってよ。誰の子なんだろう。この世界にはオリンポス十二神以外にも沢山の神がいるらしいから俺の知ってる神ではないかもしれないが。
《ペガサスはポセイドンの子です》
うおっ、びっくりした。
ポセイドンの子なのか。ポセイドンは馬の神でもあるらしいし、納得はできるな。
ポセイドンの子どもなら空を飛ぶんじゃなくて海を泳げるようになれよとツッコみたい気もするが、言わないでおく。
その時、ペガサスが目を覚ました。
気持ち良さそうにゆっくりと起き上がる。
しかし、側にいる俺を見ると低く嘶き距離をとり、そのまま俺を威嚇した。
それと同時、ペガサスへの恐怖によって体が動かなくなる。ヤバい、チビりそう。
〈威圧〉を使ったのか。かろうじて残っている理性でそれに気付く。格下にのみ効果をみせる〈威圧〉。まともに戦ったら俺に勝ち目はないということ。いや戦う気はないが。
俺は気を張って体の硬直を解き、間一髪で襲ってくるペガサスから身を避ける。
「ストップ! ストォーーップ!! 攻撃するつもりはないから!」
当たり前だが通じる筈がない。ペガサスは避けられたことに驚きつつもまた襲ってくる。
泉を挟んで俺の反対岸にいるネリーとリクはこちらに気にかける様子もなく談笑している。助けは期待できないだろう。
くそっ、あいつら後でお仕置きしてやるっ!
そんな理不尽なことを考えながらもこの猛り狂ったペガサスにどう対処するか頭を回す。〈並列思考〉便利。
そういえば三叉の矛を馬に見せたらその馬は俺に忠誠を誓うとか言ってたな! いや誰かが言ってたんじゃなくて鑑定...なんて言ってる場合じゃない、馬じゃなくてペガサスだから通じるかわからないけどやる価値はある。 三叉の矛、召喚!
三叉の矛を召喚し、ペガサスに見せる。
すると、ペガサスは襲ってくるのを止めて膝を折る。跪くようなポーズだ。
三叉の矛が効いたのかな?
『失礼いたしました。安眠を妨げられたことで少々盛ってしまいまして』
いや俺が居てもぐっすり寝てただろ。俺は喉まで出てきたその言葉を慌てて飲み込む。
こいつ〈念話〉持ってたんだっけか。称号とかに驚いてて気が付かなかった。
それにしても流暢な人間の言葉(ガイア語?)を話すな。長く生きていたからかな?
「ああ、いや大丈夫だよ。ごめんな、寝てる時に近付いて。ペガサスというものを初めて見たものだから」
『なるほど。確かに私は人の住む地にはあまり行きませんからね。ところで、貴方は三叉の矛をお持ちのようで。父の寵愛を授かっているとお見受けしますが』
「そうだよ。この世界に転移してきたときに貰ったんだ」
『作用でございますか。では、父の寵愛を授かった貴方に私の忠誠を誓わせては戴けませんか?』
急ですな。三叉の矛を見せたからだろうか。
『三叉の矛で忠誠を誓ったのではありませんよ。そこらの馬とペガサスを同類に思わないで下さい』
「ごめんなさい」
だそうです。今の言葉はちょっと怒気をはらんでいた。怖い。
ペガサスにとって自らの親の寵愛を授かった人間というのは偉大なものらしい。
ポセイドンが今まで誰にも授けなかった寵愛を授けた俺というのはそれほど信頼できる人間と判断して、従魔になりたいとな。
「いや、俺はいいけどさ。いいの? 逆に」
『勿論ですとも』
こうしてペガサスが従魔になりました。
主従魔法を持っていてよかった。一応代理で従魔契約をしてくれる店はあるのだが、「このペガサスと従魔契約を結ばせてください」なんて頼みづらいったらありゃしない。
ペガサスペガサスと、いつまでも種族名で呼んでいるのも嫌なので、名前をつけることにした。......この感じ、デジャヴだな。ソフィアさんの時か。あの時俺をからかったネリーにはまだお礼をしていなかったな。俺がペガサスに殺されかけてた時に談笑してた分にプラスして、とっても良いことをしてあげよう(悪い顔)
「お前の名前はペルだ」
『ありがとうございます』
3秒くらい悩んだ末、ペルと名付けることにした。良い名前だろう?
リクたちの所へ戻る。
二人は突然のペガサスに凄く驚いていたが、それ以上に馬車の馬たちが驚き恐れ戦いていた。そりゃ自分たちの最終進化系みたいなのが現れたら驚くわな。
帰る時にペルに乗ってみたかったが、俺が乗ると馬車を動かせる人がいなくなるので今回は諦めることにした。
かといって二人にも乗らせない。一番乗りは俺だ。
ペルは普通の馬より断然大きいので3人くらい乗れそうなのだが、一番乗りは俺だ(断固)。
馬車に乗るはずもないのでペルには飛んでもらうことにしたのだが、それはもう凄かった。
畳んでいるとわからなかったが、その翼は非常に大きく美しい。
悠々と飛ぶ姿は本当に格好いいな。俺なんかがこいつの主でいいのだろうか。
普段は〈姿隠し〉で姿を隠して飛んでいるらしい。
音も匂いも存在感も完全に消すスキルで、これがないと人間たちに見つかって色々と大変らしい。
それほぼハデスの兜やん。一人(一頭?)でポセイドンとハデスの力を持ってるとかチートやな。かくいう俺も人のこと言えないか。異能最高、神様あざす。
今ポセイドンの力を持っていると言ったが、称号の〈神の子〉の説明にもあるようにポセイドンの力を一部受け継いでいるらしい。
水を操ることはできないが自由に生み出すことができたり、地震を起こせたり、水中でも問題なく生活できたり。泉を生み出す力もその応用だそうで、さっき側で眠っていた泉も自分で生み出したものらしい。
空を飛べるかと思ったら水中もOKとは。水陸両用ならぬ水陸空両用。超ハイスペックじゃないですかペルさん。
そんなペルよりも強くなれるよう頑張らなくては。そう思わされる。
ここトロイア王国の王都には強い冒険者が集い、魔物も強力なものが多いらしい。
近いうちに行ってみようか。拠点を王都に建てるのもいいかもしれないな。
ペガサスは元々、ギリシャ神話の生き物です。
意外と知られていなかったりするので、友達に「ペガサスってギリシャ神話の生き物なんだぜ。ついでに言うと星座の名前とか惑星の名前は大抵ギリシャ神話が由来なんだぜ」と自慢してやりましょう。
アニメや漫画で「ペガサス」として登場する生き物の中には翼と共に角が生えたものがいます。
事実、「ペガサス」と画像検索すると翼と角のある摩訶不思議な動物のイラストが出てきますが、これはペガサスとは全く違う生物です。
ペガサスとは別に、角の生えた「ユニコーン」という空想の生き物がいます。ユニコーンはキリスト教において語られる聖獣で、ギリシャ神話のペガサスとは一切関係ありません。
角など無く、翼が生えているのがペガサス。
翼は無く、角だけが生えているのがユニコーン。
これを脳に刻んでおきましょう。
そして、アニメなどで翼と角の両方が生えた変な生物を「ペガサスだ」とのたまっているのを見つけたら、「このアニメの作者、監督はちょっとした下調べもせずに曖昧な知識でアニメを作ったんだな」「このアニメの作者、監督は中途半端な思いで適当にアニメを作ったんだな」と、そう判断してすぐにチャンネルを変えるよう心掛けましょう。
以上、ギリシャ神話のことだと少し熱くなってしまう作者でした。




