15話 リクくんにスポットライト
リクは無口だし影薄いですよね。
そういうキャラ設定にしたので上手くはいっているのですが、書いてて存在を忘れることが多々あります。
リクの昇格試験が始まる。
リクは俺が使っていた剣を使うようだ。そしてギルマスと五メートルほど離れて向かい合う。
「ルールはさっきと同じだ。好きなタイミングでかかってこい」
「わかりました」
試合は始まったのだが、まだ両者動かない。ギルマスは初手をリクに譲るようだったので、リク次第なのだが。
リクは気が弱いから、人間相手に剣を振るうということに躊躇しているのかもしれない。
と、その心配は無用だったようだ。
「うおおぉーー!」
リクが声を上げて斬りかかった。
威勢はいいものの、俺と違いあまり魔物と戦った経験がないため〈剣術〉や〈身体強化〉のレベルは低い。
すぐにかわされ、よろける。
うーん、やっぱりリクは勝てないかなぁ。離れて魔法で戦えばまだ......って、あ。
せめて〈全魔法〉だけでも共有しとくんだった! 魔法がなくても〈ガイア〉でなんとかなるか?
訓練場の床や壁は石だ。〈ガイア〉を使えば操作できるのだが、リクがそれに気付くとは限らない。
リクがよろけた隙にギルマスは背中に回り込み、無防備な背中に剣を......
その時、訓練場の床から石の壁が生え、剣を防いだ。
「なっ!?」
「...え?」
ギルマスが驚きの声を上げる。リクも同じく...なんでリクも驚いてるんだよ。
「あっ!」
リクが何かを思い出したようにそう言った。
そういえば前もあったなこんなこと。オーガキングの手足を木で縛ったように、無意識に訓練場の床を動かしたのだろう。そして〈ガイア〉を使えることに気がついた。
リクは慌てて距離を取り、構える。
取り敢えず壁で攻撃を防げることがわかったが、どう攻撃をすればいいのか。
魔法は使えず剣でも勝てない。かといって〈ガイア〉を使おうにも石は木のように柔軟な動きはしないため手足を縛るようなことはできない。
その時、リクの足元の床が動きだし、拳大の石ころがいくつかできた。
そして、リクはそれを投げる。
なるほど。石を投げるというのは有効かもしれない。距離を詰められたら終わるが、壁を作って阻害できる。そしてなにより〈取得経験値100倍〉と〈必要経験値1/10〉があるのだ。
石をいくつか投げる内に、どんどん精度が良くなり当たる回数も増える。
何度も「投げる」ことを繰り返したため、投擲スキルを得たのだろう。リクは今、何千回、何万回も石を投げたのと同じ経験値を得ている。
「くっ!」
ギルマスは避けることに必死で攻撃の暇がない。
リクは床から先が尖った槍のような形状の棒を生み出した。某鋼の錬○術師みたいでかっけー。あれやってみたい。
それを投げ槍の要領でなげ......ようとしたところで動きが止まった。
まだ一時間経っていないので〈硬直〉は使えないはずだが...、〈威圧〉か!
〈威圧〉は格下に使うことで効果を発揮するスキル。リクは異能を持ってはいるものの素のステータスや戦闘経験では明らかにギルマスに劣る。
幸い(異能を含めた)力の差はそこまで大幅なものではなかったらしく、気絶などはせずに短時間の硬直で済んだようだ。
しかし、その隙を逃すギルマスではない。
一瞬の隙をつき素早く距離を詰め、リクの喉元に剣先をつきつけた。
「こ、降参です」
硬直が解けたリクは両手を上げそう言う。
「ふぅ。危なかったな。石を投げるとは一瞬幼稚だと思ったものだが、大分追い詰められてしまった」
緊張が解け、大きく息を吐くギルマス。
幼稚...というか、飛んでくる石から逃げ惑うギルマスは中々滑稽でしたよ(笑)
まぁ口には出さないが。
「〈威圧〉は失禁させることもあるから使わないでおこうと思っていたが、杞憂だったようだな」
確かに知り合いが失禁する姿は見たくないな。
俺たちが話していると、リクが不安そうに言う。
「あの...、僕は不合格でしょうか?」
俺と違い試合に負けてしまったリクは受かったか心配なのだろう。
だが...
「何を言っているんだ。合格に決まっているだろう? あそこまで俺を苦戦させた者は中々いない。〈威圧〉の発動が一瞬遅れていたらお前が投げた槍で致命傷だった」
「あ、ありがとうございます!」
あの試合で不合格というのはありえないよな。
「でもお前、対人の試合でよくあんな槍使おうとしたな」
「...?」
「だってあれめっちゃ尖ってたじゃん」
「当たったら致命傷だったな」
「せめて先を丸くするとかねぇ?」
ギルマスも言っていたが、あんな「THE 槍」を身に受けたら致命的だ。
「あ...」
もし投げていた時のことを想像したのか、リクが青ざめる。
「ま、終わり良ければ全て良しって言うし、晴れてリクもB級だ。ユノたちに自慢しようぜ!」
「う、うん、そうだね!」
リクは純粋だなぁ。ひねくれた俺にその純粋さを分けて欲しい。
「しかし、石の壁を作ったり床から槍が生えてきたり、あれはなんなんだ? 土魔法に似ているが、槍のような細かいものは作れないはずだ。そもそも石は操れないだろう?」
ギルマスがそう尋ねるのに対し、
「ただの普通な土魔法ですよ」
リクが冗談めかして答える。
この世界に来たばかりの時と比べ、リクは少し明るくなった気がする。
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「これが新しいギルドカードだ」
訓練場から出てさっきの部屋に戻ると、早速B級冒険者のギルドカードを渡された。
「一週間したらまた来てくれ。まぁ丁度一週間後でなくてもいいのだが。A級昇格試験も受けるのだろう? 今回とは少し違う内容だから精々楽しみに待っていることだな」
どんなテストなんだろう。ランクAの魔物を倒すとか? まぁお楽しみにしておくか。
あと忘れかけてたけど、素材の買い取りも頼んでたんだよな。
「そうだな。纏まった金が手に入ったら受けてみることにするよ」
「がっはっは、心配しなくても渡してやる。ゴブリン討伐の報酬金、オーガの素材の買取金、オーガジェネラルとオーガキングの懸賞金、合わせて白金貨60枚だ」
俺が遠回しに促すと、「がっはっは」と、俺が予想した通りの笑い方をしながら金貨の入った袋を渡してくる。
「白金貨60枚!?」
リクが驚きの声を上げる。
......えー、白金貨って一枚何ヘルだっけ。
《...白金貨は一枚100万ヘルです。60枚だと6000万ヘルになります。日本円で表すと約6000万円です》
なんだ最初の間は! 貨幣価値も覚えてない俺に呆れたのか!? 呆れたんだろ!
《...呆れてはいません》
だから最初の間はなんだ! チクショー!
「どうした。驚いて声も出ないか?」
いや違うんです。エンシーの所為なんです。
しかし...
「6000万か...」
冷静に考えると6000万てめちゃくちゃな大金だよな。てかオーガの素材ってそんなに高いのか? せめて数百万だと思っていたんだが...。
「オーガの素材ってそんなに高かったんだな」
「オーガは角と魔石、革が高く売れるな。それにオーガジェネラルやオーガキングの素材や装備は更に高いぞ」
確かに、オーガキングは無駄に立派な装備つけてたからな。
「だが高く売れた理由はそれだけではない。ギルドの職員が驚いていたぞ。『こんなに綺麗に解体された魔物は見たことがありません、保存状態も完璧です』とな」
あー、アイテムボックスは自動で解体してくれるし、時間停止もできるからなぁ。
「あれもお前たちが解体したのか?」
「まぁそうだな。一応」
「全く、剣も使えて魔法も使えて解体もできて、おまけにあの不思議な力まであるときた。お前たちのスキル構成を一度覗いてみたいものだ」
本当に、異能とアイテムボックス様々です。そして神様様々です。「神様様々」って何か変だな。
「今回はお前たちへの先行投資ということで少し多めの金額で買い取らせてもらった。この街に強力な魔物が攻めてきたりしたときには宜しく頼むぞ」
そう言って俺の肩を叩くギルマス。
......先払いはズルい。
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リク
レベル14→15
〈スキル〉
投擲3new
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さぁ始まりました、不定期開催、ギリシャ神話の豆知識コーナー!!ハ(^▽^*) パチパチ♪
このコーナーでは、ギリシャ神話に関する豆知識をいくつか紹介します。
家族や友達、会社の同僚に教えて上げるのもいいでしょう!
・日本でたまに「カオス」という言葉を耳にするが、この「カオス」はギリシャ神話が元。ギリシャ神話では「カオス」は宇宙にある巨大な空洞で、そこからガイアが生まれたとされている。
今回は以上です!では、また来週!(別に次回は来週ではありません。雰囲気です)




