戦いまして
「魔族が攻めてきたですって···!?」
「···」
「この前トオルが倒した魔族側に着いた奴の事がもう出回ったのか···だとしたらまずいな、こちらとしては対応出来る人間は多くはない···」
「どっどどどどどどどうしましょうさっちゃんさん!?まぞっ魔族が!?」
「あんた女神なんだから落ち着け!!」
「···」
魔王─レンドハグウスを倒して元の世界に戻る為にクエストで自分の実力を上げようとクエストを選んでいる時に起こった魔族の襲撃、急な展開にギルド内は愚かマノウハルスの街中がパニックに陥っている、おいポンコツエロ女神、あんたまでなんでパニックになってんのよ、あんたこの場で一番長く生きてんだからしっかりしなさいよ
「···」
「えっとこういう時は···そうだ!!街全体に結界を張れば···ダメだ間に合わないぃいいいい!?」
「だから落ち着けって言ってんでしょ!?ちょっと徹!!!あんたも止めんの手伝っ···」
「···」
「···徹?」
「···ベルさんはメルちゃんの保護を最優先にして、あいつらは僕がやる」
「なっ···トオル!!自分が何を言ってるのかわかっているのか!?」
「もちろんわかってるよ、···さっちゃん手伝ってくれる?」
「···へ?」
「ウルさんはできる限りその結界を張っといて、それと···」
「待て待て待て待て待て待て待て待て!!!」
「どうしたのさっちゃん」
「は!?あんた今自分で何言ってるかわかってんの!?」
「それさっきベルさんも言ってたよね?」
百歩譲って徹が立ち向かうのはわかる···いやわかっちゃダメなんだけどそれでなんであたしまで行かなきゃなんないの!?
「とにかく行くよさっちゃん」
「待てっつってんでしょ!?」
「なにさ、急がないと襲撃してくるよ」
「なんであたしなの!?あたしあんたみたいにやんの無理よ!?」
「できるでしょ」
「あんたのそのあたしに対する信頼の根拠は何!?」
「だってさっちゃん寄生ベルさんとやった時に僕の要求通りに付与してくれたじゃん」
「そりゃああんたがそういうふうにやれって言ったから···」
「それに前よりも覚えたんでしょ?ならそれを今見せつける時だよ」
「···見せつけるっつったってちゃんと使えるかわかんないのに···」
「···ねぇウルさん、魔力探知で襲撃してくる魔族の中に魔王クラスのやついる?」
「ぅえっ?ちょっと待っててください」
「···」
「···魔王クラスの魔族はいませんね、それでもギガントハンズ級の魔物が沢山いますから油断はできません」
「そんなもんか、なら大丈夫だよ」
「ギガントハンズ級ってあんた簡単に言ってるけど倒せるのあんただけじゃない!!ベルでさえ攻撃弾かれてたのに!!」
「大丈夫だって」
「だからあんたのそのあたしに対する信頼の根拠は何なのよ!!」
「いいから行くよ、もう時間は無いんだし」
「···あぁもうわかったわよ!!」
「ウルさんとベルさんは僕の指示した事をやったら追いついてきて、多分終わってるとは思うけど」
「···わかった、気をつけろよサユミ、トオル」
「うん」
「ウル!!あんた結界の種類間違えるドジとかすんじゃないわよ!!!」
「しっ···しませんよそんな単純なこと!!!私を誰だと思ってんですか!!!」
「あんただから心配なのよバカ!!」
「酷くないですか!?私一応女神ですよ!?」
「自分で内緒にしてんだったら大声で言うな!!」
「さっちゃん早く」
···ホント徹はこっちに来てから強引になったっていうかなんていうか···、徹の指示に従ってウルは街の中心で結界を張ってベルは妹のメルの方に行って、そんであたしは徹と一緒に魔族に対抗する事に
「···ねぇ徹」
「何?」
「あんたなんで自分から行こうって思ったのよ、向こうじゃ自分から行くなんて絶対しないのに」
「···前にバーダンを弔った時に声が聞こえたって言ったじゃん?その時に頼まれたんだよ」
「···は?誰に何をよ」
「だからバーダンに、やっぱギルドNO.1冒険者なだけあってギルドの事心配してたんだよ」
「あんな酒ばっか飲んでんのに?」
「だから酒飲んでたんだよ、NO.1っていうプレッシャーから逃げる為にね」
「ふーん、んで何頼まれたのよ」
「単純な事だよ、"ウラヌスのみんなとマノウハルスを頼む"ってさ」
「···」
「···NO.1直々に頼まれたクエストなんだ、断るに断れないでしょ」
「···ったくあんたはほんとにお人好しなんだから···」
「お人好しで結構···見えた、多分あれかな」
「···ぅそでしょ···!?」
魔族の襲撃は思ったよりも多くて青い空が黒く覆われるほどの大群がマノウハルスに向かってきていた、あたしと徹以外にも魔族に対峙しようとしている冒険者は何人もいるがあまりの数に戦いているやつが多い、おまけに見るからにわかる強そうな魔物もいる
「あ、あんなに沢山いんの···!?空見えないじゃない···!?」
「···」
「なっ···なんとしてでも食い止めろ!!バーダンがいない今マノウハルスを護れるのは俺達だけだ!!!これ以上魔族による被害を出すな!!」
『オォオオオオオオオオオオオッ!!』
「···」
「ちょっと徹!?」
自身の震えを掛け声で払拭しようとしている冒険者達を横目に徹はその集団の先頭に立つ、もちろん集団には目を向けることなく前を見据えている、魔族しかその目に入ってない
「お、おいお前!!青ランクがここにいたら危険だから下がって···」
「···」
「っ···!?」
「···さっちゃん、最高威力で吹っ飛ばせるね?」
「は?吹っ飛ばすって何をよ」
「···─っ」
「···はぁっ!?あんた自分で何言ってるか···」
「その方法なら間違いなくすぐ終わるから」
「···あんたのその自信はどっからくんのよ···」
「いいから早くやって」
「···どうなっても知らないわよ!!」
「···ほんとにこの街で合ってるのか?」
「間違いない、我らが魔王に服従した人間が一人この場所で消息を絶ったんだ」
「消息を絶ったっつっても所詮人間なんだろ?裏切ったって考えりゃそんなん気にする必要···」
「やつは魔王様にデスリボンを享受されたんだ、そう簡単にやられるはずが···」
ドォオオオンッ!!
「!?なんだ!?もう攻撃し始め···」
グチャァッ!!
「···ぇぁ···?」
「···」タンッ
「なっ···!?」
「···2」ブンッ
ズドッ,グチュ···ブチブチブチッ
「がっ···!?」
「···」
「···っし、方角は大丈夫そうね」
「お、おいお前ら一体何をやったんだ···?」
「あいつの作戦だからあたしもよくわかんないのよね」
「よくわかんない···って相手は魔族なんだぞ!?そんじょそこらにいる魔物とは訳が···」
「だからあたしもわかんないっつってんでしょうが、黙って見てなさいよ」
徹があたしに指示したことは自分を大群の中心に飛ばす事とただ飛ばすんならバレるからあたかも誰かが攻撃をしたかのように仕向ける事の二つ、徹を向こうに飛ばしたと同時にそういうふうに感づかせるにはあたしの爆発魔法しかない···というかあんな危ない賭け思いついたとしても普通やらない、少しでも威力を間違えれば魔族に先制攻撃されるし徹も無事ではすまない
「···あいつのあたしへの信頼はどっから来てるのかしら」
「···それにしてもお前本当に青ランクなのか···?」
「青ランクよ」
「···じゃあなんだったんだ今の威力···」
「···さぁこっちは徹の取りこぼしを叩くわよ···!!」
『お、おう!!!』
「(···まぁ無さそうだけど)」
「···」
「なんだおま」
「···」ニヤッ
ドスッ
「カァ···!?」
「···」ガッ,グイッ
ブチブチブチッ,ズボッ,···トッ
「···多すぎてキリがないや、もうめんどくさいからさっちゃんに任せ···」
ザワッ···
「···っと、魔王クラスのはいなくても幹部クラスは普通にいるか」
「なにが来たかと思えば魔力のない小僧ですか···」
「···」
「わざわざそっちから顔を出してくれるとは我々魔族も舐められたものですね」
「···」
「"デスリボン"を持った同族を躊躇無く倒すとは···」
「···長い話は苦手なんだよね」タンッ
「!!」
ガッ···
「···」
「···フッ、あなた如きの実力で我々魔族に歯向かおうなど」
「···だから言ってんじゃん」
ガシッ!
「!?ぁがっ!?」
「···長い話は苦手だってのに」グルンッ
ボキィッ!!
「···あ、ヤバっ魔王のこと聞こうと思ったのに首捻じ曲げすぎちゃった···まぁ他のやつに聞けばいっか」
『なっ···!?』
「···」
···やっぱりあいつは狂ってる、遠くからでもわかる強さの魔族相手に鉄パイプ一本で対抗して一瞬の隙を見せた魔族の首を足で捕らえてそのままありえない方向に捻じ曲げた、他の冒険者も徹をありえない目で見ている、普通の戦い方をしない相手を殺す戦い方を目の前にしているからそんな目をするのもわかる、···あたしだってあんな戦い方する徹を見るのはこっちに来てから初めて見るし
「···」
「お、おい嬢ちゃん···あいつは一体···」
「···こっちが聞きたいくらいの化け物よ」
「···さてと、そろそろ魔王の事について教えてもらわないといけないんだよね、···誰か教えてくんない?」
『っ!?』
「あ」
「お、おい!!魔族が引き上げていくぞ!!」
「っとにあいつはもう···」
おそらく幹部クラスだったであろう魔族の一体を倒したら襲撃してきた魔族が来た方向に戻ろうとしていた、遠目じゃよくわかんないけど多分徹がまたなんかやったんだろう、魔族が逃げ出すって徹あんたいったい何したのよ···
「···けど、タダで帰す訳にもいかないのよね」スッ···
「じょ、嬢ちゃん···?」
「あんた達離れておいたほうが身のためよ、あたしも制御できるかわかんないし」
ザワッ···
「!?待て待て待て待て!!なんだその魔力は!?何をしようとしてるんだ!?」
「ぜっ全員今すぐ街の奥に逃げろ!!巻き込まれるぞ!!?」
「···」
···正直やり方すらあんまり覚えてないんだけど、あの時なんてったかなあたし···確か···
「···"冥界より目覚めし闇の力よ"」
「っ!?」
「"我と共にこの根源を葬りされ!!!"」
「お前まさかその魔法は···!?」
「"ダーク···インパクト"!!!」
ゴォオオオオオオオオオオッ!!!
『ッ!!?』
「や···闇属性の上級魔法だと···!?」
「消しとべ魔族がぁあああ!!!」
···意外と覚えてるもんねこういうのって、使ったのはバクが作った悪夢の中以来だったけど現実でも問題なく使えた、おーおーどんどん消し飛んでくわね···てか魔族なのに闇属性効くんだ
「···ねぇこれ魔族に闇属性って平気なもんなの?」
「は!?嬢ちゃん相性を知らんでやってんのか!?」
「相性なんか知らないわよ、青ランクだっつってんでしょ?」
「いや···青ランクでも相性かじってると思うんだが」
「まぁ言うて冒険者になってまだそんな経ってないし、とりあえず終わったらウルぶん殴ろっと」
「···なぁそれよりあの小僧は平気なのか?」
「···あ」
「え」
「···まぁ大丈夫でしょ、徹だし」
「···いやね?流石の僕でもあれは死ぬかと思ったよさっちゃん」
「生きてんだからいいじゃない」
「そういうけどさ!!あれなんなの!?さっちゃんいつの間にあんな化け物みたいな魔法覚えてんの!?」
「あんたにだけは化け物って言われたくないわ!!」
結局徹はあの魔法を浴びても無事(?)に帰ってきた、襲撃してきた魔族は徹曰くあたしの魔法でほぼ全滅したらしい、···なんでよ
「···で?なんかわかったの?」
「いやー、聞こうと思ったらいつの間にか倒してたや」
「なにやってんのよもう···」
「いうてもトドメさしたのはさっちゃんだからね?」
「うっさい黙れ」
「えぇー···」
「お、おいお前ら···」
「何よ」
「本当にお前らはいったい何者なんだ···?」
「だから青ランクの冒険者ってさっきも言ったでしょ?」
「言ってたがただの青ランクが魔族と対等にやりあえるはずがないだろ、おまけに使ってる魔法も上級魔法なのに···」
「···強いて言うなら僕とさっちゃんはバーダンに頼まれたからやっただけだよ、それより街の安全確認しないと」
「!!!」
「···お、おうそうだな、マノウハルスの状況を確認しに行くぞ!!」
「···」
···あたしは今徹をどんな目で見てんのだろうか、あの徹が大勢の人相手に話しているだと···!?
「···」
「···あのさっちゃん?その信じられないような目は何?」
「え、いやあんた今普通に話して···」
「緊急時はコミュ障とか気にしてる場合じゃないでしょ」
「···て事は向こうでも緊急事態を起こせば···」
「やめなさい」
「なんでよ」
「そんなにポンポン起こしてたら僕も疲れるよ」
「コミュ障と等価交換じゃない」
「この前教えてあげた言葉をここぞとばかりに使わないの、あと等価交換になってないし」
それから···
「ベル!!ウル!!メル!!」
「あ、サユミお姉ちゃん!!」
「二人ともよく無事でェええええええ!!」
「···トオル絶対無事では無いだろ、何があったんだ?」
「さっちゃんの巻き添えくらった」
「そうか」
あたしと徹は妹のメルを保護しに行ってたベルとマノウハルスに結界を張っていたウルと合流する事に、見た感じ全員無事みたい
「···にしてもあんたよく結界間違えずに張れたわね」
「いつまでもドジなままの女神だと思わないでください!」
「そんなドヤ顔して言われても···」
「自慢出来ることじゃないでしょうが、てかとりあえずウル殴らせろ」
「えっ!?なんでですか!!」
「なんでじゃないわよ!!!あんたなんで相性とか教えてくんないのよ!!!」
「待って待って待って待って!?確かに教えるのは忘れてましたけどなんでそれで私殴られないといけないんですか!?」
「"青ランクで知らないのか"って言われたわよ!!!」
「それにしてもサユミ、あの魔法はサユミがやったのか?」
「えぇ、あ、そうだウルーあたしアレ完全に習得できたわ」
「なんでそんなにポンポンできるんですか!!ズルいですよ!!」
「あんたが連れてきたんでしょうが、嫉妬してんじゃないわよ」
「そうですけどぉ···」
「···魔族がこっちに攻めてきたのはトオルが倒したあいつの事で間違いないか?」
「間違いないと思うよ、デスリボンの事言ってたし」
「やっぱりですか···となると少し急がないとですね」
魔族が攻めてきたという事はレンドハグウスには既にあたし達の存在が勘づかれているかもしれないということ、次にいつ攻めてくるかわからない状況であたしと徹は元の世界に戻る為に強くならないといけない
「···どうすんのよ徹」
「え、なんで僕に聞くの?」
「あんたがまいた種なんだからどうするか考えなさいよ」
「えぇ···いうてもさっちゃんも危険人物じゃん」
「誰が危険よ」
「···んーまぁ気長にやってけばいいんじゃない?そんないきなり魔王が来るわけじゃないんだし」
「トオルさん!?そんなこと言ってももし急に来たら···」
「その時はその時だよ」
「···お兄ちゃん凄いお気楽だね」
「あんたメルにまでそんなこと言われてんだけど?」
「だからどうにもしないって」
「とりあえず魔族の襲撃を回避できましたし私達もクエスト選びに戻りましょうか」
「そうだな、じゃあメルを使用人に預けてから合流する」
「わかった、気長に選んでるねー」
「そんな悠長なこと言ってらんないっての」
メルを屋敷のメイドに預ける為一旦ベルと別れてあたし達はギルドに戻ってクエスト選びを再開することに、そういやあたし達クエスト選んでたのよね
「···んで何やんの?」
「さっきまで何選んでたんだっけ?」
「え、覚えてないんですか?」
「逆にあんた覚えてんの?」
「いや覚えてませんけど···」
「じゃあ言うな」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!さっちゃんさんつねるのやめてくださいよ!!!」
「2人とも仲良いよねー」
『これがそう見える(んです)か?』
「それで何にするか決めた?」
「たまには徹が決めなさいよ」
「え、僕選んだら加減がわかんないからどんなの選ぶかわかんないよ?」
「あ、じゃあいいや選ぶな」
「えぇー···」
「あ、ならこれなんかどうでしょうか?またドロップアイテムを集めるタイプのクエストですけど」
「他に無いんでしょ?ならそれでいいわよ、徹よろしくー」
「はいはい」
「···あんただいぶ抵抗しなくなったわね」
「アンジーさんさっちゃんより優しいから」
「あ?」
「なんでもないですすいませんでした」
そんな事をしていると···
「···失礼する」
「はい···!?りょっ領主様!?」
『!?』
「は?」
ギルドの扉が開かれ中に入ってきたのは見た感じプライドの高そうなイケメンのおっさんだった、アンジーの声と周りの反応からするにマノウハルスの偉い人ってのはわかる、てかアンジーなんなのよその反応
「どっどうされたんですか!?わざわざこのギルドに···」
「···色々と忙しくて遅くなってしまったがバーダンの事は本当に残念だった、バーダンの好んでいた酒だ、あいつに供えてやってくれ」
「あ、ありがとうございます···バーダンさんも多分領主様に見送られて喜んでいると思います」
「···それで聞きたいことがあるんだが」
「あ、ハイなんでしょう?」
「先の魔族の襲撃を退けたのはどの冒険者だ?」
「えっ?」
「アンジーさん、クエストの受付お願いしまーす」
「あ、トオルさんさっきの魔族が襲撃してきた時ってどこにいました?」
「え?そっちに行ってきたよ、魔王のこと聞こうと思ったけど思いの外やりすぎて聞けなかったし、まぁ残りは全部さっちゃんが一掃したから」
「君が···やってくれたのか···?」
「え···あ···ま···まぁ一応···」
「そうか、なら少し来てくれないか?」
「え?」
「···」
「···ちょっと徹···!!これどういう状況なのよ··!?」
「い、いや僕にも何がなんだか···」
領主サマがアンジーと話してるのを気にせず徹にクエストの受注受付をやらせに行かせたらなんかしんないけとあたしと徹はその領主サマの屋敷に呼ばれた、ちなみにウルはギルドで留守番してる···というかベルの屋敷より広くない!?何コレ!?庭の噴水とか初めて見たわよ!?
「二人とも楽にしてくれていい、そんなに緊張しないでくれ」
『あ、ハイ』
「···バーダンが呪いの紋様にやられてこの街にはベルドット以外の実力冒険者がいないと思い魔族の襲撃に備えてはいたが、まさか君達が対抗したとは、聞くところによると君達はまだ冒険者になって日が浅いらしいじゃないか」
「全滅させたのはこの人です、僕は数体程度しか倒してません」
「人を売るんじゃないわよ!!!戦意なくさせたのあんたなんだから!!!」
「さっちゃんそれはしーよ」
「黙れコミュ障」
「なんにせよ君達のおかげでマノウハルスはほぼ無傷で済んているんだ、領主として心から礼を言わせてもらう」
「あ、いやいやいやいやいいですって僕ら青ランクだけどでしゃばっただけですし」
「言い方無いのか」
「···ひとつ聞いていいか?」
「あ、はいなんしょ?」
「トオル君だったか?君からは魔力が全く感じられないのだが···」
「こいつには魔力が無いのよ、普通に考えりゃ異常なんだと」
「さっちゃん言葉!!」
「いやいい気にするな、···そうか、でさつちゃ···」
「紗弓」
「サユミからは膨大な魔力を感じるが···まぁいい」
「あたしはいいんかい」
「···バーダンと知り合いだったんですか?」
「···バーダンはあのギルドで共に冒険者になった親友でな、いつの頃か変わってしまったが根本はこの街の為に動く良い奴だったんだ」
「···そのバーダンが呪いの紋様でギガントハンズとして僕らに襲い掛かって来た時に声が聞こえたんです、"俺は結局逃げてばっかりでギルドの奴や街の奴らに嫌な顔をされていた"、"俺の代わりにウラヌスとマノウハルスを頼む"って」
「···」
「···それとこうも言われました、"先に行く俺の事はもう忘れてくれ、マルノース"」
「!!」
「これが領主様への···マルノースさんへ向けた最期の伝言でした」
「···忘れるわけないだろうバーダン···共に戦った仲じゃないか···!!」
「···」
徹から伝えられたバーダンの最期の言葉、それが無事領主サマ─マルノースに伝わりその言葉に今まで我慢していたのか感情を露わにして涙を流していた
「···」
···徹にしか聞こえなかった声、魔力のない徹はなんでバーダンの言葉が聞こえたのか、そしてなんで徹以外は聞こえなかったのか、そこはまだ謎のままだ
「···ありがとうトオル、あいつの最期の伝言を教えてくれて」
「僕は言われた事を話しただけなのでお礼を言われる程ではないですよ」
「それでも充分だ」
「んじゃーそろそろあたし達クエスト行くわねー」
「あ、そうだね、領主様···いやマルノースさん僕らこれで失礼しますね」
「あぁ」
「···それとたまにでいいからクエストやってギルドのみんなと話したらいいと思うよ」
「···そうさせてもらうよ、マノウハルスをこれからも頼む」
···領主サマの屋敷をあとにしてギルドに戻る道中、あたしは徹のある言葉について聞いてみた
「···ねぇ徹、あんた最後のなんであれ言ったの?」
「マルノースさんは一応まだウラヌスの冒険者だよ、それもバーダンより実力は上のね」
「バーダンより上って事は···」
「そう、元々のNO.1冒険者はあの人なんだ、それもランクで言うなら一番上のランクぐらいのね」
「···あんたなんでそんなに知ってんのよ」
「あの人の部屋に置いてあるものを見たら誰でもわかるよ」
「あんたよく見てるわね」
「人と話すの苦手だと自然とその周りに目が向くんだよ」
「治せその癖」
「···当時はまだマノウハルスはこんなに発展した街じゃなかったんだ、多分ギルドが先にできてそこから発展したんだと思う、で、当時の領主だった人が実力を持っていたマルノースさんを次の領主として決めたもんだからマルノースさんは冒険者をやめなきゃなんなくなった、···でもバーダンはいつか帰ってくる親友の為にギルドに名前を残しておくようにしたんだ、それから一人は街の発展を自らの知恵を絞りながら続け、もう一人は帰ってくる親友の為に自分の実力を上げた」
「···」
「···ただその二人の思惑は叶うことは無かった、バーダンが暫定のNO.1冒険者になった時次のランクに行けずに伸び悩んだ、それがバーダンをああならせた一番の理由だったんだよ、お前にマノウハルスとして街が形成されると同時にマルノースさんにはギルドに戻る時間が無くなり二人はすれ違ってったんだ、実力の上がらないバーダンと実力があるのに戻れないマルノースさん、逆に言えはその二人がその運命にならなかったらウラヌスとマノウハルスは魔族に簡単にやられるようなところだったと思う」
「···ほーん」
「まぁさっちゃん興味無いか」
「おいその諦めた口調はなんだ」
「ごめんて」
「···あ、トオルさん、サユミさんお帰りなさい!」
「おーただいまアンジー、さっき徹が持ってきたクエストまだある?」
「ありますよ」
「ウルさんは?」
「今ちょうどトイレに行きましたね」
「タイミング悪っ」
「トオル、サユミ」
「お、ベル」
「そっちはもう平気なの?」
「あぁ、使用人達も無事だった」
ギルドに戻ってアンジーのいるカウンターに向かうとベルも既に帰ってきていた、···相変わらずあのポンコツ女神はタイミングが悪いというかなんというか
「···ところで二人とも領主様となんの話をしてきたんですか?」
「別にただの世間話だよ、あ、魔族の件に関してはお礼言われたかな」
「私がいない間に何があったんだ?」
「領主サマがバーダンの弔に来たのよ、バーダンと親友だったんだと」
「そうか···」
「おぉおおおお帰りなさい二人とももぉおおおおお!!」
「うっさいわよ」
「ではパーティーメンバーも揃ったようですしクエストの受注をしましょうか!!」
「あ、お願いアンジーさん」
···元の世界に戻る為にあたし達は今日も
「···ではこちらクエストペンダントになります!!今日も頑張ってください!!」
「···よし、行こっか」
クエストをこなして強くなる
「···それで今回のクエストはなんなんだ?」
「えっとアイテム収集だね」
「とりあえず徹はアイテムを落とすように倒しなさいよ?」
「えー···加減が難しいからさっちゃんやってよ、アンジーさんと行った時さっちゃんがやった方がアイテム落ちたじゃん、魔法でやった方が落ちるんだって」
「あれはまた別よ、いつまでも苦手抱えてんじゃないわよ」
「絶対別じゃないって、これ得意苦手とかあるの?」
「とりあえず行きましょうか、馬車の準備してきますね」
「頼む、ほらサユミ、トオル、準備しろ」
『あーい』
GO TO NEXT ADVENTURE?




