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慣れてきまして

だいぶ期間が空いたから忘れてる人多いよね、前回読んで

 あたし達がグラントラスに来てどれくらい経ったんだろうか···


「···」

「サユミ、どうかしたのか?」

「···別に、なんでもないわよ」

「そうか」


 魔族の襲撃から数日、向こうからのアクションはそれ以降なくあたしと徹は魔王─レンドハグウスを倒す為のスキルアップをおこなっている


「···で、今回のクエストはなんなのよ」

「今回のクエストはいつも通り魔物の討伐ですね」

「確かにその地域は魔物が出やすいからな」

「普通の場所じゃないの?」

「そこにはポーションの材料となるキノコが生えてるんだ、大量に生えるから行商人や冒険者がよく行くんだがいかんせん魔物もそのキノコを欲しているんだ、魔物が生で食えば魔力の増幅が期待されるからな」

「お、じゃあそれ徹に食わせたら魔力が付くんじゃない?」

「ただそのキノコは人間が生で食べると猛毒なんです、いくらトオルさんとはいえさすがにそれは···」

「···てかさ、徹なんでここにいないのよ」


 今回のクエストにパーティーのリーダーである徹はこの場にいない、さっきまで一緒にいてクエストの申請もやってたのに


「トオルさんは今回ソロで別のクエストに挑むみたいです、なんでもこの前ので魔物をギリギリ倒さない特訓をするんですって言ってましたよ」

「あっそう」


「···」

「ガァアアアアアアアアッ!!!」ドドドド···

「···」グッ···


「それならベルも徹の方に行けばよかったんじゃない?そしたら自分の特訓にもなるし」

「そう頼んだんだがトオルにサユミのことを頼むって言われてな」

「うぅ···私女神なのに信用されてない···」

「まぁあんたいても魔法効かないやつが来たら終わりだもんねあたし達」

「言われてみるとそうだな、ウルにもサユミにも近接戦闘の心得はないもんな」

「···これあたしも徹にケンカのやり方とか教わった方がいいのかしらね」

「さっちゃんさんが近接も鍛えたらそれなんてチートじゃないですか」

「あ、やっぱ楽したいからやめよ」

「諦めはやいな」

「···あ、二人ともそろそろ着きますよ!!」

「じゃあベル、今日指揮頼むわよ」

「私か···何気に指揮を執るのは初めてなんだよな」

「そうなんですか?」

「前線で戦ってたらいつの間にか単独になっていたからな」

「あぁー···」

「サユミなんだその反応は」


 数時間後···


「"インパクト"」バァンッ!!!

「···コレで全部ですかね」

「おそらくそうみたいだな、感知できる範囲には強い魔物はいないみたいだ」

「じゃあこれでクエストクリアって事でいいんじゃない?」

「そうですね、では報告しに行ってマノウハルスに戻りましょうか」

「おー」


 思ったよりも簡単にクエストを終わらせて依頼主に報告してギルドに戻ることに、···うん


「···ねぇウル」

「なんですか?」

「あたしと徹ってさ、戻った時の時間ってどうなってんの?」

「時間ですか?」

「だってこっち来てからそろそろ一ヶ月近く経つじゃない?」

「あ、そこは大丈夫です、さっちゃんさん達の世界とこちらの世界では時の流れ方が違いますし、二人には体の成長を止める魔法がかかっていますので」

「···それってこっちに来た時に自動的にかかるもんなの?」

「詳細は私もよくわかりませんがおそらくそういう事だと思います」

「なんてわかんないのよ」

「異世界から召喚するの初めてなもんで···」

「あんたそんなリスク高いのをあたし達で試すんじゃないわよ!?」

「まぁ落ち着けサユミ」

「落ち着けるか!!ポンコツ女神の召喚であたしよく生きてたな!?」

「ポンコツポンコツって何度も言わないでくださいよ!!」

「ウルも泣くな」


「···ではこれでクエスト達成の手続きは終了です、サユミさん、ウルさん、ベルさんお疲れ様でした!!」

「ありがとアンジー」

「···ところでウルさんどうしたんですか?」

「あー···ほっといていいわよ」

「ポンコツって···私女神なのに···」


 ギルドで正式にクエスト達成の手続きをやって報酬を受け取る、最初は徹がやってるけど今はあたしでもできるようになった···あたしもこっちに染まりつつあんのか


「···そういやまだ徹は帰ってきてないの?」

「トオルさんならサユミさん達が戻ってくるちょっと前に戻ってきてまた別のクエストに向かいましたよ」

「えっ!?もうですか!?」

「はい、なんでもまだ調整ができないって言ってましたよ、コレがトオルさんの受けたクエストです」

「···さすがにこれソロでやるのは厳しくないか?」

「私もそう言ったんですが、"これは僕の特訓だから"って」

「···」


 魔族の襲撃があってから徹が変わったような気がする、お人好しには変わりないけどなんかより一層それに拍車がかかったというか···


「···サユミ、どうかしたか?」

「ん?あ、いやなんでもないけど···それよりウル、この後どうすんのよ」

「じゃあスキルポイントの振り分けしましょうか」

「じゃあ私は先に戻ってメルの様子を見てるな」

「あーい」


 次のクエストがないみたいだからあたしとウルはギルドのテーブル席で、ベルは一旦家に戻って妹の様子を見に行ってとそれぞれ別行動をする事に


「"開示"」ヴォン···

「···おぉ、最初の頃と比べたらだいぶレベルも上がりましたね」

「そうなん?」

「前よりも魔力の量が増えていますし、おまけにその他の数値もだいぶ上がってるじゃないですか」

「ほーん、自分じゃわかんないけど」

「"ダークインパクト"をそのレベルで使える時点でわかると思いますけどね···」

「あ?」

「なんでもないですごめんなさい」

「···」


 ···結局その日は徹がギルドに戻ってくることは無くあたしとウルもベルの屋敷で休むことに


 翌朝···


「···ちゃん、さっちゃん」

「んー···ぁによこんなあさから···」

「朝ごはんできたって」

「···ん!?」

「うわ何どしたの」

「徹!?あんたいつ帰ってきたの!?」

「いつって今さっきだよ」


 眠ってるところを徹に起こされるのなんていつぶりだろうか、昨日いなかった徹が朝になって帰ってきていた、それにしても昨日連チャンでクエスト行った割には徹から疲れを感じない、ベルから割り当てられた部屋にあるベッドは普通のベッドのはずなのに···


「···あんたもしかして寝てないの!?」

「えっ寝てるよ普通に」

「嘘言うな!!あんた今さっき帰ってきたって言ったじゃない!!」

「あれ?」

「···あんたほんと自分の体大事にしないとダメじゃない···!!」

「···それはそうなんだけどさ、やっぱり···」

「"やっぱり"もクソもないわよ!!!あんたそれで自分があの時どうなったかわかってんの!?」

「···わかってるって、ほら早く着替えて来ないとウルさんが全部食べちゃうよ」

「あ、ちょっ···」


 ···部屋から出ていく徹の後ろ姿はまるで何か大きな責任を背負っているかのように重々しいものに見えた


「···っとにあのバカ、また死にかけたらどうすんのよ···!!!」


 結局あたしが行った頃にはほとんどウルに食われてた、あんたどんだけ食うのよその体で···


「···さて、今日はなんのクエストを受けましょうか」

「トオルは今日一緒なのか?」

「うん、さすがに今日ソロやると体力的に死ぬし」

「だったら屋敷で休んでろ」


 今回は徹もパーティーに参加してクエストを受けることに、···ソロとかあんたいつの間にそういう言葉使うようになったのよ、こっちに来て過ごした時間あたしと同じなのになんでそんなに適応してんのよ


「そういえばお二人共そろそろ次のランクに上がりますよね?」

「いや知らんけど」

「じゃあ今日はこのクエストにしましょうか」

「···え、それ大丈夫なやつ?」


 ウルが示したクエストはアイテム収集がメインのもので収集する物は名前を見る限りだとまたなんか難しそうな物っぽい


「何よこれ」

「武器の素材となる物ですね、ただ···」

「これの落ちている場所は中級ダンジョンになるな」

「ベルさん知ってるの?」

「あぁ、エーラ山っていうグラントラスに聳える山の一つで標高は三千メートル程の小さい山なんだが···」

「ちょっと待て、三千が小さいの!?」

「あぁ、一番高い山は八千メートル程のが知ってる限りで二つあるんだ」

「さっちゃんさん達の世界ではあまり大きな山とかありませんもんね」

「なんでわかるの?」

「女神ですから」

「···よく地震起きないわね」

「火山自体は別大陸になるからな」

「えぇー···」

「話を元に戻すが低い山の割に中級ダンジョンとして区分されているのには理由があるんだ」

「···出現する魔物の討伐ランクが中級じゃないってところかな」

「さすがトオル察しが早いな、その通りだ、エーラ山に出現する魔物は何故か上級ダンジョンに出てくるようなものばかり、数は少ないが一体一体が強いものばかりだ」

「今回のクエストはその山の頂上付近にある鉱石の収集ですね」

「考えても始まらないんだったらとっとと行こうよ」

「···それもそうね、じゃあこれアンジーに出してきなさいよ」

「え、僕なの?」

「あんたリーダーでしょうが、とっとと行ってこい」

「うぇー···」


「···それではクエスト受注の受け付けが完了しましたのでこのクエストペンダントを持って向かってください!」

「あ、はーい」

「ではトオルさん、サユミさん、ベルさん、ウルさんいってらっしゃいませ!!」

「っし行こー!!」


 クエスト受注の受け付けも終わりあたし達はエーラ山を目指すことに


「···ところでさ、こっからエーラ山ってどんくらいかかるの?」

「馬車だと走りっぱなしでも十時間程ですね」

「そんなかかんの!?」

「いやもう諦めようよさっちゃん、移動時間は拠点置いてる身としてはしょうがないものなんだよ」

「あんたはなんで納得してんのよバカ」

「自宅から学校行く間っていえばわかるでしょ」

「···んぐぅ!!!」

「い、いきなりどうしたんだサユミ···?」

「今の徹の喩えに納得した自分がいたからつい」

「なんで?」

「あたしでも納得する喩えを持ってくんじゃないわよ!!」

「え、なんでそれで僕怒られてんの?」

「皆さん馬車の用意が出来たので行きましょう!!」

「行くぞサユミ、トオル」

「うん」


 ···マノウハルスから馬車に揺られること約十時間、道中特に大きなハプニングが起こることもなくあたし達はクエストの舞台となるエーラ山の麓に辿り着いた


「···ちょっと待て」

「どうかしましたか?」

「なんでこんな下に馬車止めんの!?まだあたし達のとこにあるこれに近い山なんか五合目辺りまで登れるわよ!?」

「サユミ達の方はわからないがこっちの山はほとんど整備されていないんだ、だから馬車で行けるのはこの麓まででそこから上は自力で登るしか方法がないんだ」

「おっふ、いかに僕らの方は技術の進歩がすごいってのがよくわかるね」

「という訳で登りますよ!!」

「これを頂上までかぁ···そりゃ途中で装備をしっかり揃えるわけだ、こんなん普通に行ったら死ぬもんね」


 道中に寄った商店でウルとベルがなんか色々買って馬車に積んでたけどこれの事だったのね、···の割には多すぎると思うけど


「じゃあこれは私が持っていきますので必要になったら渡しますね」

「え、大丈···」

「(シュンッ)···え?トオルさんなんか言いました?」

「あ、いや···そっか収納魔法か」

「トオルはこれも使えないのか」

「魔力がないみたいだし」

「あんたそれでよく一人でクエストなんか行ったわね」

「持って帰ってくるのが大変だったよ、いちいち紐に括りつけて引っ張ってこないといけなかったし」

「あんたよくまぁ···てかこんな時間に登って平気なの?ほぼ真っ暗じゃない」


 そりゃあクエスト受けてここまで来るのに十時間かかってるから陽はもう沈みかけてるし、もちろん山に電灯なんてもんは無い


「麓付近は生息してる魔物の強さもそこまででは無いから大丈夫だろう」

「あっそう···」

「···ん?さっちゃんどしたの?」

「···あんたここで待ってた方がいいんじゃないの?」

「なんで?」


 何はともあれエーラ山の頂上を目指す事に、ウルが前を明るくしてあたしは後ろを照らしながら周囲を警戒して進む


「···ほんとに道無き道を進んでるね」

「頂上までの最短ルートはここを通るしかないからな、単純に険しい道だがその分初級冒険者の鍛錬の場所としてはかなり有能な場所だ」

「確かに麓の方は優しめな魔物が多いもんね」

「トオルには弱過ぎるか?」

「そういうこと言わないの」

「何その会話」

「···ふわぁーぁ」

「やっぱこの近くで一旦休むべきよ、ウル思いっきり欠伸してんじゃない」

「ふぇ?してませんよ?」

「思いっきりしてんのよ、普通しなきゃいけないの徹でしょうが」

「なんで僕?」

「あんた寝不足気味つっただろ」

「怖い怖い、目が怖いよさっちゃん」

「黙れバカ」

「なんで!?」

「とにかく休めるとこで休むわよ!!ウル!!ここら辺なんか拓けた所ないの!?」

「あー···サユミ、非常に言いづらいんだがこのエーラ山には拓けた場所はほぼ無いに等しいんだ」

「は!?」

「途中に山小屋はあるらしいんだがこの山のどこにあるかはわからないんだ、だからこの山を登る人間は一気に登ることを想定して装備を整えるんだ、道具が多いのはその影響もあるんだ」

「何その地獄のような登山」

「だから中級ダンジョンになるんだ」

「そういう事だ」

「···てことはあれか、またやりやがったなこのポンコツ女神!!!」

「まだなにもしてないじゃないですか!!!」

「やる前提で言うな!!!こんなん麓で一晩待ってから行ったほうがよかったじゃない!!!」

「そうもいかないんですよ!!一気に登ると言っても一人で登るのだって数時間歩きっぱなしでやっとなんですから!!」

「まあどっちにしろ登ってたら暗くなるか登る前に暗くなるかの違いでしょ、だったらいいじゃん」

「よくねーよ」

「サユミ落ち着け」

「とりあえず登ってこうよ」

「···ほんとそういう大事なことは馬車で言いなさいよ、次言い忘れたら痛い目に遭わすわよ」

「えっどんなのなんですか!?」

「なんで反応したポンコツ変態女神」


 それから登り続けること数時間、辺りに生えていた木々も山肌が見えるほど少なくなり魔物の数も少なくなり始めていた、ただベルの言うとおり一体一体は強くなってってる、遭遇する魔物の魔力量を感じられるようになってから自分がどの程度だったら倒せるかっていう限界を測れるようになり、登るごとに数は少なくとも量が増えてってるってのがよくわかる


「···ねぇウル、今何合目辺りなの?」

「おそらく六か七号目辺りだと思います、目的の物は九号目辺りに多くあるのでもう少し頑張ってください!!」

「あんたほんと良く元気で登れるわね···」

「···ウルさんちょっといい?」

「なんですか?」

「今の気分は?」

「なんでそんな事聞くんですか?すこぶる調子いいですよ?」

「···ウルさんここで引き返して麓で待ってて、それかベルさんとここで待ってて」

「どうしたんだトオルいきなり···」

「いいから僕の言うこと聞いて」


 突然徹が何を思ったのかウルに下山させるように命じてきた、その口調からはあの寄生ベルと対峙した時の真剣さを感じる


「引き返せってどういうことですか!?私まだ全然大丈夫ですよ!?」

「私から見てもウルは全然大丈夫だと思うが···」

「その時点でアウトだよ、このまま登ってくとウルさん麓に戻った時症状悪化するよ」

「だからどういう意味なのよ」

「ウルさんは高山病にかかりかけてる、クライマーズ・ハイっていう症状だよ」

「はぁ!?」

「クライマーズ・ハイ···ってなんなんだ?」

「僕達の世界では山登りをする時に急激な気圧の変化とかで怒る病の一種なんだけど脳へのダメージが大きいんだ、ウルさんはそれにかかってる」

「あんた女神なのになんでそんなんかかんのよ!?」

「慣れてる人こそなりやすいんだよ、とにかくここでウルさんを引き返させるかここで待ってるかさせないと僕達の帰りの馬車が無くなるからね」

「···確かにそれは問題だな、わかった、私とウルはここで待機している」

「えっなんでです···」

「···多分もうそろそろかな」

「何が?」

「···2···1···」


 ···ガクンッ


「うっ···」

「ウル!?ちょっ···」


 徹が時間を測ったと同時に膝から崩れ落ちるベル、もう既に意識は朦朧としている


「ウル!?しっかりしろ!!」

「ぁれ···?たてなく···」

「···じゃあベルさんあとお願い」

「わかった、その前にこうなったウルの処置方法を教えてくれるか?」

「とにかく意識が戻るまで体を冷やさないようにする事、水分を取らせて意識が戻ったらとにかく酸素を吸わせる事かな」

「あんたなんでそんなの詳しいのよ」

「なんとなくテレビでやってたやつ覚えてた、ほらさっちゃん上行くよ」

「あたしも行くの!?」

「僕魔力感知できないもん」

「あんた殺気でわかるでしょうが」

「サユミ頼む行ってくれ」

「···わーってるわよ」


 ···ウルをベルに任せあたしと徹だけで山頂付近を目指す事二時間ほど、道中の魔物も倒しながらようやく九号目辺りに着くことができた


「ねぇ徹···あれ山頂···?」

「みたいだね、あとは頼まれた鉱石を集めて降りるだけだよ」

「···徹」

「どしたの?」

「···今あんたもかかってんでしょ?高山病」

「···なんでわかったの···?」


 あまり表に出さないからほとんどの人は気づかないけど幼馴染みのあたしだからわかる徹の微妙な変化、いくら化け物と言われようが徹だってただの人間だ


「やっぱり、なんで黙ってんのよ!?」

「ここで僕も降りちゃったら上に行ける人間がさっちゃんだけになっちゃうでしょ···」

「あんたがぶっ倒れたら意味無いでしょ!?」

「···それにさ」

「何よ」

「···酸素少ない状態で動けば僕はまた強くなれるんだ···」

「!!あんた···」

「強くなって···バーダンの守ったギルドを守らないと···!!」

「···」


 お人好しと言える徹の性格上無理してでも一度決めたことを曲げないっていうのがある、それでもあんた自身が潰れたらなんの意味もなくなんじゃない···


「···ったく、徹」

「なん···」


 ドスッ···


「うぐっ···!?さ···さっちゃん···!?」ガクンッ

「あんたはそこで黙って待ってなさい、鉱石ぐらいあたし一人でも余裕よ」

「待って···さっちゃん···」

「んな心配しなくてもいいって」

「そうじゃな···」


 とりあえず無理する徹に腹パンして無理やり休ませ、あたし一人で鉱石を探すことに、頂上付近は簡単に一周できるほど範囲が狭くこれぐらいなら簡単に探せんでしょ


「っと、鉱石鉱石···どんなんだっけ、あ、ウルから鉱石の特徴書いた紙もらってんだった」


 紙を頼りに魔物を倒しつつ探し続けること三十分···


「···お、これじゃない?結構あんじゃん」


 ようやく目的の物を見つけることができた、あと問題なのは···


「どうやって掘り出すかよねぇ···」


 地表に出てる鉱石は氷山の一角、地面に埋まっているのを掘り出さないといけないってウルから聞いていたけど、これどんくらいの大きさなのかは聞いてなかったのよね···


「···水系やったらウルとベルが死ぬし···いけるか···?」


 ···あんまり魔力を入れるとこの山壊しかねないから···


「···"アクアラップ"」


 ゴポポッ···ギュルンッ


「···で、"ウインド"」


 ゴォオオオオッ···ゴポォッ


「おー上手くいった、んじゃどんどん取ってこっと」


 魔力の調整しながら鉱石の発掘を進める、···あたしも最初の頃よりはこっちに慣れてきてるわね、魔法使ってるし


「···とりあえずこんなもんかしらね、全部採ったらベルに怒られそうだし」


 ···割と簡単に終わったから忘れていた


 ···ザワッ


「!!」バッ!


 この山は中級ダンジョンで···


「···ッガァアアアアッ!!!」

「"グラビティ"!!」


 ヒュンッ···ズズゥン!!


「ガッ!?」


 出てくる魔物は中級ダンジョンに出てくるような魔物ではないということを、···急にきたからつい"グラビティ"やっちゃったけどここ山の上なのよね


「···あんまり"グラビティ"やると山がもたなくなるからやめろって言ってたけど今のはしょうがないわよね」

「グッ···ガァ···!?」

「うっわさすが強い魔物なだけあって"グラビティ"だけじゃダメなんだ、じゃあちょっと威力増しの···」スッ···

「ガァアアアアアアアアッ!!!」

「···"ボール"」ボッ


 ドドォオオオオン···


「っし、あとは徹拾って降りるか、にしても聞いてた割にはあんまり魔物出てこなかったわねー」


 少し拍子抜けしながらも徹を置いてきた場所まで戻る、その道中にも魔物らしき魔物は見当たらない


「···数は少ないっつってたけどここまで少ないもんかしらねぇ···」


 ···けど戻った先には


「···あれ?」


 徹の姿はなかった


「···徹ー、終わったから降りるわよー、隠れてないで···ってなんもないのに隠れるのなんて無理か、じゃあ先に降りたの?女のあたしを残して先に降りる···なんてこと徹しないか」


 さっきあたしはここに徹を強制的に置いてきたはず、なのにその場に徹はいないとなると···


 そう頭の中で考えてる時だった


 ···ザザァッ!!


「!!徹!?」

「ハァ···ハァ···」


 何故か上から徹が降ってきた、その手にはボロボロになったいつもの木の棒が···


「あんたなんでそんなボロボロなのよ!!」

「えっ···さっちゃんに殴られたからかな···」

「あたしは腹パンしただけじゃない!!腹パンで服と木の棒までボロボロになる訳ないじゃないの!!」

「···それより鉱石採れた?」

「一応取れたけど···」

「じゃあいいや、先に降りてて」

「はぁ!?あんた高山病かかっててまだここにいるつもりなの!?」

「いるつもりじゃないけどいないといけないのかもしんない」

「さっきからあんたなにやってんのよ!!!」

「···この山が中級ダンジョンになってる理由覚えてるよね」

「覚えてるわよ、中級ダンジョンにいるはずのない魔物がここにちらほら住み着いてんでしょ?」

「そう、だけどみんな少し勘違いしてるんだ」

「何がよ」

「この山の頂上付近にいる魔物は住んでるんじゃない···」


 ゴゴゴゴゴ···


「何この地響き!?」

「···生み出されてるんだ」


 ドゴォオオオオンッ!!!


「ゴァアアアアアアアアアッ!!!」

「な···なんでこんなでかいのが山から···!?」

「···この山自体が強ランクの魔物を生み出す魔物だって事だよ」


 山の地表から出てきた巨大な蛇のような魔物、空を制すあたし達の世界でも有名な空想上の生き物···


「···ドラゴン···なの···!?」

「···」

「···あんたもしかして今の今までこいつと戦ってたの!?」

「···うん、だから早くこの山降りて」

「バカ言ってんじゃないわよ!!その状態でドラゴンなんか相手にしてたら···」

「ゴァアアアアアアアアアッ!!!」ゴォオオオオッ

「"グラビティ"!!!」ギュンッ


 パァンッ


「!?」


 今確かにあたしは魔法を使用したはずだ、なのにドラゴンは"グラビティ"を跳ね返したのか魔法が弾かれた手応えがした


「···そでしょ···!?魔法が効かないの···!?」

「違う、効いてないんじゃなくて弱過ぎるんだ、いつもみたいに魔力全開でいかないとこいつには勝てない···それに今のさっちゃんにはここで全開の魔力を使うと麓に影響が及ぶ、···だから僕が足止めしてる間に···」

「···っざけんな」

「さっちゃん話聞いて···」


 ザワッ···


「っ···な、なんだ今の···」

「自分が今一番死にそうな人間なのに他人を構って先に行けだぁ?調子こいてんじゃないわよ!!!」

「さっちゃん···?」

「闇の引力が効かないのなら···」サッ!!


 ブゥンッ···バシュンッ


「ガァッ!?」

「それって光魔法···!?」

「···"空間に囲まれし魔の力を持つ者よ"」

「ガァアアアアアアアアッ!!」ガンッガンッ

「"その光と共に一瞬のものとなれ"!!!」

「ガァアアアアアアアアッ!?」ガンッガンッ

「···"シャインルーム···エクスティンクション"!!!」ギュッ!!


 ググググググ···ギュウゥンッ,チュゥン


「···さっちゃん今のって···」

「···とっとと降りるわよ徹!!」

「あ、そうだ···ね···」フラッ···


 バタンッ


「ちょっ···徹!?しっかりしなさいよ徹!!!」

「···ハァ···ハァ···」


 ···倒れた徹をどうにかして運ばないとあたし達のクエストは終わらない、それに下には倒れたウルもいる、魔物に襲われたら一環の終わりだけど降りなきゃあたしだってこうなるかもしんないから引きずってでも降りる


「···ったく、こんなんでこれだったら他のこういうとこどうなんのよ···!!!」


 元の世界に戻る為魔王討伐を目指すあたし達の冒険はまだ終わらない


 ···GO TO NEXT ADVENTURE?

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