召喚 魔神グラシャラボラス
――一方その頃、ケンはグリモワールのリーダー:ミキオ、
そして暗殺者のシャドウと対峙していた。
「ミキオ、準備完了」
ケンの目前に立つシャドウが懐から、怪しい輝きを放つ鎖を取り出した。
「悪いなシャドウ、面倒かけて」
シャドウに肩を借りるミキオが答える。
「問題ない。行く!」
シャドウは輝く鎖を高く放り投げた。
「さぁ、復活の時だ! 現れ出でよ、魔神グラシャラボラス!」
ミキオは鎖へ向かって銀色の魔力を放った。
魔力を受けた鎖は一層輝きを増し膨らむ。
それは翼となり、強靭な手足をなり、そして――
「キュオォォォン!」
現れたのは鳥のような頭と翼を持ちながら、ライオンのような強靭な四肢を持つ、大型のグリフォン。
『兄弟! 奴らDRアイテムから魔神を復活させやがったぞ!』
「魔神だろうがなんだろうが叩き潰すだけだ! 行くぞ、ラフィ、リオン!」
「はい!」
「あう!」
ケン達は一斉に出現したグリフォンへ飛びかかった。
グリフォンは嘴を大きく開くと、喉の奥から黒い煙を吐く。
途端、ケンの視界が霞んだ。
――身体が重い。状態異常か!?
「ラフィ、頼む!」
「は、はい! きゃっ!?」
ラフィはグリフォンの翼が発生させたつむじ風にとばされ宙を舞う。
しかし地面へぶつかる寸前にリオンがキャッチし、事無き終える。
「てめぇ、良くもラフィを!」
重く感じる身体に激を飛ばし、ケンは手刀へ氷の刃をまとわせ、グラシャラボラスへ向けて飛んだ。
「SHYAAAAA!」
突然、グリフォンの上から毒蛇のような輝きが出現し、ケンの腕を拘束する。
その先に居るもの、それはグリフォンの背に乗り、ケンを睥睨するグリモワ―ルの暗殺者シャドウ。
「フン!」
「ぐわっ!?」
状態異常で動きに鈍くなっているケンは、シャドウに投げ飛ばされた。
ケンは氷の刃で毒蛇の輝きを切り裂き、自由を取り戻して、綺麗に着地する。
だがその時既にケンの目前にはグリフォンに乗ったシャドウが蛇の剣を構え、目前にまで迫っていた。
「爆破矢!」
脇から魔力のこもった矢が飛来し、グリフォンのわき腹で爆発した。
怯んだグリフォンはケンへの接近を諦め、忌々しそうに脇を見る。
そこには既に、DRアイテム【反逆の弓】へ矢を番え、翡翠の魔力を全身から放つリオンの姿が。
「消える! 必滅長弓射!」
リオンが最大限まで高めた魔力が爆発し、一撃必殺の破壊力を秘めた矢が豪速で放たれる。
しかしグリフォンは嘴でリオンの矢を掴んだ。
嘴に力がこもり、矢があっさりと砕かれた。
「殲滅ッ!」
グリフォンから飛んだシャドウが蛇の剣を振りかざし、必殺の一撃を発射したため、硬直状態にあるリオンへ迫る。
しかし、ケンが氷の刃で剣を弾き、脇から飛び出したラフィがリオンを抱いて飛び、事なき終えた。
「ラフィ!」
「は、はい! 広域全回復」
ラフィから光が発せられ、体力の回復と共に、状態異常が解除され、身体が軽さを取り戻した。
するとまたしてもグリフォンが目の前に現れ、嘴を開く。
噴出する状態異常のブレスは、再びケンへ身体の重さを感じさせ、その場へ膝をつかせる。
「く、くそぉ……!」
必死に立ち上がろうとするが、身体が重く、足が震え上手く立ちあがることができない。
そんなケンをグリフォンの上に立つシャドウが、赤い双眸を妖艶に輝かせた。
「黒皇、貴様に絶望を味合わせる!」
シャドウは蛇の剣を構え飛ぶ。
狙う先、そこにはケンと同じく状態異常でむせび込むラフィの姿が。
「に、逃げろ、ラフィ!」
ケンは叫び、地面を蹴ろうとするが、身体が重く前に進まない。
驚愕するラフィへシャドウの鋭い剣が迫る。
瞬間、シャドウの剣に赤い火花が散った。
「ひゅー間に合った! ラフィ、怪我は無い?」
「ムーさん!」
シャドウとラフィの間に割って入ったのはムートン。
彼女は真っ赤に燃える二振りの剣で、シャドウの一撃を受け止めていた。
「つあぁ!」
ムートンが剣を押し込むと、シャドウは後方宙返りで飛び退き、距離を置く。
「目標変更。シャトー家、滅ぶべし!」
シャドウが怒りのこもった声を放つ。
その時、ムートンの瞳が赤く染まった。
青いマントは血染めのように真っ赤に染まり、ほとばしる赤い魔力は、ムートンの長い髪を別の生き物のように揺らめかせる。
神聖な聖騎士からは感じられない、邪悪で禍々しい雰囲気。
ムートンは口元ににやりと好戦的な笑みを浮かべた。
「やれるならやってみろシャドウ。今の私とアモンは血に飢えているぞ!」




