急展開でついていけない
「それより終わったよー、壁の修復と封印解除。あとは魔王城を残すのみ!」
「うむ、さすがじゃのう」
「アレヒアルも行くよね?」
「うむ、千年ぶりにあの子に会えるんじゃな、懐かしいのう」
賢者サマと龍王の間で、どんどん話が進んでいく。待って、マジで話についていけない。
「ここは簡単に済んで良かったね」
賢者サマがへらへらと笑う。「じゃ、魔王城に行こっか」と転移の呪文を唱えようとした賢者サマを、私は止めずにはいられなかった。
「待って!」
「ん? どうしたの?」
「待って、いったん不死王の城に行かなくちゃ。助けないと……」
「あ、だいじょーぶ、だいじょーぶ」
言いつつ賢者サマは右手で私を、左手でアルバを確保した。空気を呼んだのかハクエンちゃんが私の肩に、龍王が賢者サマの頭に乗った途端、賢者サマは素早く転移の呪文を展開する。
「ちょっと待っ……」
「だいじょーぶだって。魔王城の入り口でみんな待たせてるから」
「へっ!?」
その瞬間、私達は賢者サマの呪文によって、強制的に転移させられていた。
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「ひえっ、何コレ」
地に足がついたと同時に、私は思わず飛びのいた。
死屍累々……っていうか、足元に人がゴロゴロ転がってるんですけどっ!!!
「ぐ……」
動いた! しかもあれ? これってまさか。
「え……ルッカス様?」
私の足元に転がってる、このサラサラストレートの金髪って絶対そうだよね。うつ伏せだから顔は見えないけど、この高そうな刺しゅう入りの服、見覚えがあるもの。
てことは。
「やっぱり……グレオスさん、リーン、大丈夫!?」
「……」
リーンが何か言いたげに顔を歪めるけれど、それは声にはならなかった。体も、動かせずにいるみたい。苦し気な呻き声だけが聞こえてきて、さすがに心配になった私はみんなの傍に駆け寄った。
「何があったの、ケガは……」
ああ良かった、ケガはしていないみたい。
「だからだいじょーぶだって。あんまり暴れるから、動けないように軽く麻痺をかけてあるだけだよ」
「あー、やっと来たあ、待ちくたびれたよ」
賢者サマの呑気な声に、不死王の声が重なった。そう、もはやクルクル金髪巻き毛ではないとはっきり分かる程、声の出し方まで変わっている。
恐る恐る振り返った私の目に、ぞっとする、異様な光景が映った。
一人だけ元気に動き回っている不死王は、何がおかしいのか一言何か言っては馬鹿笑いしているのに、瞳からは滔々と涙を流している。




