知れ渡りまして
「···そうですか、お疲れ様です」
「いいのよ別に、あたしだって何もしてないんだし」
「でもサユミさん達もその場にいたんですよね?」
「まーね、殺ったのは徹だけど」
「トオルさんですか···」
「···あ、そういやあたし達が出てったあとあの爆発した奴魔物になった?」
「えぇ、でも残っていた冒険者さん達が討伐してくれましたよ」
「ならいーわ、んで今日のクエストどんなのがある?」
「今日はですね」
呪いの紋様騒ぎから一夜明け、ギルド内は起こる前の平穏が戻っていた、···ただ、NO.1冒険者だったバーダンを失い少しだけ最初の頃よりも静かになった気がする···
「···あ、あのー···」
「なんだい兄ちゃん遠慮すんなって!」
「いや僕そろそろクエスト行かないと行けないから」
「それまでまだ自由なんだろ?だったらちょっと話そうぜ!!」
「えぇー···」
···というのは全然無い、というか徹があのどんちゃん騒ぎの中心になっている、あいつコミュ障なのにあんな人いたらダメじゃない?あーほらもう固まってるし···
「徹ー、クエスト決めたから行くわよー」
「あ、うん」
「お、行ってくるのか?」
「頑張ってこいよー!!ウラヌス期待のルーキー達!!!」
「お前らも行け!!!」
「···助かったよさっちゃん」
「あんたなんで絡まれてんのよ」
「わかんないけど、誰か昨日のあれ見ててそれが伝わったみたいでさ···」
「ほーん、まぁあんただいぶあたし以外と話せるようになったわよね」
「まだ無理だって、···あれ?ウルさんとベルさんは?」
「あの二人はあんたが昨日倒したやつの調査だって、今日はあたしとあんただけよ」
「わかった、それで今日のクエストってなんなの?」
「今日のは隣町の周辺に出る魔物の討伐だって」
「···」
「何よ」
「いや、さっちゃんもこっちの世界に染まってきたなって思ってさ」
「早く帰りたいんだから当たり前でしょ?何?徹は帰りたくないの?」
「帰りたいけどさ、急いだって最後にやらなきゃいけないことは変わらないんだし、焦っててもしょうがないかなって」
「あんたホントコミュ障なのにお気楽よね」
「それはコミュ障関係ないんじゃないかな···?」
「うっさい」
···こんなお気楽なやつが魔物の心臓を抉り出して倒してんのよね、誰もやらない倒し方で
「···ん?さっちゃんどうしたの?」
「なんでもないわよバカ喧嘩狂」
「僕そんな狂ってるかな···」
···いや狂ってるわよ
ドスッ···ブチッ
「···ふぅ、さっちゃんこんなもんかな?」
「···」
「何どしたの?」
「あんたよくそんなグロいの目の当たりにして平静保ってられるわよね」
「普通じゃないかな」
「···まぁいいわ、とりあえず終わったし報告して帰るわよ」
「はーい」
···うん、やっぱりこいつはどこか狂ってるわ、確実に魔物の心臓抉り出して倒してんもん
「···」
···こいつは本当に徹なの?
頭の片隅にそれを置きつつギルドに戻ってクエスト完了の報告をアンジーにする、徹は帰ってきた瞬間にギルド内にいたオッサン達にしょっぴかれてった
「···わ、もう終わったんですか?」
「えぇ、徹のワンマンプレイでね」
「トオルさん日に日に強くなっていきますね」
「強くなってるってもんじゃないわよ、あいつの魔物の倒し方が異常すぎんのよ」
「異常?」
「そうよ、普通心臓抉り出す?」
「え、トオルさんそんな方法で倒してるんですか?」
「そうよ、あの紋様の時だってそれで倒してたし」
「···でも変ですね、トオルさん達まだ冒険者になってそんなに日が無いのにどうして魔物の心臓の位置がわかるんでしょうか」
「え?」
「通常魔物の心臓は個体によって違うんです、稀に同じ場所にあるものもいますが報告してもらったギガントハンズはまず心臓の位置を特定することも難しいのに···」
「···そういやベルも言ってたわね、白ランクでさえ10人いるって」
「その魔物でさえトオルさんは一人で片付けたんですよね?」
「まぁそうね」
「···最初の頃はあまり気にしなかったんですけど、お二人は本当に初心者なんですか?」
「···アンジーも確認したでしょ?あたし達が初心者だってのは」
「そうですけど···」
「なら間違いないわよ」
「···気になりますね」
「なんなら今度一緒に行ってみる?徹の現状あんたにも見てほしいし」
「いいんですか!?」
「随分嬉しそうね」
「そりゃあギルド内の新生ですよ!?気になりますよ!!もちろんサユミさんのも!!」
「お、おぉ···」
「···え!?アンジーさんも来るの!?」
「次のクエストでねー、なんかあたし達の実力見たいんだと」
「えぇー···」
「んで、そっちの方は進んだの?」
「はい、あとで話しますね」
屋敷に帰ってくるとちょうど夕食の準備ができていて、ウルとベルが既に席に着いていた
「···それより何か変わったことは無かったか?」
「んー特に無いわね、強いて言うなら徹がやたらと輪の中に連れ去られるようになったぐらいね」
「まぁ呪いの紋様を受け付けないっていうだけでもおかしいのにそれを倒しますからね···」
「そんなにおかしいの?」
「私から見てもトオルはおかしいと思うな」
「えぇー···」
「大体なんなのよ、呪いを殺気で弾くってのは」
「いや知らないよ、僕だってどうやってるかわかんないのに」
「無意識なんですか?」
「多分、あとはあいつがムカついたから」
「そうか···感情でコントロールしてるのか?」
「で、あんた達は明日もやんの?」
「そうですね、しばらくは別行動になりますね」
「じゃあその間にあたし達ランク上げしとくわ」
「あ、はいお願いします」
翌日···
「···アンジーさんほんとに来たんだ」
「はい!!」
「徹、あんたいつも通りにやんなさいよ」
「えぇー···」
クエストのパーティーにアンジーを加えて今日もランク上げのためにクエストへと向かう事に、というか···
「···アンジー結構強いのね、オレンジランクなんて」
「これでも元冒険者ですからね、楽に稼げるのでこっちに転職しましたけど」
「おぉう···意外と理由が単純···」
「私も久しぶりのクエストなので腕が鳴りますね!!」
ちなみにあたしと徹はまだ下から三番目の青ランク、ウルがその二個上の赤紫ランク、アンジーのオレンジランクはそのまた二個上になる、まぁベルはまたその四つ上だけど
「久々なんだからあんまりはっちゃけるんじゃないわよ、それで怪我でもされたらあたし達ギルドの奴らになんて言われるか···」
「さっちゃんが人の心配してる」
「"ボール"」
「だからそれやめてって!!!」
「···んで、今日は何しに行くのよ」
「今回のクエストはアイテム収集ですね、サユミさん達が最初にやったクエストと変わりません」
「あれかー···」
「なによ」
「だって僕あれやるとドロップする前に消えるんだもん」
「どういうことなんですかそれ」
「倒し方が悪いからでしょうが、絶命させればいいってわけじゃないのよ」
「えー···じゃあ普通に倒す?」
「そうしなさいよ」
「あ、サユミさん、トオルさん、そろそろ着きますよ!!」
「あれが···なんだっけ?」
「ヤコシの洞穴です」
「洞窟じゃないの?」
「一応、名称としては洞穴ですね、おそらく少し人の手が加わってるからじゃないでしょうか」
「そんなもんなの?」
ヤコシの洞穴、前に来たことのあるマルウ渓谷から割と近くにあるダンジョンでかつてはあの渓谷を通るために掘られたトンネルらしかったんだけどいつからか魔物が棲み付きダンジョンとなったらしい
「···で、そのヤコシに洞穴で何を見つければいいの?」
「えっと···ヤコシの洞穴にのみ生息する"石の魔人"が落とす"生命の水晶"を五個手に入れるみたいです」
「···なんかまた徹のワンマンプレーになりそうね」
「さすがに無理じゃないかな、石の魔人がどういう魔物かわかんないけど、石って名前がつく以上木の棒じゃ攻撃通じなさそうだよね」
「···ちょっと待って!?あんたまた木の棒持ってきたの!?」
「だってこれが僕の基本武器だし」
「鉄パイプどうしたのよ!!!」
「あるよ」
「あるならそれ使え」
「えぇ···あんまり魔物とかに使いたくないんだけど」
「何!?あんた木の棒で石に挑もうとしてんの!?」
「だって僕の最強武器だし」
「バカ言ってないで鉄パイプ使え!!!」
···徹はこっちに来てから向こうでの喧嘩とほぼ同じように戦ってる、例えそれがどんな魔物であろうと明らかに今持ってる木の棒や鉄パイプなんかじゃ倒せないような魔物も平気で倒している、···鉄パイプに至っては体に突き刺して心臓を抉り取るっていう向こうでもやってない事をやっているのよね、やったら捕まるし
「···ん?」
「どうしました?」
「···いや、まさかね」
「?」
···こっちに来てから普段できないことをやっている、だとしたら徹が強いのは喧嘩じゃなくて···殺しって事なの?
「さっちゃーん、置いてくよー」
「だからなんであんたはそう単体で行動すんのよ!!!アンジー久々なんだから合わせてやりなさいよ!!!」
「あ、ごめんごめん」
「ったく」
表面上はいつも通りを貫けてると思うけど内心徹の強さについての仮定で少しだけ恐怖を覚えている、今あたしが思った事とこれまでの徹の行動に納得のいく箇所が何個もあるからだ
「···」
「お、さっちゃん、アンジーさん、そこスライムいるよ」
「倒さないんですか?」
「スライムは倒した後がめんどくさいんだよね、核突いて倒したら腕がベチャベチャになるし」
「あー···確かにそうですね」
「何その話」
傷付けて絶命させるやり方じゃなくて確実に殺す徹の戦い方、魔物を討伐する時の顔、魔力が無いと言われたのに魔力のあるあたしよりも過敏な神経、···そして、かかったら最後、ベルのあの技や確実に死ぬという呪いを無効化する殺気、徹は喧嘩が得意なんじゃない
「おーい石のまじーん、出てこいやーい」
「そんな簡単に出ませんよ···」
徹が得意なのは···殺しだ
「···」
「···全然出てこないな、どこにいるんだろ?」
「もう少し奥の方ですかね?"石の魔人"の主な生息地と言われてもいるのは奥地って聞きますし」
「あ、そう?じゃあもうちょっともぐってみよっか、さっちゃん行くよー」
「···」
「さっちゃんどしたの?」
「え?あ、なんでもないわ、そんで下いくの?」
「うん、で僕の後ろについててくれない?」
「なんでよ」
「暗いところでさっちゃんが襲われたら大変だし」
「あたしあんたと違って魔力感じれるけど?」
「あ、そっか、でも一応後ろにいて、その後ろにアンジーさんがつくから」
「後ろは私に任せてください!!これでもオレンジランクですからね!!」
「頼もしいわねアンジー、···じゃあ言う通りにしましょうかね」
「そのかわり灯りはお願いね」
「はいはい」
···とりあえず今は徹の事は置いといてクエストやってランク上げしないと、元の世界に帰る為にも
「···今んとこ足引っ張ってんのあたしだもんね」
「ん?さっちゃんなんか言った?」
「なんも言ってないわよ、あんた先頭なんだからちゃんと前向きなさいよ」
「わかってるって」
「···」
「···やー、これが石の魔人で間違いない?」
「ま、間違ってないですけど···!?」
「と、徹あんたなに普通にしてんのよ!?」
「普通にって、さっちゃん達こそなんでコソコソしてんの?」
「あんた今の状況よく確認しなさいよ!!!」
「···なんか問題ある?」
「大ありよ!!!あんたそこ石の魔人の巣なのよ!?」
洞穴の奥に住むと言われる石の魔人、その奥地に着いたと同時にあたし達は石の魔人に囲まれてしまった、周りに同化していたし魔力も感じなかったからあたしも気づかなかった、おまけに殺気も感じなかった故に徹ですら気づかずに巣のど真ん中に足を踏み入れてしまっていた、ざっと数えても15体ぐらいいる
「···なら好都合じゃない?」
「はぁ!?」
「だって今回のクエストで必要なのは石の魔人が稀に落とす"命の水晶"なんでしょ?だったらここにいるやつ倒していけばいつか落とすでしょ」
「そりゃあ···そうだけど···」
「ならいいじゃん、···あー、ベルさん達のやり方じゃないとダメなんだっけ、じゃあさっちゃん木の棒硬くしてよ」
「結局木の棒なのあんたは···」
「鉄パイプのがいい?」
「付与するならなんでもいいけど···」
「なるべくそっちにいかないようにするけどなんかあったらアンジーさんよろしくね」
「は、はい···」
「···アンジーよく見ときなさいよ、あれがあんたが気になっていた徹の実力よ」
「っ···」
「さっちゃんお願い」
「···"硬化付与レベル3"」
「···よし」
魔力を付与した木の棒を確認して徹は石の魔人の巣の中へと歩を進める、あたしとアンジーはそれを陰から見るだけ
「···ドロップするように、か···難しいな」
カン···カン···
「···うん」
タンッ···
ガンッ!!!ミシミシミシッ···!!!ズズゥン!!!
「!?」
「···」
「···レベル3は硬すぎたかな」
付与をつけた武器を持っていたとしても不容易に魔物に近づけばただでは済まない、しかもそれが木の棒なら尚更近づいたら危険だってのはあたしでもわかる、でも徹はそんなのお構い無しに石の魔人を一体倒した、···それもたった一振りで、いくら付与をつけたとしても木の棒ごとき石の塊に近い魔物を一撃で割れるようなものなのか
「···これが···トオルさんの実力なんですか···?」
「···」
アンジーはこれでも驚いてるようだけど実際の徹はこんなもんじゃない、まだ徹は肩慣らし程度だ
『オォオオオオオンッ!!!』
「···」
一体倒した事により周りにいた石の魔人達が一斉に徹に襲いかかってこようとしていた
「トオルさん!!!」
「アンジー迂闊に近づかない方がいいわよ」
「でもあれじゃあトオルさんが···」
「あたしが近づくなって言ったのは徹の方よ、周りは見てると思うけど···」
ガガン!!!ミシミシッ···
「···巻き込まれるわよ」
「っ!?」
囲まれた徹に手を貸そうとするアンジーを引き止めた瞬間徹のギアが入ったのか石の魔人を倒すスピードが上がり始めた、初めて見る徹のギアの上げ方に少し驚くけどアンジーの前だ、少し冷静にならないと
「···体も温まってきたし、そろそろ片付けよっか」
「オォオオオオオンッ!!!」ゴォオオオッ···
「···頼むから落としてよ、命の水晶を···!!」
「···」
「···どうよアンジー、あれがあんたの見たがってた徹の強さよ」
「···ここまで強いっていうのは想像以上でしたね、確かにあの実力であればバーダンさんもベルドットさんも赤子の手をひねるようにいなせますね」
「狂ってるでしょ?でもあれまだ本気じゃないわ、デスリボンだっけ?あの呪い魔法を打ち消す程の殺気を放ってないし、おまけに一撃で絶命させないように加減してる」
「···あれでなんですか?」
「えぇ、···ねぇアンジー、冒険者以外のジョブって存在するの?」
「一応存在はしますがジョブと言うよりクラスですね、ギルドに所属する冒険者は冒険者以外を名乗る事は無いですから」
「クラスか···どんなんがあるの?」
「使っている武器にもよりますが戦士型、魔法使い型、回復師型、それと狩人型などがありますね」
「!!!」
やっぱりあった
「···アンジーから見て徹は何型に見える?」
「そうですね···」
「···どうしたのよ」
「いえ、···トオルさんに当てはまるクラスがわからないんです」
「どういうことよ、あるんでしょ?」
「近いもので言えば狩人型なんですが···狩人型でも多少は魔力を持っているはずなんです、···でもトオルさんは魔力が無いから···」
「···」
···この世界に生きる大体の人間は魔力を持っている、あたしだってそれがあったからウルによってこっちの世界に呼ばれたんだ、でも徹は魔力を持っていない、バクもそんな人間がまだいるのかって言ってたっけ
「···お前で最後かな」
「オォオオオオオンッ!!!」ゴォオオオッ
「···」タンッ!!
ドゴォオン!!
「···?」
「こっちだよ」
「!!」バッ···
ズバッ
「···」
「オ···オオ···オ···」バラバラ···
「···お、これが命の水晶かな」
ズズゥン···
「···終わったよー」
「···すごい、まだ10分もかかってないのに」
「そんな速いの?」
「石の魔人一体倒すのでさえ同じ青ランクの冒険者が五人で一時間かけて倒すのに···」
15体ぐらいいた石の魔人をたった一人木の棒のみで全て倒した、どうやら一体を一人で倒すのも異常らしい
「てかどうしよう、命の水晶15対倒して一個しか手に入らなかったんだけど」
「はぁ!?あんたまた変な倒した方したの!?」
「さっちゃん見てたでしょ?僕そんな事今回やってないって」
「じゃあなんで一個しか手に入らないのよ!!!」
「いやアンジーさんも稀に落とすって言ってたじゃん」
「どうすんのよあんたほとんど倒しちゃったんでしょ!!?」
「んー···アンジーさん、この洞穴ってまだ奥ある?」
「へっ?あ、ありますけど···」
「じゃあそっち行ってみよ、時間かかるかもしんないけどそっちのが確実みたいだし」
「もう···どんだけ時間かけるつもりなのよ」
「···なんかさっちゃんがやったらすぐに出そうだね」
「んなわけないでしょ」
・
・
・
・
・
・
「···とりあえずサユミさん、トオルさん、クエストお疲れ様でした」
「えぇ、アンジーもお疲れ」
「···最初からサユミさんがやればすぐ終わりましたね」
「黙れ」
···ほんとにあたしが魔法で倒したらすごいドロップしはじめたんだけど
「···トオルさんの今のランクでその実力だとまるで詐欺ですね」
「まー詐欺よね、木の棒一本でぶっ倒してんもんね」
「木の棒はいくら魔力付与をつけたとしても耐久性がないのですぐ壊れるんですが···トオルさん一本だけでクエスト終えてますし」
「寄生されたベルとあの木の棒でやりあってたけど」
「···嘘ですよね?」
「ほんと、ウルも見てるし」
「···ほんとにトオルさん何者なんですか?」
「コミュ障としか言いようないわ」
当の本人は昨日と同じくしょっぴかれてるけど
「···で、命の水晶って結局何に使うもんなの?」
「命の水晶はポーションを作るのに必要な道具なんです、稀に天然物が出ることはありますがそのおかげで石の魔人が生まれたっていうのもあるんですよね」
「魔物になるって随分と皮肉なもんね」
「まぁよくあることですし」
「···つかポーションってなんなのよ」
「あ、そういえばサユミさん達は初心者でしたね」
「アンジー忘れてたんかい」
「すいませんって、···ポーションっていうのは飲むと耐性がついたり体力が回復したりする液状の薬の事です、主にパーティーに回復師がいない時や回復師の魔力が尽きてしまった時、それと初心者などがよく使いますね」
「ほーん、そんなんがあるんだ、でそれを作るのに命の水晶がいるってことなんね」
「いえ、普通のポーションは命の水晶を使いません、命の水晶を使うポーションは万能薬としての効果を持つんです、ただし呪い以外の状態異常に効果があるだけですけどね」
「···えっとつまり、簡単に言っちゃえばなんでもなおしって事?」
「まぁそうですね、呪いは状態異常ではないので」
「···まぁそんなんできたらバーダンもああはならなかったんでしょ」
「そうですね」
「悪いわね、しんみりさせちゃって」
「いえ、サユミさんやトオルさんがいなかったらこのギルドは暗かったままだったと思います、ギルドのNO.1冒険者亡き後のウラヌスがここまでの活気を取り戻せたのも二人のおかげだと思っています」
「あたし達はなんもしてないでしょ、さて、あたし達もそろそろ帰るわね」
「はい!!お疲れ様でした!!!」
「徹ー、帰るわよー」
「あ、うん待ってよさっちゃん!!」
「···」
「···どしたの?」
「···ホントこうやって見るとあんたって狂ってるわよね」
「酷くない?」
「···あのーひとついいですか?」
「なによ」
「どうして私はさっちゃんさんに叩かれたんですかね?」
「あんたがクラスとかポーションの説明をしなかったからに決まってんでしょうが!!!」
「すみません!!その辺は後で説明するつもりでした!!」
「アンジー初心者がよく使うとか言ってたわよ!?」
とりあえずベルの屋敷に戻って今日の事を文句片手に報告してやった、···グラントラス救う前にこいつのポンコツ治すのが先だと思うんのはあたしだけなの?
「···それで二人の方はなんかわかったの?」
「そこまで詳しくはわからんがトオルが倒したあの呪いの紋様使いはどのようにして魔族に魂を売ったのかという見当は付いたな」
「あ、そうなんだ、で、どういうルートなの?」
「恐らくだが魔族側がこちら側で人間の弱みを握り、そこに漬け込むようにして魂を売らせるという手口だな」
「わお、随分と古典的な手口だね」
「むしろそっちの方が好都合なんだろう、こっち側に不満を持つ者を取り込めば魔族側はどんどん勢力を拡大できる」
「そっか···、ねぇさっちゃん聞いてた?」
「あ?何が?」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」ギギギッ
ベルにもう一度調べてた事を報告してもらい、あたしも理解できたところでこっちの報告をベルにもする、ウルにはしたってあんまり意味ないと思うからしない
「···アンジーがそう言ったのか?」
「えぇ、徹に当てはまるクラスは無いって」
「···私的には徹は狩人型と思っていたが···」
「でも戦い方を見れば戦士型とも言えますよね、前線に立って戦いますし、使う武器は細長い棒状の物ですし」
「棒状というかただの棒でしょ」
「···さっきからなんの話してるの?」
「···ねぇ徹、あんた喧嘩する時ってさ、何考えてんの?」
「へ?どういうこと?」
「だから喧嘩する時に頭の中で思ってる事よ」
「んー···あんまり意識した事ないからわかんないな」
「じゃあ魔物と戦ってる時とかは?」
「魔物と戦ってる時か···喧嘩してる時と同じでなんも考えてないかな」
「···」
···頭の中でどう戦うか考えずに魔物と戦ってる、つまり徹の戦い方は徹の本能によるものってことなの···?
「で、それがどうかした?」
「···いや、なんでもないわ」
「トオル、今日はこの後頼む」
「わかった」
「···」
「···紋様使いにはムカついたから呪いを弾きそれ以外の魔物には何も考えずに戦う、正直言ってトオルさんのやり方は前代未聞ですね」
「···あたしは魔力量が異常なだけでそれ以外は普通なんでしょ?」
「普通···なんでしょうか」
「おい」
「冗談ですって」
「あんたも随分ラフになってきたわね」
「これが私ですから」
「···ウル、徹が喧嘩する時って下手したら相手を殺す為にやってんのかしら」
「···どうしてそう思うんですか?」
「向こうではあいつ喧嘩最強で通ってるし、だからこっちに呼ばれたんだろうけどさ、こっちに来てからの戦い方はどうみても魔物を確実に殺すための戦い方してるじゃん、それでもあいつは向こうとやってることは変わらないって言うし···」
「···」
「···もしかしたらあいつは一歩間違えてたら喧嘩で人を殺すこともできたってことなの?」
「···そこはあのダークイーターも言ってたじゃないですか、"力の使い方を間違えるな"って、トオルさんは自分の力を理解しているから、人と魔物とで加減をしてるんですよ、理解していなかったら最初にバーダンさんに会った時にバーダンさんを殺してましたよ」
「···それでも、あいつは血生臭いのに躊躇無いし、向こうにいる時よりも戦うことに対して好戦的になってる気がするのよ、ベルと戦闘した時だって···」
「···さっちゃんさん、このことを考えるのはやめましょう、でないとあなたが先に壊れてしまいますよ」
「···そうね、いくら戦い方が狂ってるとはいえ徹は徹だもんね」
···結局その日は徹の事を考えるのをやめて休息に着いた
···翌日、今回はウルもベルも同行してクエストを受けることに
「それで、今回はどんなクエスト受けるんですか?」
「そーねー···あたし達まだ青ランクだし、無難にここら辺のやってく?」
「そうだな、今の所だと思うここら辺はどうだ?」
「いいんじゃない?」
「···というかトオルさんはどこいったんですか?」
「あっちよ」
「···あのー···僕これからクエスト行かなきゃいけないんだけど」
「それまでちょっと話そうぜあんちゃんよ〜」
ほんといつの間に引っ張られたのよあんたは···
「徹ー、クエスト行くわよー」
「えっ、待ってよ!!」
「アンジー今日これやるからお願いねー」
「わかりまし···」
バンッ!!
「大変だ!!!」
『!?』
「ちょ···なによ急に」
···どうやらあたし達には
「ど、どうしたんですか?」
「ま···魔族が···魔族がマノウハルスに進撃してきたぞ!!!」
「はぁ!?」
のんびり過ごしている時間はないみたいだ
GO TO NEXT ADVENTURE?




