黒パンスト着用が校則に明記された理由
「同士諸賢!黒パンストは好きか!?」
「おおお!!!」
「いよいよ黒パンストの季節が来た!我々は全力を尽くし!女子の黒パンスト着用を求めるものである!」
「賛成!賛成!」
教室には二人。
熱弁を振るう少年と、力強く賛同する少年。
二人きりで騒いでいた。
「…まだやってるの?早くかえろーよ」
教室のドアの脇で待っていた派手目の化粧をした少女が、二人に向かって話しかける。
「…黒パンストを穿かない異端者よ!貴様に発言権はない!」
「凛も、かずも、すげえイケてるのに、めっちゃキモスだよね~。わたしは、そういうの好きだけど」
楽しそうに笑う
凛と、かずと呼ばれた少年達は気にせず、また
「まずは生徒会長に、校則の改定を求める!既に意見書は出した!明日、いよいよ生徒会に乗り込むのだ!!!」
「おーーーー!!!」
楽しそうに少年がハシャぐ。
「かずちゃん。おそうじ、おわったから、かえろう?」
教室に違う少女が入ってくる。
「をを!黒パンストを!素晴らしいな!かず!お前の彼女は天使だ!最高だ!」
「みーちゃん。穿いてくれてるんだ」
「うん♪かずちゃんが好きなら、わたしも好きだよ」
二人は恋人だった。
そして
「沙樹!お前も美香を見習って黒パンストを穿いたらどうだ!」
「嫌だよ。わたしは、凛の顔とち○こに惚れただけだからね。キモスな要望を聞く気はないでーす」
この二人も恋人だった。
「沙樹さん!妄言をはきました!俺は本当に黒パンストが大好きなんです!マジで穿いてください!」
土下座する凛。
沙樹はケラケラ笑いながら
「本当に面白いよねー♪凛。そういうところ大好き♪じゃあ黒パンスト買いに行くかい?」
「ありがとうございます!ありがとうございます!早速行きましょう!沙樹さん!鞄持ちます!」
鞄を持ち教室を出る凛。それをケラケラ笑いながらついて行く沙樹。
「僕たちも行こう?」
「うん♪わたしたちも、デートしたいなぁ」
「じゃあ、ついて行こうか?」
「さーんせー♪」
かずと美香も教室を出た。
4人が騒いで出て行った教室に二人の少女が入る
そして
「…ああああああ!!!!!なんで凛様はあんなゲロクソビッチと付き合って!かず君はあんなヤンデレメンヘラサイコパス女と付き合っているの!!!?」
「かいちょー。もう諦めましょうよー」
「私が悪いの!?私の育て方が悪いから、可愛いかずくんが、あんなヤンデレメンヘラサイコパス女に引っかかってしまったの!?」
「弟さんはショックでしょうけど、まあ良いじゃないですか」
「良くないわよ!結婚したら、あれが妹になるのよ!?あいつかずくんに何通手紙出したと思う!?このメール時代に500通よ!?かず君と私が触れただけで、真っ青な顔になって、消毒液を私の顔面に吹きかけるのよ!あいつ頭おかしすぎるから!」
「ま、まあ、それはちょっと」
会長と呼ばれた少女は、かずの姉の生徒会長でもある綾宮。
もうひとりは副会長の高梨だった。
「凛様だって!最初に声をかけられたのは私よ!なんであんなゲロクソビッチが横から攫ってるのよ!」
「ち○こで選んだって言ってましたね」
「ゲロクソビッチが!!!」
片思いの相手と、実の弟が仲良く、お互いの彼女達と過ごしている。
それがまた腹立たしい。
「二人とも性格破綻者なのに!なんで長続きしてるのよ!別れろよ!もう一年経つぞ!」
「…わたしも不思議なんですけどねー。なんか波長が合うんでしょうね。不思議ですね」
「なにが合うんだ!黒パンストか!?」
「じゃないですか?仲良く買いに行くぐらいですし」
「黒パンストだったらなんでもいいのか!?だったら全員黒パンスト着用させてドチャクソにしてやろうか!?」
「ああ、そうだ。生徒会の投稿に入ってた『校則に黒パンスト着用を義務化』って要望、絶対凛さんですよね」
「よし!じゃあ!そうしよう!」
「正気です…?まあ、いいや。楽しそうですね」
結果、黒パンスト着用が義務となった学校が誕生した。