16話 ちゃんとした武器が欲しい
12話からまだ一日も経っていないという衝撃。
更に現実の時間では8ヶ月半も経っているという衝撃。
晴れてB級冒険者になった俺たちは、その足で武器や防具を買いにいくことにした。
B級冒険者が兵士の予備の剣とゴブリンの剣(リク用)なんて悲しすぎる。
ギルドの近くにあるという、装備品の専門店へ歩く。
ギルドマスターがおすすめする店だから間違いはないだろう。
店が見えてくる。老舗の店という感じで趣があるな。
店の中へ入ると、髭の生えたおっちゃんが迎えてくれた。
「いらっしゃい。この店は初めてかい?」
「あぁ、ギルマスに勧められて来たんだ。冒険者ランクもB級に上がったから、いい加減装備を調えようと思ってな」
「B級? 若いのにすげえな」
優しそうなおっちゃんでよかった。まぁ愛想の悪いおっちゃんでも「冒険者御用達の店」感があってそれはそれでいいかもしれないが。
店の中は結構な広さがあり、装備品も沢山ある。ポーションのようなものもあるな。
俺は鑑定スキルを持ってるから適当に鑑定しつつ選ぶとするか。
「リク、前に話した〈共有〉で〈鑑定〉を共有しとくから、鑑定して好きなの選んでよ」
「わかった」
おっちゃんに聞かれないよう小さめの声でリクに伝える。
さて、いいのがあるかな。
30分後
いやー、なんだかんだ30分も経っちゃったね。
文房具屋とか服屋とか行くとさ、買う当てもないのに何分も何分も店をうろついちゃうタチなんだよね。わかる?
異世界でちゃんとした店に入るの初めてだし、時間忘れて見てまわっちゃったよ。
服もユノん家のメイドさんに見繕ってもらったから。
気になるものがいくつかあった。ドン!
ミスリルの剣
分類 剣
レア D
備考 ミスリル製の剣
青銅の剣
分類 剣
レア C
備考 青銅が少量使われた剣。切れ味が良く、壊れにくい
ウィンドバードの弓矢
分類 弓・矢
レア C
備考 ウィンドバードの羽が使われた弓と矢。飛距離が長く威力も高い
こんなもんかな。
ミスリル製の武器は何個もあったから珍しいものではないのだろう。
でもミスリルだよ? 異世界ファンタジーの鉱石の代表格。気になっちゃうよねぇ。
そして青銅の剣。青銅というと武器に向いていないイメージがあるが、この世界では違うようだ。
青銅は豊富な魔力が含まれている希少金属で、武器や防具として重宝されているらしい。
なんでも、天から神が落とした金属だと言われていて、ほんの少し武器に混ぜるだけで性能が大きく変わるんだと(エンシーさんいつもあざす)。
あとでヘパイストスに訊いてみよ。
これから仲間も増やしていきたいと考えているので、一人くらい弓を使う人がいてもいいように、店にあった弓で一番良さそうなものを選んできた。
ウィンドバードはBランクの魔物で、その羽は素材として大変喜ばれるそうだ。
「リクー、俺は選び終わったよー」
「わかったー」
リクも良さそうなものを選び終えたようだ。
リクが持ってきたのはあまり特徴のない短剣だった。
「こんなのでいいのか?」
「なんか端においてあったこの短剣が気になっちゃって」
まぁリクがいいならいいんだけど。
メイン武器が短剣というのもあれだから、俺が選んだミスリルの剣をリクに使ってもらおう。
防具も適当に見繕ってもらい、金を払って店を出る。剣を提げるベルトはサービスしてくれた。
装備も調えたことだし、一旦帰るか。
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顔パスでユノの屋敷へ入る。
屋敷の庭に行くと、ユノが紅茶を啜りながら寛いでいた。
そして側にはエーファーが。あの二人は専属騎士とか抜きにしても仲が良さそうだ。
しかし...、庭で紅茶飲むとか優雅だなぁ。
「あ、お帰りですか」
「ああ、今日は濃い1日だったよ」
今日は朝から冒険者ギルドに出掛けて冒険者登録をした。
その後そのまま依頼を受けて、ついでにオーガ達を殲滅し、素材をギルドに持ってったらめちゃくちゃ驚かれた。
そしてB級昇格試験を受けて無事B級に上がり、
6000万もの大金を手にした。
帰りに武器や防具を買い、今帰ってきたと。
「確か、冒険者登録をしたんですよね?」
朝出掛ける時にさらっと言ったことを覚えてたのか。良い子だなぁ。まぁ一つしか違わないんだけど。
「そうだ。そのまま依頼を受けて、帰ってきてから昇格試験をして、武器買って。本当に忙しかったよ」
「大変ですね。夕食は豪華にするよう伝えておきます」
「おお、助かる」
俺がユノと楽しく会話をしていると、いきなりエーファーが食いかかってきた。
「なんだとぉぉおー!!?」
「なんだようるせーな。ユノの良い子っぷりを見習え。大体年下なんだから敬語で話せ」
「誰が貴様なんぞに敬語で話すか!」
えぇ...。俺命の恩人なんですが。こいつに嫌われることしたかな? 平民な俺がユノに対して普通に接してるのが駄目なのだろうか。
「そんなことよりもだ。今昇格試験と言ったな? 昇格試験はB級からなはずだが?」
「そうだよ。だからB級の昇格試験を受けたんだよ?」
何を言ってるのだろう。
「下らない嘘をつくな。あのS級冒険者殿でさえ一週間掛かったものを、お前が一日かからずに達成できる筈がない」
俺は無言でギルドカードを出す。
「ん? ギルドカード? ......なっっ!?」
「ほれみろ。本当だろ?」
「初日でB級! す、凄い!」
話を聞いていたユノもギルドカードを見て一緒に驚く。
「何をそんなに驚いてるんだ?」
「初日でB級に上がった冒険者なんて今までいませんよ!? なんで平然としていられるんですか!」
「ん? また俺なんかやっちゃいました?」
「あ?」
「ごめんなさい」
やばい。今の「あ?」には純粋な殺意が篭っていたので、つい反射的に謝ってしまった。
気持ちはわかる。俺もそんな事言ってくる無自覚系チート主人公が居たらぶん殴る自信があるが、今のは普通に怖かった。
でも一回言ってみたかったんだもの。しょうがないよね。だからブックマーク解除しないで下さいお願いしますマジで。
「なんでもないですごめんなさい。だから剣の柄に添えた手を離して下さいエーファーさん」
「? ああ、つい斬るところだった」
怖。まぁ多分避けられるけどね。
「B級冒険者になったというのは驚きましたが、コーキさんのことだから信じてしまいますね。疲れたでしょうから、お部屋で休んでいて下さい。夕食の時間になったらメイドに伝えさせますので」
「悪いな」
部屋に戻り、ベッドに身を預ける。
「ふわぁぁ、やっぱりこの部屋は居心地がいいな。いっそここに住もうかな」
「駄目だよ迷惑かけちゃうし」
「早く拠点探さないとなー」
武器や防具を外してアイテムボックスに入れる。
あ、ヘパイストスに訊きたいことがあったんだっけ。
『もしもーし、ヘパイストスさーん? コーキですけどー』
............
『もしもーし』
............
『おーーーい!!!』
『...ん? なんだ?』
『あ、やっと答えてくれた。コーキだよコーキ。訊きたいことがあって』
『コーキか。悪ィ悪ィ。鍛冶をやってると念話がきても気付かないんだ。で、訊きたいことってなんだ?』
『今日武器を買ったんだけど、青銅製の剣があって。青銅って武器に使うイメージないから気になってエンシー...〈全知〉に訊いてみたら、青銅は神が落とした金属で超強いって言ってたんだけど、本当に神が落としたの?』
『あー、まぁそうだな。わしが武器を作るとき、たまに青銅を使うんだが、そん時にできた切れっ端というか残りカスというか、それを下界に捨てるんだ』
『神にとっては残りカスでも人間にとってみたら凄い魔力って訳か』
『そういうことになるか。お前さんが武器を作るようなことがあれば、神界の青銅を送ってやってもいいぞ』
『んー、今んところ予定はないけどその時は頼むよ』
『ああ。じゃあな』
神は規格外だということがわかりましたね。
コンコン
「コーキさん、リクさん、夕食ができましたので食卓へお越しください」
「あ、はーい、ありがとうございまーす」
メイドさんが夕食ができたと知らせてくれる。思ったより早いな。
今日は夕食食べて風呂はいって寝ますか!
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リク
〈スキル〉
鑑定new
「また俺なんかやっちゃいました?」
まだ総合ポイントが100とちょっとしかないひよっ子投稿者が、超有名作な「賢○の孫」に喧嘩を売る暴挙に出ました。
何か言われても「なんかやっちゃいました?」ととぼける予定なのでダメージはありません。




