初仕事しまして
ガラガラガラ···
「···ねーウールー、まーだー?」
「もう少しですから」
「あっそう?てか徹あんた何悶えてんのよ」
「し···舌噛んだ」
「アホか」
···学校の帰りに交通事故に遭い、その衝撃かなんかで異世界─グラントラスに召喚されたあたしと徹はその世界で一応女神として讃えられるウラウス(ウル)を引き連れてこの世界で生きていくための資金を調達する為に馬車でクエストに向かっている、ウルあんた女神なのに馬車使えるのね
「···そーいやこれから行くとこ···なんてとこだっけ徹」
「確かマルウ渓谷だったはず」
「そーそーそれ、それどんなとこなのよ」
「マルウ渓谷は魔物が多く住んでいるところで有名な、初心者向けダンジョンとしては一番難しい所なんです」
「···ほーん、そんなとこでやんのね」
「え、驚かないんですか」
「なにが?」
「なにがって、言ったじゃないですか初心者向けダンジョンとしては一番難しいって」
「難しいつっても死にはしないでしょ?ウルがいるんだし」
「私ですか?」
「あんた女神なんだから召喚したあたし達を死なせちゃまずいんじゃないの?」
「すごい脅し」
「あとウルもそうだけど徹もいるし」
「僕もなの?」
「あんた戦闘スキル高いんだからそれでどうにかしてよ、あたしまだ何も覚えてないんだし」
「···スキルはあるけど魔物に効くかどうかなんてわかんないじゃん」
「トオルさん、とにかく頑張りましょうね」
「やってはみるけど危険なら助けてね?」
「だってさウル」
「さっちゃんは?」
「だからあたしまだ何も覚えてないっての」
「あ、見えましたよ」
「!!」
「···へぇ、アレが」
険しい道を進む馬車がさらに険しい道に入って外の景色が変わり始めた頃、ようやくあたし達はマルウ渓谷に入ったらしい
「とりあえず馬車を停めたいので麓の村に寄っていいですか?」
「あ、うんいいよ」
「いちいちあたし達に許可得なくていいわよ、あんた女神なんだし」
「声をかけてないとさっちゃんさんに悪いかと思って」
「余計なお世話だわ」
···で、村に馬車を停め拠点となる宿屋を取ってからクエストを始める為ダンジョンに入ることに
「···なんだっけ?何を集めんだっけ?」
「えっと···マルウ渓谷の下層に生息するソルジャーバットがごく稀に落とす鉄のキバだって」
「折れば良くない?」
「普通のソルジャーバットは鉄のキバなんて生えてないんです、確か数百匹に一匹の割合で生えている個体がいるので」
「ウルやったことあんの?」
「一応、あまりにも出なさすぎて途中でリタイアしましたけど」
「女神が心折れてんじゃないわよ」
「うぅっ」
「···とりあえず行こうか」
「ウルー、いつまで凹んでんのよ」
「さっちゃんのせいだと思うけど」
···足を踏み入れた感じだと、確かにダンジョンと言うべきか明らかに自然にはできないような形をしている、けど人の手と言うには乱雑すぎるから多分魔物の手が加えられてるんだろう、···魔物って手あんの?
「ちゃんと手足のついてる魔物もいますよ」
「だからあんたはちょくちょくあたしの頭の中を読むなっての」
「下層···って事はもっと降りないといけないのか」
「そうですね、でもまずは上層の弱い魔物から倒していきましょう、さっちゃんさんの魔法伝授にもなりますし」
「あー、そーいやその体で来てんだもんね」
「ねぇそれ僕どうすればいいの?」
「あんたはとりあえず魔物と喧嘩してればいいんじゃない?」
「えぇ···」
そんな感じで歩いていると···
「···!!二人とも後ろ!!!」
「は?どしたの徹···」
「さっちゃんさん屈んでください!!!ハァッ!!!」ボォッ!!
「待って待って待って!!!」バッ!!
ドゴォン!!!
「あっつ!?ちょっとウル!!!あんた何すんのよ!!!」
「···トオルさんよくわかりましたね」
「向こうでも大体敵の気配は察知できましたし」
「敵!?」
ウルの放った炎魔法の先を見てみるとそこにいたのはなんか水色のジェルみたいな···生き物なのこれ?
「スライムですね、しかもこんなに沢山···」
「はぁ!?スライムってもっとなんか可愛い顔してなかった!?」
「さっちゃん、それはゲームだけだよ」
「ちょうどいいですねさっちゃんさん、このスライムで魔法の特訓をしましょうか」
「ねぇ待って、これ僕どうすればいいの?」
「トオルさんはスライムを生身で倒してください」
「···物理攻撃全然効かないと思うんだけど」
「核の部分を攻撃すれば一撃で絶命できるはずです」
「僕に課された課題ハード過ぎない!?まださっちゃんと同じレベルだよ!?」
「徹ーふぁいとー」
「じゃあさっちゃんさんやりましょうか」
「うーい」
「ちょっと待って!!!魔法使えない僕を見捨てないで···あぁもう···なんか木の棒みたいなの無いかな···」
スライムの群れを二手に分かれて倒すことに、ついでにあたしはウルに基礎魔法を教えてもらう、徹は···まぁ大丈夫でしょう
「···では、基礎魔法について教えますね」
「おん?杖とかいらないの?」
「杖ですか?」
「ほら、魔法使うのって杖とか使ってんのよく見てたし」
「あぁ、それは昔の先人達が杖を使わない魔法の方が威力も上がりレパートリーも増えるという説を説いて古い考えになったんですよ」
「ほーん、ねーウルー、これ属性とかも見んの?」
「そうですね、確かに今のままだとさっちゃんさんが何が得意なのかわからないですもんね、じゃあそこは基礎魔法を会得してから考えましょう」
「割と適当ねあんた···」
「じゃあ早速スライム相手に始めましょう、まずは攻撃魔法の基礎からですね」
「うーい」
「攻撃魔法は炎、水、雷、風、氷、光、闇、爆発の8属性が主流となっています、魔力を注ぎ込む量を増やせば威力もあがります」
「ウル全部使えんの?」
「私は闇以外なら全て使えますよ」
「闇は使えないのね」
「闇属性は光属性と対になる上級魔法なのでどちらか片方しか使えないんです、でもさっちゃんさんなら両方使えるかもしれないですね」
「さすがに無理なんじゃない?」
「まぁまぁ」
基礎魔法その一、炎属性
「炎属性の魔法は基礎中の基礎、詠唱無しで放てるという速攻性、魔力の消費が一番少ない魔法です」
「ほーん、で、どうやって出すの?」
「炎をイメージしそれに魔力を注ぎ込めば出ます」
「だからどうやってよ?」
「えっと···両手に体の中の力を込める感じで···」
「両手にねぇ···」スッ···
ボッ!
「あ、できた」
「早くないですか?」
「そう?···おー、こんな感じで火加減するのね」
「えぇー···さっちゃんさん私より上手い···」
「で、これどうやって攻撃すんの?」
「あとはそれを投げ付けるだけです!!」
「そこは随分と原始的なのね」
【さっちゃんは炎属性の基礎魔法を覚えた】
「んじゃ、ちゃっちゃと全部教えてよ」
数分後···
【さっちゃんは全ての属性の基礎魔法を覚えた】
「あ、これでいいの?」
「はい」
「意外と簡単なのね」
「···」
「なんであんた心折れてんのよ」
「だって私より上手いし早いんですもん」
「あんたが教えんの上手いからでしょ、ほら次は?」
「じゃあ次は付与魔法を覚えましょうか」
「付与魔法?」
「トオルさんの攻撃に魔力を付与して攻撃の効かない相手に攻撃したり威力を上げたりするんです」
「···いるの?」
「打撃の効かない魔物もいるので」
「あっそう」
「···(カランコロンッ)···っはー、終わった···」
「···で、この棒に魔力を注ぐことによって」
ブンッ···ズバッ
「おぉ!!!」
「このように硬いものでも切れるようになります」
「へぇー、結構便利なのね」
「ちなみに今付与したのは耐久と切れ味です」
「付与はなんでもいいんだ」
「そうですね、付与魔法の基礎は耐久だけなのでそこに応用させる感じで」
「なるほど、じゃーあたしも壁切れるようにっと、···これでそいっ!!」ブンッ
ズババババババッ···ドゴンッ!!
「」
「···ウルー、これ付与掛けすぎ?」
「掛けすぎですね、というかあっちってトオルさんがいる方じゃ」
「···まぁ徹なら大丈夫でしょ、あれでも体丈夫だし」
「えぇー···」
···まぁこれで攻撃魔法と付与魔法は覚えた事になるわね、あとは···
「···ウル、次は?」
「次は回復魔法ですね、···ですが回復魔法を取得する為には体力の削られた人がいないと···」
「まぁ回復魔法だもんね」
「じゃあトオルさんが恐らく体力削られてると思うのでトオルさんが帰ってくるのを待ちましょうか」
「そうね」
···それから徹が帰ってくるまで待っていたんだけど···
「···遅い」
「確かに遅いですね」
待ち始めて一時間、一向に徹が帰ってくる気配が無い
「···やっぱさっきの付与魔法が当たったんじゃ···」
「···とりあえず行ってみましょ、そんで倒れてたらそれで回復魔法教えて」
「そ、そうですね···」
···その時あたしとウルは忘れていた
「徹ー?生きてるー?」
「···透さん魔力が無いからどこにいるか感知ができないんですよね」
「魔力ってそんな事できんの?」
「あ、はい」
「言いなさいよそれ」
「すいませんでした」
「ったく、女神なのにどこか抜けてんのよねウルって」
「うぅ」
「···あ、いた徹···ぅう!?」
「どうしたんですかさっちゃん···さん!?」
徹がこの世界に召喚された···
「···あ、ウルさん、さっちゃん、どうしたの?なんかあった?」
その理由というものを
「···え、あんたそれ一人でやったの···?」
「うん、そこにある木の棒使ってだけどね」
「···嘘···ですよね···?だってこれ···」
「あーうん、スライムしかいないと思ってたんだけど他にもいたからさ、この世界の木の棒って結構丈夫なんだね」
淡々と話す徹の後ろにはスライムをはじめとしたそれ以外の魔物が山積みになっていた、様子を見る限りだと全部絶命してる、そして徹の足下には色んな魔物体液らしい液体が付着していてさっき言ってた木の棒は元の木の色が変色して腐っている、···そんな事はどうでもよくて
「···あんた、やっててなんとも思わなかったの···?」
「なにが?」
「···い、いや、なんでもないわ···」
何より山積みになるほどの魔物と戦ったはずの徹が傷一つ着いていないのと、いつも通りの徹だったことに幼馴染みとして初めて恐怖心を感じた
「···あ、そうだ、ウルさんこれ魔物倒してるとドロップしたんだけど、こういうのどうすればいいの?」
「···」
「おーいウルさん?」
「へぁ?あ、あぁそういう事なら収納魔法を···」
「僕魔力あるの?」
「あ、そ、そうでしたね、でしたらドロップアイテムは私が預かっていますね」
「じゃあお願い、···じゃあ下行こっか」
「···」
···確かに徹は喧嘩最強だ、けど初めて見る魔物をこうも簡単に倒せるものなのか
「おーいさっちゃん置いてくよー」
「···はっ!!ちょっと待ちなさいよ!!!ウル!!!回復魔法どうすんの!?」
「それはもう下に行ってから考えましょう」
「···徹、あんた木の棒に付与魔法とかしたの?」
「付与魔法って何?」
それからもマルウ渓谷の下層に行くにつれ強くなるはずの魔物を木の棒だけで簡単に倒していく徹に初めて距離を感じるようになった
「(ガンッ!)···ふぅ、さすがに下に行けば魔物も強いね」
「トオルさんほぼ確実に倒してますけどね」
「···あんたちょっとステータス見せなさいよ」
「いいけど···"開示"」
ヴゥン···
「···あ、トオルさんやっぱりレベル上がってますね」
「そう?全然実感わかないけど···」
「···」
さっきまで同じレベルのはずだった徹と私はたった数時間で二桁の差がある、それでも徹には未だに魔力が無い
「···なんであんたそんなにチートなのよ」
「知らないよ」
「あたしなんかまともに魔物と戦ってないのに」
「まぁさっちゃんは魔法だもんね」
「それでもですよ」
「というかソルジャーバットなんてどこに出てくんのよ」
「下層って書いてあったからまだ降りるのかな、お」ブンッ
「···そういや徹、あんたって喧嘩する時いつも黙ってるわよね?」
「だって人と話すの怖いし」
「···それ以外黙る理由ってあんの?」
「んー···黙ってた方が集中できるのかな」
「···ほーん」
魔物を相手している時の徹は喧嘩している時と違って黙っていない、という事は喧嘩している時よりも徹は本気を出していないってこと?
「···とおっ」
「···」コォオオオオッ···
「うぇ!?ちょっ待っ!?」
「···」ブンッ!!
「きゃあっ!?」バッ!!
ガンッ!!!
「···あ、ごめんさっちゃん、言うの忘れてた」
「ちょ···あんた後ろいるんなら言いなさいよ!!!あんたに殺されるかと思ったじゃない!!!」
「ごめんって」
「···トオルさん魔物を相手する時そんな顔するんですね」
「え、ウルさんまでなんで引くの?」
徹に恐怖感を煽られつつあたし達はようやくそのソルジャーバットとやらが生息していると言われるマルウ渓谷の下層階にたどり着いた、この時点で陽の光は差し込まなくなっている
「···それでソルジャーバットはどこにいるんだろう」
「ソルジャーバット〜、とっとと鉄のキバ寄越せー」
「寄越せって言って寄越すようなものだったらクエスト依頼しないと思うよ」
「あっそう」
「···さっちゃんさん、トオルさん、気を付けてください」
『え?』
なにかの気配を感じたウルがあたし達に警戒するように言う、てか大体ソルジャーバットってどんなコウモリなの···
「キィイイイイイイイッ!!!」
「···ねぇウル?もしかしてアレ?」
「もしかしなくてもアレです」
「···きんもちわるっ!!!」
あたし達の前に現れたソルジャーバットというのは想像していたよりも大きくしかも羽根に筋肉質の良い腕が着いている、正直言って気持ち悪い
「ウル!!あんたあれどうにかしなさいよ!!!」
「え!?いやいやさっちゃんさん!!ここで練習の成果を見せるときですよ!!!」
「無理無理無理無理!!!あんなん気持ち悪くて無理だって!!!」
「えぇ・・・」
「ちょっと徹!!!なんとか···」
フォンッ···
「···」
「(ズバッ!!!)キィイイイイイイイッ!?」
「···やっぱもうちょい力入れないとダメかぁ···」グッ
ブンッ!!
「(ガンッ!)キィイイイイッ···」ズズゥン···
「···あ、ダメだ落とさなかったや」
「と···徹?」
「まぁいいや、ウルさんこれ他にもいるんだよね?」
「え、は、はい···恐らくしばらくすればまた湧いてくると思います」
「じゃあ倒しながら次が出てくるの待とうか」
「···そ、そうですね···」
「···ウル、これ徹の力なの?」
「私が思ってたのより範疇を超えてますよ···」
「···なんなのよホントに」
その後も下層を探索しながらソルジャーバットを討伐していく、やっぱりというか中々お目当ての物をドロップしてはくれない、てかそれよりも···
「···ホント中々出でこないね」ブンッ!!
「(ズバッ!!!)キィイイイイッ···」
「あ、また落とさなかった」
何食わぬ顔で木の棒だけを使って次々と魔物を倒していく徹に、ある種の恐怖を感じ続けているあたしがいる
···それから数分後···
「(ズバッ!!!)···お、ウルさんこれ?」
「あ、はい、それが鉄のキバです」
「じゃあこれでクエスト達成って事?」
「そうなりますね」
「じゃあもう一個ぐらい取っとく?」
「何個必要なの?」
「なんか多い方が良さそうかなって思って、ドロップアイテムって他に用途はあるの?」
「一部のアイテムは手を加えれば武器にする事もできますよ、鉄のキバなら磨けばナイフにもなりますし」
「ナイフかぁ···じゃあいいや、ギルドに戻ろっか」
「ですね」
「···結局あたし回復魔法教えて貰ってないんだけど?」
「回復魔法はギルドに戻ってからにしましょうか」
「え?もしかしてこれ僕のせい?」
「もう徹は黙ってなさい」
下層から地上に出るともう空には月が出ていた、···こっちの世界の月は緑色みたいな感じだ
「じゃあ今日は宿屋に泊まって明日ギルドに向かいましょうか」
「また片道長かったあの道を行くのね」
「転位魔法はまださっちゃんさんは覚えられないので」
「ウルがやってよ」
「私も今日結構魔力を消耗したので」
「あっそう···」
翌日···あたし達は早朝からウルの馬車に引かれてギルドに戻ることに、相変わらず道はクソ悪い
「···収納魔法とか便利そうだなぁ」
「あんたなんも覚えられないの?」
「魔力があればいいんだろうけど、ウルさん僕に魔力って着くんですか?」
「恐らく着くとは思いますけどそこまでレベルが上がっているのに逆にどうして魔力はゼロなんでしょうね」
「えぇー···」
···なにがえぇーよ、あんたのその馬鹿みたいな強さどうなってんのよ
「···ふわぁ〜ぁっ···」
「なにあんた寝不足なの?」
「んー···寝不足ってわけじゃないと思うんだけどやっぱ僕達本当にこっちの世界に来ちゃってたんだなぁって考えててさ」
「···まぁそうね」
初めて宿屋に泊まって一晩過ごし朝目覚めたけど本当にあたし達はこっちの世界に召喚されたのを改めて実感した、寝て起きたら夢オチでしたっていうのを期待したけどそんな事は無い、目が覚めても最初に眼に入ったのはなぜか隣で寝ているウルの寝顔だったから
「···というかウルあんたなんであたしのベッドで寝てるのよ」
「えっ!?あ、いやその···」
「もしかして一人で寝られないとか?」
「うぐっ···、じ、実は···」
「あんたホントなんで女神やってんのよ」
「しょ、しょうがないじゃ無いですか!!!長い間私一人で全てやってたんですもん!!!今日改めて人の温もりを感じて嬉しかったんですもん!!!」
「威厳ゼロか」
「まぁまぁ、ウルさん女神だし今その体だから仲間になってくれる人がいなかったんだろうね」
「うぅ···トオルさんの優しさが身に染みます」
それからどれくらい時間が過ぎたのだろう、あたし達はようやくギルドのある街にたどり着いた
「そういやウル、この街なんてーの?」
「マノウハルスです」
「言いにくい名前だね」
「···んで、これクエスト達成したらどうすんの?」
「クエストペンダントとクエストでゲットしたものを受付に出せばクエスト完了です、クエストペンダントには私とさっちゃんさんの情報も入ってるので私達にも経験値が入ります」
「ほーん、じゃあ徹よろしく」
「また僕なの?」
「コミュ障治すつもりでやってんだから行ってきなさいよ」
「えぇー···」
「···それではこれでクエスト達成の手続きは終了です!トオルさん、さっちゃんさん、ウルさんお疲れ様でした!!!」
「お、お疲れ様でした···」
「なお次回から一個上のランクのクエストを受注することが可能になります!次回も頑張ってください!!」
「は、はい、次も頑張ります···」
「おー、だいぶ話せるようになったんじゃない?」
「確かにそうですね、昨日よりはあまりどもってませんし」
「二人とも酷くない?」
ギルドで諸々の手続きを徹にやらせるとあたしにも経験値が入った、···って言ってもそこまで多いってわけじゃない、むしろ徹が異常すぎるほどレベルが上がっているのが気に食わない
「···じゃああっちの席でスキルポイントの説明をしましょうか」
「あーそれもいるんだっけ?」
「一番大事なので」
「···ねぇさっちゃん、すごい僕ら見られてる気がするんだけど」
「気の所為でしょ、ほらとっとと行くわよー」
「う、うん···」
「···それではトオルさん、さっちゃんさん、ステータスを開いてください」
「えぇ···徹と並べんのやだわ」
「なんでよ···」
「だって徹のさっき見たもん」
「それでも出さなきなダメだよ、"開示"」
「···"開示"」
ヴゥン···
「ステータスを開いたらこのスキルマークに触ってください」
「どれ?」
「この上のやつです」
「あーこれね、てかスキルって書いてあるじゃない」
「あ、ほんとだ」
「そうしたらスキルポイントがこの右下に書いてあると思います、それに触れてどこにポイントを振るかを決め振り終わったらOKボタンを押してください、なおOKを押した後に振り直しは出来ないので注意してくださいね」
「それであんたはドジに振りまくってんもんね」
「うぐっ」
「んー、とりあえず僕どこに振ろうかな···」
「あんた今いくつあるの?」
「ポイント?えっと···84ポイントだけど」
「なんでそんなあんの?あたし10なんだけど!?」
「レベルの差じゃないかな?」
「じゃあここであんた倒せばあたしにポイント入るんじゃ···」
「冗談に聞こえないからやめて」
とりあえず振ってく、っとにこいつはなんでポイントあんなに多いのかしら、倒した敵の量でも決まんの?
「···僕これコミュ力にも振ったほうがいいのかな」
「振ってもいいけど話さなきゃ意味ないんだからね?」
「わかってるよそれくらい、というかコミュ力前よりちょっと上がってるや」
「私のこれ威厳に振っていけばドジ帳消しにならないかな···」
「はいあたしこれでいいや」
「早っ、ちゃんと振ったの?」
「振ったわよほら」
「···おぉ、ちゃんと振ってる」
「あんたの場合焦ってミスるんだから落ちついてやんなさいよ?」
「あ、はい」
そうやってあたし達がスキルポイントを振ってる時にも徹の言った通り周りの輩があたし達のことを見ている気がする、気の所為だなと思いたかったんだけどどうやら無理っぽい
「···徹、あんた牽制してきなさいよ」
「なんで僕?」
「だってあんた一応このパーティーのリーダーなんだし」
「嘘でしょ?さっちゃんかウルさんじゃないの?」
「私もてっきりさっちゃんさんかと思ってました」
「あたしが?だってクエストの手続きは全部徹がやってんじゃないのよ」
「えぇ···」
「···あんた達まだ振り終わってないんだっけ?じゃあいいわあたし言ってくるから」
仕方ないからあたしが牽制しに行く事に
「···あんた達あたし達になんか···」
ポフッ!
「ん?」
行こうとした瞬間にあたしの腰になにかが突っ込んできた、大きな衝撃じゃなかったから倒れることは無かったけどその軽い衝撃源がなんなのかを確認するとあたしの腰には小さい女の子が抱き着いていた
「···え、ちょっと、何・・・?」
「···」
「さっちゃんどうしたのその子」
「わかんないわよ、行こうと思ったら急に抱きついてきたし」
「さっちゃんさんに子どもが抱き着くってある意味凄いですよね」
「あ?」
「すいませんでした」
「さっちゃんは昔から子供には人気者だからね」
「うっさいやかましい」
「···それで、どうしたんですか?」
「···けて」
「ん?」
「お願い!!!お姉ちゃんを助けて!!!」
『···はい?』
···この女の子の頼まれ事が後にあたし達の名前をこの街に広げることになろうとは
「た、助けてって何・・・?」
「え、いや···頼む相手を間違えてない?そういうのって普通もっと強い人に頼むんじゃ」
「だってお姉ちゃん達ここで一番強くて悪かった冒険者を投げたって言ってたから」
「あ、あれ一番強かったの?」
「私も初耳でした」
「だからお願い!!お姉ちゃんを助けて!!!」
「そんな事言われても···」
「とりあえず話を聞いてみましょうか」
「そうだね」
「どうでもいいけどあんたそろそろ離れてくんない?あたし動けないんだけど」
「あ、トオルさん子供は平気なんですね」
「まぁね」
「まぁねじゃなくてとっとと離れて」
「逃げない?」
「逃げないわよ、逃げられないもん」
···GO TO NEXT ADVENTURE?




