迷子になりまして
···突然だが今あたしは
「···どこいったあのポンコツ女神がぁあああああああっ!!!」
森の中で絶賛迷子中である
事の発端は三時間くらい前まで遡る、新しいパーティーのメンバーとして白ランクの冒険者でギルドでの実力がNo.2のベルドッドを加えやっとパーティーらしくなってきたところで受けたクエストの道中での事だ
「···で?結局それなんなのよ?」
「わかりませんね、届けるまで開けちゃだめだって言われましたし」
「別段中から魔力を感じる訳でもないなら危険なモノではなさそうだな」
「···んー」
「どうしたんですかトオルさん」
「やっぱ落ち着かない」
「それでもトオルが言うから妥協しているんだぞ?」
「···まあ鎧よりかはマシかな、うん」
クエストに向かう前、徹とあたしはベルとウルの提案で装備を整えた、あたしがウル曰く防御力と魔力の増強が付与されているローブとその他動きやすい服、それと魔力出力に使う杖を、徹は···正直前とどこが変わったのかわからないレベルの服と何故か鉄パイプを購入(お代は全部ベルが払ってくれた)し、装備、なお着ていた制服はウルに教えてもらった収納魔法で徹のものと一緒にしまっている
「···にしてもこんなん届けんのなんてすぐ終わらない?テレポートあるんだし」
「テレポーテーションは上級魔法になるので魔力の少ない一般人は覚えられないんです」
「ほーん、で、その届け先ってのはこの森ん中を通んないと行けないの?」
「そうですね、···ただこの森は"迷いの森"と噂されている森なんですよね」
「現に随分前だったかこの森に入った初級冒険者から救助の要請があったんだ、この森は一度踏み外したら自力で抜け出すことは不可能に近い森だ」
「···そんな森通らなきゃいけないのか」
「···まーうだうだ言ってもしょうがないし、とっととこれ届けてクエストクリアするわよ」
「ですね」
「どっちにしろこのクエストのランクは今のあたしと徹でもクリアできるレベルなんだし、死ぬような内容でも無いんだから大丈夫でしょ、それにウチにはベルがいるんだし」
「え、なんで私じゃないんですか?」
「自分の胸に手を当てて考えなさい」
「···え?」
「それでわからないからポンコツって呼ばれんのよ」
「酷くないですか!?」
「おーい、早く行こうよー」
「どぉっ!?徹あんたベルとウルの話聞いてなかったの!?」
"迷いの森"と呼ばれている森の前でぐだぐだしていたらいつの間にか隣にいたはずの徹が森の中からあたし達を呼んでいる、あいつこっちに来てから自分のペース貫きすぎだと思うんだけど!?
「···にしても薄暗いわねこの森」
「相当一本一本の木が大きいんだね、陽の光がほとんど入ってこないもん」
森の中は颯爽と木々が生い茂っていて舗装も特にされてないから倒木とかも道の真ん中にそのまんま残っている、···いやほとんど道ないんだけど
「だがこの森に別段魔力は感じられないから本当にただの森なんだろうな」
「ですね、ダンジョンなら魔力を感じますし」
「あ、そうなんだ」
「あんた魔力感じられないもんね」
「ほんとなんでなんだろうね···」
「逆になんで敵意は察知できるんでしょうか?」
「なんでだろうね···」
「そこはわかんないのか」
「僕だって好きで喧嘩してたわけじゃないし」
···そのまま何事もなく進めばクエストはすぐに終わるはずだった
「···お、ここ拓けてんじゃん」
「ちょうどいいですしここで一旦休憩にしましょうか」
「そだね」
「ならトオル、私に鍛錬を頼む」
「えぇー···あれホントにやるんだ···」
「もちろんだ」
「んー···じゃあちょっと待ってて、今手頃なの探してくるから準備運動してて」
「わかった」
そう言って徹は森の中に戻り、数分もしないうちに手頃なサイズの木の棒を何本も持ってきた
「トオルさん、多くないですか?」
「まーまー、ベルさんはこの中から二本使っていいよ、僕は一本で相手するから」
「徹あんた正気なの?」
「なにが?」
「だってベルはあんたよりもランクは上なのよ!?」
「そうだけど、僕も鍛錬なんて初めてだし両手使ってたらアドバイスできないかなって思って」
「···じゃあコレとコレを使わせてもらおう」
「じゃ僕はコレかな、さっちゃんあとどっかに戻しておいて」
「あたしが?」
「ウルさん荷物持ってるし、それとやってる時はなるべく僕とベルさんから離れてて」
「···わかったわよ」
「···じゃあベルさん初めよっか」
「あぁ」
···木の棒を持って対峙する二人、普通の鍛錬ならわけない事だけど対峙する二人からはお互いがお互いを本気で仕留めようとしているのがわかる、あたしでもわかるんだから相当だろう、まだ向こうにいた頃マンガで強者と強者が対峙する時に空気が変わるというのを見たけどまさに今その状態を目にしている
「···っ」
「···さっちゃんさん、あの二人の初手に気をつけてくださいね」
「防御魔法とかないの?」
「"防御壁"はありますけど···」
「それとっとと教え···」
カァアアアンッ!!!
「っ!!」
「···」
「はぁっ!!!」ブンッ···
「···初手はいいけど二手目に移る時の動作が大きいかな」カカンッ
「ぐっ···やはり流石だなトオル···!!!」
「···」
二人の木の棒が当たる度鳴り響く乾いた音、ベルの二刀流での猛攻に対して徹はたった一本でベルの猛攻を全て受け流している、···それも片手で
「っとにあいつ人間なんでしょうね···!?」
「間違いなく人間ですよ、召還する時にステータス確認してますし」
「向こうと全然違いすぎるわよ···!!」
向こうでの徹とこっちの徹は本当に同一人物なんだろうか、そう思えるほどこっちの徹は人が変わったかのようにベルと鍛錬をしている
「···」カンッカンッ
「はァああっ!!!」ヒュンッ···
「お」ヒュンッ
カンッ!!カクンッ!!
「っ!!」
「···」コォオオオッ···
「まだ私の攻撃は···」ザクッ,タンッ···
「···」コォオオオッ···
「···終わってないっ!!!」ブンッ
「!!」ヒュンッ
カァアアアンッ!!!
「っ!!!」
「···今のはいいね、けど···」タンッ
「なっ···!?」
パァンッ!!!ドカッ
「ぐあっ···!?」
「···決め手に自信を持ちすぎかな、それをいなされた時の対応がまだ出来てないよ」
突きを下げられた反動を利用して上から叩きつけようとしていたが下げた木の棒を振り上げてそれをいなした徹もその反動を利用してベルを蹴り上げた、空中で攻撃をはじかれてどフリーのベルに徹の蹴りがモロに入りベルは地面に背中から落ちて倒れた、···なんなのよあんたのその冷静な対応は
「···な、なるほど···」
「一手一手のパワーだとそこはやっぱ経験の差が出るけど合わせが入ると少しパワーが落ちるのが難点かな」
「···」
「···あれ?僕なんかおかしな事言っちゃったかな?」
「いや、さすが私が師として慕う男だと思ってな、そうか合わせか···」
「まぁ合わせの部分は今はいいや、とりあえず今は三手目を覚えようか」
「わかった、ならもう一回手合わせを頼む」
「うん」
「···っそでしょ···!?」
「あの戦闘センスは一体どうやって手に入れたんでしょうか···?」
「それもそうだけど、徹が自分から会話を作ってる···だと···!?」
「あ、そこなんですか?」
「普通はそこよ!!!あの数日前まであたしとしかまともに話ができなかった徹がよ!?」
「確かにそうですけども!!今は見るとこが···」
「てかあんたは早くあたしに"防御壁"のやり方教えなさいよ」
「あ、そうでしたね、防御壁は···」
徹とベルの鍛錬を横目にあたしも新たな魔法を覚えようとした時だった
「···はぁっ!!!」
「···っ!?さっちゃん!!!ウルさん!!!避けて!!!」
『えっ···』
徹達の方から吹いてきた突風のようなものに···
「うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「っ!?」
徹含め、あたし達三人は吹き飛ばされた
そして話は冒頭に戻るわけで今現在あたしの周りには誰もいない状況、おまけに吹き飛ばされた方向がわからず方角を確認できるようなものもない
「···っとに何したのよベル···」
その場で止まっていてもしょうがないしカンを頼りにさっきの拓けた場所に戻ろうと歩いている
「徹ー!!ウールー!!ベールー!!どこいんのー!!?」
···呼び掛けても返答が返ってくるはずもなくより一層深くなった森に風が通る音しか返ってこない、···相当飛ばされたみたい
「···」
···陽も傾き始めたのか薄暗かった森の中はより一層暗くなり始め闇に包まれるようにその不気味さが加わってくる
「···燃やしちゃえば楽か、···あ、ダメだあたしが助かんないじゃん」
徹に前教えてもらった化学で木を燃やせば酸素が薄くなるって言うのを覚えていたから、一瞬でその方法が却下になった
「どうすりゃいいのよ···徹ー!!ウールー!!ベールー!!いるなら返事しなさいよー!!」
···もちろん返事なんか返ってくるはずがない
「···」
···道無き道を進み、時に獣道を見つけたり、ウルかベルの魔力の探知をしようと試みるけどやり方がわからなかったり
「···っとにどこにいんのよ···うわっ!?」
···足下が見えなくなるほど暗い中を歩いていた為何に躓いたかわからないけど何かに足を引っかけて顔からいった
「···ァああもう!!!どこ行ったあのポンコツ女神がぁあああ!!!」
···叫んだところであの女神が出てくるはずもなくあたしはそのままその場で寝転がった、夜は魔物が活発になるだろうからこんなんやってたら命を捨ててるようなもんだけど今コケたやつで足を痛めたから立つ事ができない、···いや、回復魔法使えばいいんだろうけど不思議とそんな気にもならない
「···」
···そのまま疲れが出たのだろうかあたしはその場で眠ってしまった、魔物に殺されるかもしれないという危険も頭に入ってたけど魔力も感じないから大丈夫だろうと思ってその場で意識が遠のいていった
「···み」
「···んんー···ぁによ···」
「紗弓!!!起きなって」
「ぇあ?···あれ···?あんたなんでこんなとこにいんの···?」
「こんなとこ···って、学校なんだから当たり前でしょ?」
「···ん!?」
遠のく意識の中誰かに体を揺さぶられながら意識を戻すとそこはあたしの通っている学校だった、あたしを揺さぶって起こしたのはいつも学校でほぼ一緒にいるクラスメイトの一人で···
「ど、どうしたのよ急に立ち上がって···」
「···戻っ···てきたの···?」
「さっきから紗弓寝ぼけてるの?」
「そうだ···徹は!?」
「ほ、ホントにどうしちゃったのよ、海堂なら···」
「···ぇ···?」
クラスメイトが指差した方にあったのは···
「···なんで···?」
「なんでって、紗弓ホントに覚えてないの?」
黒縁の写真たてと花の瓶が徹の机の上に置いてあった
「···ぇ···?」
「···バスが横転する事故に巻き込まれたんだって、原因はバス会社の整備ミスで乗ってた人はほとんど生きてたんだけど、海堂だけは乗り合わせてた女の子を庇って頭に手すりのパイプが刺さって···」
「ちょっと待ってよ···そのバスあたしも乗ってたのよ···?」
「ホントにどうしちゃったのよ、紗弓ならその日一緒にゲーセン行ったじゃない、ほらプリクラも撮ってるし」
「っ!!!」
プリクラに書いてあった日付はあたしと徹がそのバスに乗ってグラントラスに召喚された日付、この日は確かに徹とバスで帰ったはずだ
「そんな···冗談でしょ···?だってあたしと徹はあの時···」
「ちょっ···紗弓!?大丈夫なの!?保健室行く!?」
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで···!!!?」
「紗弓!!!紗弓ってばしっかりして!!!」
···その時だった
「!!!」
頭の中に身に覚えのない徹の告別式と火葬の記憶が流れ込んできた、棺の中で安らかに眠る徹の姿、その頭にはパイプが刺さってた証拠とも言える傷痕、悲しみに暮れる徹のお母さんにあたしの母さん達、その後に棺が火葬場で···
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
「紗弓!!しっかりしてって!!!だっ誰か先生呼んできて!!!」
身に覚えのない身内の死、受け入れることのできない出来事に耐えられなくなったあたしは···
「···ぅょ」
「紗弓···?」
「···そうよ、これ全部夢なんだわ···あの徹が死ぬはずないもの···」
「紗弓ホントに何言って···」
「あたしは徹と一緒にグラントラスに飛ばされたの、もうあっちで何度も寝てるし痛みも感じてるんだからそんなに都合よくこっちに戻ってなんかこれないわ···」スッ···
これが夢の中で、見ているのが悪夢ならやる事はただ一つ、この悪夢のような夢を壊すまでだ
「···"冥界より目覚めし闇の力よ"」
「ま、待って···な、何その力は···!?」
「"我と共にこの根源を葬りされ!!!"」
「やめっ···!!!?」
「"ダーク···インパクト"ォオオオッ!!!」
刹那···
ゴォオオオオオオッ!!!
「ぐぁあアアああア!!!!!?なンだソノマリョクハぁ!!!?」
「消し飛べ悪夢如きがぁあああああああああああああああああああっ!!!」
「ヤメ···やメロぉおオおオオオッ!!!」
···クラスメイトの姿をした何かから発する断末魔のような悲鳴、それが低くなり始めると周りの景色も一変し、魔法がおさまる頃には何も無い無の空間が現れた
「···」
···わかってはいたけどやっぱりまだあたしはグラントラスにいたのか
「···ウゥ···」
「!!」
足下の方から呻き声のような声が聞こえてきたからそっちを見るとダメージを負った···なんだっけ、バク?みたいなのが転がっていた
「···あんたね、あたしの夢に土足で踏み込んで来たやつってのは」
「ウグッ···ナゼコムスメゴトキが我の悪夢ヲ破ッタンだ···!?」
「生憎だけど、あんなんで狂う程を人間できてないのよあたしは」
「エッ、ダイブ狂ッテタガ···」
「やかましい、大体あんたなんなのよ、獣なのか魔物なのかわかんないくせに」
「ナンダトコムスメ!!!この我にムカッテ···」
「"グラビティ"」ギュッ
「ギャアアァアァアァアァアァアアアアッ!!?ナニヲスルンダァアァァアアァァアァアァアッ!!?」
「うるさい、とっととこっから出せ」パッ
「ウグッ···フフフ、我の悪夢ヲ破ッタノは認テヤロウ、ダガ!!!」
「"グラビティLv.2"」ギュウッ
「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!潰レル潰レル潰レル潰レル!!!」
「とっととあたしをこっから出せ、ついでに"迷いの森"の道案内もよろしく」
「ナゼ我ガ···」
「"グラビティLv.3"」ギュウゥッ
「アギャアァアァアァアアアアア!!?ワカッタワカッタワカッタワカッタ案内スルカラ!!!ソノ魔法ヤメ···」
「あともっと流暢に喋れ、さっきまで流暢に話せたんだからできるだろ」ギュウゥッ
「あぎゃああああああっ!!?」
数分後···
「···で?あたしはどうやったらこっから出られんのよ」
「エーット···お主が誰カニ起こサレレバデラレマスハイ···」
「···あたし今迷ってんだけど?」
「我二行けとイウノカ!?」
「あんたの世界なんだからあんたが外に出て起こしなさいよ」
「···お、鬼カコムスメ···」
「"グラビ···"」
「ワカッタワカッタ!!!ダカラソレヤメロ!!!」
「逃げたらぶっ飛ばすからね」
「ハイ···」
・
・
・
・
・
・
「···キロ、オキロコムスメ」
「···んぁ?」
体を揺さぶられ目を覚ますとそこはさっきよりも真っ暗な森の中だった、そしてあたしを起こしてくれたのはクラスメイトではなく夢の中で会ったバクのようなやつだ
「···んー、真っ暗ね」
「···モウカエッテモイイカ?」
「ダメ、あそうだ」スッ···
「コ、今度ハナンダ!?」
「"ヒール"」ポワッ
「っ···?ナ、ナゼ···?」
「お、あんただいぶ綺麗な身体してんのね」
とりあえず傷だらけのがあたしの周りにいると気分が悪くなるから回復魔法で少し回復させる、···初めてやったけど成功してんじゃん
「コムスメ、ナゼ"ヒール"を?」
「そんなん試しに決まってんでしょ、とりあえず成功してるから···足に"ヒール"」ポワッ
「···」
「···うん、足もおっけーね、さてとあのバカと合流しないとねー」
「コムスメ、オ主···」
「あ、見つけたらあんたガイドさせるからね」
「ヤッパリ鬼カ···」
「なぁに?そんなにあたしの魔法まだ喰らい足りない?」
「ナンデモナイ」
とりあえずバク(?)を連れてはぐれた三人を探すことに
「あんたこの森長い?なら拓けた所に行きたいんだけど」
「コウモ暗イト我デモ難シインダガ···」
「あっそう」
「···」
「なによ」
「イヤ、強制労働ヲ強イラレルト思ッテタガ···」
「あたしに口答えしたらね」
「···優シイノカ鬼ナノカ···」
「あ?」
「ナンデモナイ」
「···ねぇ、なんでこの森"迷いの森"なんて言われてんの?」
「ソレハ我ニモワカラン、我ガコノ森二来タ時ハスデニソウ呼バレテイタ」
「···あんたいつからここに住んでんのよ?」
「人間ノ時間軸ハワカランガコノ森ノ木ハ百回葉ガ落チルノヲ見タコトカ」
「···やっぱあんた魔物なのね」
「魔法ヲ使エルコムスメガ今更ナニヲ言ウカ、ニシテモコムスメオ主闇属性ノ魔法ヲ使エタノカ」
「一応ね、···つってもまだ基礎魔法だけだけど」
「···」
「どしたの?」
「オ主ガ我二アテタアノ魔法ハ闇属性ノ中デモクラスノ高イ魔法ダ、アレヲ初メテ唱エタトイウノカ」
「そうよ?つってもあの魔法の存在すら知らなかったし、名前もなんか急に出てきたし」
「···オ主イズレ偉大ナ魔法使イニナルゾ」
「なる気なんかないわ」
そうこう話してるうちに月明かりの射す拓けた場所に来た、···間違いない、あたしが吹っ飛ばされる前にいた場所だ、だって木の棒が刺さってるんだもん
「戻ってきたわね」
「ダガ、ヤハリ誰モイナイミタイダナ」
「···"フラッシュボール"」ヒュンッ···パァンッ
「ナニヲシテルンダ?上カラ合図シタトコロデ見エナインダゾ?」
「いいのよこれで、魔力結構込めたんだし」
「···ナルホドソウイウ事カ」
あたしの思惑を理解してくれたのか
「···お」
「サユミ!!無事だったか!!」
「まーね、次からあたしが"防御壁"張ってからやんなさいよ?」
「すまない、私としたことがトオルと闘うと周りが見えなくなって···」
「次気をつけりゃいいのよ、悪いのはあんたじゃなくてトオルとあのポンコツなんだから」
「そ、そうか···」
あたしを吹っ飛ばした張本人であるベルが真っ先に戻ってきた、流石は白ランク冒険者ね
「···で、サユミ、この魔獣は?」
「あぁ案内役」
「ソノ説明ヤメロ」
「案内役···"迷いの森"の主か?」
「イヤ違ウ、コノ森ノ主ハ我デハナイ」
「そうなのか···それよりトオルとウルはまだ見つからないのか?」
「あのポンコツはそのうち来るとして問題は徹の方よ、あいつ魔力感じれないから」
「···マダコノ世ニイタノカ、ソウイウヤツガ」
「···どうするかなぁ···」
魔力を感じれるウルはどうでもいいが徹をどうやって感づかせるか、それを悩んでる時だった
···ザワッ
「!!ナンダ今ノハ···!?」
「どしたのよ」
「···サユミ、下がっててくれ」
「え?」
ガサッ···ヒュンッ
『!!!』サッ
ガキィイイインッ!!!
「っ···!?」
「···あれ?ベルさん、さっちゃんだ」
「と、徹!?」
何かの気配を感じた二人(一人と一体)が構え草むらから何かが飛び出して来て、それをベルが防ぐと飛び出してきたものの正体が鉄パイプを持った徹だった
「あんた魔力感じないのにどうやってここに!?」
「いや、最初一番初めに着いた時誰もいないからさ、この周辺探してたらいないかなって思って探してたらさっちゃんの近くになんかいるのがわかってさ、それで倒そうと思ったら」
「なるほど、だがトオルこの魔物は違うみたいだ、私が駆けつけた時この魔物がサユミのそばにいてくていたから危険な魔物ではなさそうだぞ」
「そうなんだ」
「···オ主魔力ナイノカ」
「え?あ、うん···待って!?喋るの!?」
「あんたより全然コミュ力高いわよこいつ」
「僕魔物以下なの···?」
「さて、残りはウルだな」
「もーうあのポンコツどうやって探せばいいのよ、魔力感じてきなさいよ」
「コレ以上捜シテモ体力奪ワレルダケダ、大人シク···」
「···今なんか聞こえなかった?」
「え?」
「シッ···何かの地響きか?」
徹の耳とベルが何かの気配を捉え再び構える二人、正直あたしは何も聞こえないし何も感じないからわかんないけど
「···コムスメ、今度ノハ危険ダゾ」
「え?」
「静かにして」
「···気をつけろトオル、デカいぞ」
「うん」
「だからなにが?」
何があったのか問い詰めていると···
「···きゃあぁああぁぁああ!!?」
『ウル(さん)!?』
「皆さん逃げてください!!!」
「ちょっどうしたのよ急に···」
ボゴォンッ!!!
『ーーーーーーーーーッ!!!』
「···なっ···!?」
森の中から走ってきたウルが連れてきたのは二体の巨大な猪の魔物だった
「ちょっと何こんなん連れてきてんのよこのポンコツ女神!!!」
「捜していてさっちゃんさんの魔力感じたから急いで行こうとしたら思いっきりこの魔物の足を踏んじゃって!!!」
「喋ッテルト舌噛ムゾ!!!全力デ逃ゲロ!!!」
「わっ!?なんでここにも魔物が!?えっと確か···ダークイーターでしたっけ!?」
「もうウル黙ってろ!!!」
「···」
「徹!!!あんたも逃げ···」
「···ちょうどいいやベルさん、鍛錬の続きやろうか」
「···そうだな」
「目標はこの魔物を五手以内で倒す事かな」
「五手か···」
「少ない?」
「いや、十分だ···!!!私は右をやる!!!」
「頑張って」
「ちょっ···」
何を思ったのか、ベルと徹は鍛錬の続きと称してこの魔物を討伐に立ち向かってった
「ーーーーーーーーーッ!!!」
「···お前の相手は···この私だッ!!!」タンッ
「ーッ!!!」
「···"雷光紫電斬"っ!!!」ブンッ!!!
ガキィイイインッ!!!
「ベルが弾かれた!?」
「いや、まだです!!!」
「っ!!はぁッ!!!」ズバッ!!!
「ーーーーーーーーーッ!!!?」
「···」
「"魔力付与、炎"!!!」
「ーーーーーーーーーッ!!!」ダンッ
「!!!」スッ
ガキィイイインッ!!!
「ぐっ···!?」
『ベル(さん)!!!』
「···」
「まだだ!!!」トッ···タンッ
自分の剣に炎を付与させた直後、猪突進に飛ばされるベルだけどうまく空中で体勢を整え、木にうまく足をつけてまた猪の方へと向かった
「···"煉獄凰牙"!!!」ゴォオオオオオオッ···ズバッ
「ーーーーーーーーーッ!!!」ボォオッ
「よし燃えた!!!」
「これで決める!!!"魔力付与、硬化"!!!」
「ーーーーーーーーーッ!?」
「···"凰牙···亀甲斬"!!!」ブンッ!!!
ズバァッ!!!ドドドドドド···
「···」
「···」スーッ···チャキンッ
ズズズッ···ズダァンッ
「···すごい···」
徹の提示した手数以内でベルは猪の魔物一体を真っ二つに斬って倒した、斬った時の反動が猪の後ろにも伝わったいったらしくその斬撃が木々を倒している
「···四回か、上出来だよ」
「そうか、···!!!トオル後ろ!!!」
「えっ···」
「トオルさん危ないです!!!」
···そういえば襲って来たのは二体だ、もう一体の存在をベルの戦闘で忘れていて既にもう一体は徹の後ろに···
「···僕は魔力付与はできないけど」
「ーーーーーーーーーッ!!!」
「···弱点付けば三手でいける」ブンッ···ガンッ!
「ーーーーーーーーーッ!?」
「···一手」タンッ
「ーーーーーーーーーッ!!!」
「···っ!!」ブンッ!!!ザクッ!!!
「ーーーーーーーーーッ!!!?」
「···二手」ガッ,ズボボボッ!!!
「ーーーーーーーーーッ!!!」ダッ!!
「あ、逃げ···」
「···逃がすか」クルッ···タンッ
「ーーーーーーーーーッ!!!?」
「···三手目!!!」ヒュンッ
ザクッ!!!ブシュウッ!!!
「ーーーーーーーーーッ···」
「···」ズボボボッ,ブシュウッ
「···ーッ···」
ズダァンッ
「···ね?」
「···ホントに三手で倒した···」
ベルの戦闘をはるかに上回るように、徹は持ってた鉄パイプでまず足下を崩しその崩れた状態で鉄パイプの反対側で視力を奪う、その視力を奪われて狼狽えている所を真下に回って腹に突き刺し猪を倒した、明らかにベルと徹で違うのは返り血に怯まないで一切技を使ってないという所だろうか
「···オ前、コムスメト同ジ人間ナノカ···?」
「···魔物のあんたが引くんだから相当よね」
「ベルさん、今のわかった?」
「あ、あぁ···」
「···はぁー助かった···」
「とりあえずウルちょっと頭だせ」
「え?」
その後バクの案内によりあたし達はようやく···
「抜けたァ!!!」
「長かったですねここまで···」
「ありがとねバク!!!」
「我ハバクトイウ名デハナイ」
「だってあんた一切名前言わないし」
「名前ナドハツイテナイ、我ハ魔物ダカラ」
「ダークイーターは悪夢を見せると言って忌み嫌われてますからね」
「ウル黙れ」
「はい···」
「じゃーいーじゃんバクで、なんかぽいし」
「バク···ソレガ我ノ名前デイイノカ···?」
「いいと思うぞバク、悪夢を食らいつくす感じかいいじゃないか」
「···初メテダ、我ヲ見テ忌ミ嫌ワナカッタモノハ」
「なんか言った?」
「···イヤ、ナンデモナイ、我ノ案内ハココマデダ、アトハコムスメ等デ進メルダロウ」
「うん、ありがとねバク」
「···ゴゾウ、オ前ノソノ力ノ使イ方ヲ間違エルナヨ」
「え?うん、わかった」
「ジャアナ」
徹にそう言い残しバクは森の中へと戻っていった
「···さぁ!!!後はこれを届けにいくだけですよ!!!」
「もう帰りはウルがテレポート使いなさいよ?あの森通るのはもうゴメンだわ」
「けど見てさっちゃん、ベルさんが斬ったからもう"迷いの森"とは言えなくないかな?」
「···なんか大変なことをしてしまったな私は」
「まーいーっしょ、ほらとっとと行くわよ!!!」
それからまた数日後···
「···トオルさん、サユミさん、ウルさん、ベルドットさん、クエストお疲れ様です!!トオルさんとサユミさんとウルさんは次からワンランク上のクエストに挑戦する事ができますので次も頑張ってください!!!」
「あ、どうもありがとうございます」
「ではこちら報酬となります!!皆さんゆっくり休んでくださいね!!」
「あ、はい」
「···あんただいぶ人と話せるようになったわね」
「もう何度もやってるし」
「ではスキルポイントを振りましょうか」
ギルドにやっと戻ってきたあたし達はトオルに受付をやらせてようやくクエストクリアとなった
「···あ、そうだウル、バクが言ってたんだけど闇属性の"ダークインパクト"ってそんなに難しいの?」
「えっ?それ使えたんですか!?」
「一応ね、もうやり方忘れたけど」
「えぇー···闇属性と上級魔法なのにそれをいとも簡単に···」
「あ、そうなんだ」
「トオル少しいいか?」
「何?」
「トオルのあの攻撃は···耐性大丈夫なのか?」
「まぁ喧嘩してると自然と相手血流すし」
「それで片付けんなコミュ障」
「···とりあえず、明日は一日休みましょうか」
「···レンドハグウスの動きはないのか?」
「···今のところありませんね」
「ならそーしましょっか」
こっちに来てからもう一週間は経ったのだろうか、ずっとクエストで動いてばっかだから一日体を休めることに···
だけど···
「おい大変だ!!!」
「なんだどうしたんだよ」
「いいからスグに来てくれ!!!バーダンがやられた!!!」
「何っ!?」
「誰よバーダンって」
「トオルさんが初日に投げたあの人ですよ、確か私達がクエストに行ってる間に回復したとは聞いてまっすが」
「···どっちにしろ厄介な事は間違いないね、さっちゃん行ってみよ」
「あんたが行くとややこしくなるからやめなさい、あたしとベルで行ってくるから、行くわよベル」
「あぁ」
徹とウルをその場に残しあたしとベルは騒動の方へと向かう
この時あたし達が目にしたものは
「···っ!!!?」
「バーダン···一体何があったんだ···!?」
初日に見た時とは変わり果てた姿となった
「···一体どうやったら···人が粉々に砕け散るんだよぉお!!!」
あの酔っ払い冒険者、バーダンの姿だった
「サユミ、あまり見るな」
「けどこれって···!?」
「あの紋様は···すぐにトオル達と私の家に戻ろう」
「ベル!!あんたなんか知ってるの!?」
「恐らくだが···あれと同じ現象を知っているんだ」
「なんですって!?」
「今すぐ戻るぞ、そこの冒険者!!バーダンの肉片を全て集めて私と共に来てくれ!!!」
···GO TO NEXT ADVENTURE?




