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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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コミュニケーションの応用1会議はやらないよりやったほうがいい




「うぃーっす!みなさん!」


円卓の中央。

ポーズを決めた。

お前は踊り子かと。


「ユエ様を見下ろすとは無礼千万!!!!!!」

部屋を、いや城を圧する怒声。

屹立する彫像(ギリシャ風)のような鎧姿。


「よい」


鎧は傍らの小柄な影に一礼。

まあ、比較の上で小柄、であり女性としては長身だろう。


「お許しが出たところで、始めていいっすか?」

まったく、堪えていない。


「なんでアンタよ?」

「いいじゃねえか」

どうでも。


と、 態度で示す肩当て胸当てのみ軽装鎧の少年。

脚を卓上に上げそっくり返っている。

ロング縦ロールの少女も、一応ツッコんだだけらしい。

深追いどころか、追撃しない。


「ツーことで、ゲストのみなさん、お見知りおきを。アタシはCっす!」

アルファベットのCだそうで。

キラキラネームに縁がない人生でした。


卓上。

栗毛のセミロング。

ニヤニヤと言えばわかりやすい口元。

忍者装束女性用にしてゲーム仕様……無駄に露出しボディラインが露わでヒラヒラしている……な少女が一礼。


「そっちホストやね」

「屈むな!不届き者!!」


ゲストや同僚からヤジやナニか。

客に背を向けて挨拶とは如何に?


「いやー主にお尻を向けるのはナニっすから」

円卓中央に胡座。


礼儀以前だが、誰もが『こういう奴だ』と言うように受け入れた。


「降りれば良かろうが!!!!!!」

例外あり。

長身な少女、ユエの傍らに立つ鎧。


ゲストを向き直った。

忍者C、無視である。


「お言葉を!」


マイペースに進行。

ホストに呼びかけ。


円卓。

それは上座も下座もない。

それは互いに同じ高さ。

それは対等の証。


「感謝を」


ホストから一言。

ほんとーに一言。

皆が感じただろう。


ユエ。


黙っていても偉そう。

しゃべればもっと偉そう。


アルファベットじゃないが、名前にこだわりはなさそう。

本名じゃないだろうな?



「じゃ互いに面識ない人もいるっすよね?」


重厚な西洋風の広間。

世紀を経た家具、高い天井から下がるシャンデリア、近現代的に明かり取りを考えた大きな窓。

ファンタジーのナンチャッテ西洋そのまんま。


「アタシから?とも自己紹介?」


円卓中央で片膝をたてて見回した。

いっそ扇情的と言える衣装と肢体だが、仕草には色気の欠片もない。

まるで中学高校の教室である。



「名乗る」

長く白い髪に赤い瞳。

プレートアーマーを外套で覆った女性。


「ユーリア。ギルド、ノルデンの代表です」

剣は円卓に立てかけているが、椅子に座っているのは無理がある……現実なら。


右横は黒い短髪痩身の剣士。

刀を卓上に置きロングコートから籠手が覗いている。


「ギルド、蝦夷共和国の土方。ギルマスから命じられた」


左側は小柄なメガネ。

丸っこい体で魔法使いローブ、白、を纏うと雪だるま。

融けかけ。

杖を椅子にたてかけ、卓上に潰れるように突っ伏して卓面に合わせた視線……の先に兜が。

ユーリアが置いたのだ。


あえて。


卓上の忍者少女との間に。

正確にいうと視線とCのスカートの裾の間に。


「はぁ~……アレは良いものだ」

溶けかけ雪だるまは、兜を指で弾いた。

ソレは無粋な闖入者。


「短パンっすよ?」

ミニスカートの奥を胡座姿勢から覗かれていた、ように見えていたCがミニスカートにしか見えない裾をめくる。


「ほぁ!!!!」


短パンというには際どい?


「フッ!ビジュアルショットはOK?ふぁぎゃ!」

「コイツがジェントルメン・クラブのギルマスのヨイツだ」

ユーリアが椅子ごと蹴倒し土方が紹介。


『ノルデン』

『蝦夷共和国』

『ジェントルメン・クラブ』

プレーヤーギルドのNo1~2の重鎮。


「北方トップ3!御三家のみなさんっすね~」

パチパチパチ。

手をたたきながら、Cが向きを変えた。


「どぞ!!!」


応えたのは着物姿、これもまたゲーム風にゆったりとして裾から白くふくよかな胸元が覗き、装飾が上下にたな曳いている。結い上げた黒髪を降ろせば、十二単が似合いそう。


「ウチが紀伊國屋の蓮華。よろしゅうな」

たおやかに口元を隠して笑う。


「ワシがギルド、リヴィングストンの代表、シュバィツァーじゃ」

探検家と聞いて誰もが思いつく格好。

帽子に半袖半ズボンの防暑服。

ライフルの替わりがボウガンなのが残念。


「オレは馬借、ああギルド名な、のギルマス、ツォン」

小柄な体を厚手の外套が手首まで覆い、ゴツい革鎧が覗いている。

手ぶらだ。


「どもー!場違いハンパね~マサムネです。バザールなかで鍛冶やってます。ソロです」

ツナギの作業服姿の少女。

赤茶のウルフヘアー。

同じく手ぶらだがポケットで出来た(ように見える)ベストに工具多数。


『紀伊國屋』

『リヴィングストン』

『馬借』

どこにも所属しない生産職の有名人。


「つーわけっすね~南方バザールの会合衆筆頭、最広範囲踏破ギルド、ゲーム最大の運輸ギルド、そしてスキル最高マイスター」


パチパチパチ。

Cが拍手。


「よいか」

「どぞ」

ユーリアにCが応えた。


「ユエ殿に御礼を」

「せやな、おおきに」

「借りておく」

「あてらも助かりましたわ~ほんにな」

「うむ!ありがとう!!!」

「サンキュ」

「ほんとうに、素材探しの友達が助かりました。フレンド登録ないから、替わりに伝えてとも頼まれて……僕の分も、ですが、ありがとうございます!」


デス・ゲーム開幕のお知らせ。


ログアウト不可とその危険性がおもな攻略組にユエの名で送られた。

それがなければ、ユエの名前でなければ、対処は間に合わなかっただろう。


ユエは軽く頷いた。


「ユエタンはぁはいガャグハ」

刀の柄がヨイツの顔に刺さったが、無視。


「貴重な人材を失わなかったのは幸いだ」


Cがユエに言葉を被せた。

「てことは、みなさん無事っすか?」


北方御三家を見た。


「無事だ」

「おかげさまで」

「もう少しで頸から胴が離れるとこでしたわ~」

剣呑な言葉に皆が注目。

ユエたち以外。


「「斬首??!!」」


ジェントルメン・クラブのギルマスが大げさに頷いた。


「ヨイツの旦那?なにやらかしたんスか?」

ニヤニヤとジト目を両立さたCにヨイツは首と手を振る。


「不幸な事故やったんや!ユーリアはんに合流しようと迷宮を突破して(ハービーや)オッパイや(フェアリィを)パンチラを(スルー)後で見るために保存してやな」


唖然多数。

笑顔二人(蓮華とマサムネ。理解と無理解)。


「あ~本音ダダもれってか、編集ミスっすか?」

「しもた!!!!」


「要は覗きで捕まった。ノルデンにな」

土方がまとめた。


「で斬首か」

「うゎ!」

「そらな」

「ちゃうちゃうちゃうんちゃう!!!!」

被告側の抗弁。


「合流地点が温泉で偶然入浴中だったんよ!はぎゃ!!!!」

「掘削スキルでセーブポイントに上から突入したんだろう!」

剣がヨイツを両断。

街内エリア故にHPは減らない。


「今週のペースメーカーはうちでバックアップでもないあんた達が!!待ち合わせてもいないのに!!!」

「喚ばれたんや!!風の声に!!!ふがぁ」

ユーリアが涙声、土方が猿轡+簀巻きにしてヨイツを黙らせた。


「召還?」

「ギルメン全員が迷宮を踏破。しかもルート作成やなんて」

「しかも掘削スキルで迷宮ショートカット成功なんてすっげーっすよ?」


感嘆混じりのなにか。


「セーブポイントの回復ポイントが温泉だと知った時から準備したんだ。仕掛けてあった記録媒体を直前に処分させたので油断した」

蹴りながらつぶやく土方。


「さ、策は二重三重に……げはぁ」


「反省している」

踏み潰す土方。


「……の後……?」

聞きたいような、聞きたくないような。微妙な表情でマサムネが尋ねた。


「呼笛で俺らが急行、捕縛。迷宮強行突破中に戦死した連中もお宝目当てに再ログインしてやがったから、まとめた」

死亡再ログインは、はじまりの街。

そこから即ゲート移動。

北方攻略都市ユグドラシルのゲートで次々と共和国見回り組に拘束。

殺すと再度外部から突貫してくるので、めんどくさくなって生け捕り。

全員。


「で、処刑?」

「直前にメッセージだ」

ありゃありゃ。

生暖かい視線がユーリアに。

「人情溢れるユーリア裁き!っすね~。メッセージが遅れた事にしても良かったっすから」

凍りついた視線多数。


「せやね」

「ちょちょちょちょ!」

「姐さんだけだろ、マジでするのは」

「戯れ言に過ぎんよ。なあ?」

「っすか?」


南方組のツッコミをスルーパス。

ユーリアは?


「…………………………え、ええ」

「なに!!その間は!!!その手があったか的な!!!」


「ちょっぱると訛り抜けんスね」

Cのニヤニヤがアップ。


「まちや?わてら死にかけ……せや!!!」

何か思いついたらしい。


「ユエはん!!!!あんとき斬られとったら、死ぬ確率どんくらい???」

あんときとはデスゲーム開始以後。

急に話を振られたユエ。


ちょっとビックリしてる?


「ざっぱで結構っす」

「だいたい死ぬ」


ログアウトプロセス無しにアバターを失えば、肉体は脳を電気的に見失う。

その時点でショック死する。


仮にそれを免れれば?


「ソフトウェアを失ったハード、肉体は自然にサルベージを試みるだろうが、まず無理だな」


肉体はそもそもそういうふうに出来ていない。

一週間以内に脳死。


「万に一つ成功したとして、それは従来の本人ではなく、替わりですらない残骸だ。自立して機能しない」


あえて分類すれば重度精神障害に扱われるだろう。

若干17歳で脳科学を極め国外の複数学会に所属。

ユエのPLプロフィールはこの場の誰もが知っている。


……………………………………………………。


重苦しい沈黙。


「なら」


沈黙を怖れぬ勇者。

溶けかけ雪だるま。


「アリだ」



「「「はぁ?」」」




いや、狂気。


「みろ」

立ち上がる蓑虫。

いや丸っこい簀巻き。

つまりはヨイツ。

視線はユーリアに。


「ひっ!」

ユーリアが体を腕で隠す。

ユーリアの胸元からさらに微妙な表現しがたいところをカバーするヨイツの視線。

いや、プレートアーマーの下半分すら円卓に隠れているのだが。


「透視スキルなんて……ないっすよね?」

「そんなスキルが!」

「おなご集めに躍起だった運営が認める訳なかろう」


眼の焦点が円卓や鎧を突き抜けて透視前提のような。


「ほんとーに、ないっす?」

「ホントに透視してたら起伏に合わせて焦点が動くでしょーが!」

ゆえに右側からツッコみ。


「っすか?」

「ない」

「ないっす」

ユエの断言。

即納得。


「わたしは無視?!」

ユエの右側。

銀糸金糸を織り込んだ、宮廷衣装を想わせるローブを纏う縦ロール朱金髪の少女。


「神の身許を視か……体験し!羞恥に染まる視線を受け!!プルプル震える剣先で両断される!!!!」


ヨイツの眼がイッている。

唯一神との対話に成功したと主張する人はかくあろうか。


「聖なるかな聖なるかな!!!!!!!!!!」

彼には、見えていた。

ナニかが。


「せやったら、あれは」

「脳内再生っすね」

「完全記憶能力とか?」


「ない」

「ないっす」

正に、変質者であった。


「気にするな。病人だ」

土方が変質者の顔を再簀巻きして蹴り倒した。

「うぅ……みぃ……みら……ちゃった……」

涙目でプルプル震えるユーリア。

こっちはこっちでフラッシュバックしているらしい。


(いまどき珍しいっすよね?しかも三日前っすよ?)

(せやね~入浴中やて、隅々まで見られた訳でも……)

(ムチャクチャ露出なしの装備ですよね?気にする宗派、とか)


(ガタさん)

Cが土方をつつく。

(実はスッゴい事件っすか?システムガードや倫理規制がナニだった、っす?)


「見たかどうかも怪しいもんだろ」

明言。

ユーリアに向かって。


「温泉見つけたのは俺らだ。視界の悪さも知ってる。あそこは夜戦より質がわりい。セーブポイントでもPKは可能だからな。スキル持ち総動員で検証したさ」


「その心はなんすか?」

「視界系スキル無効。気配感知でわかるのは所在と攻防態勢だけだ」


「煙幕戦っすね~有視界1m圏も影っしょ?モノを拝むなら10c、いや5cmくらい」

ユーリアがすがるように二人を見た。


「じゃあ!」


顎に指先を当てたC。

「ヨイツさんとこ、夜戦や無視界戦からみのスキル持ち……多かったっすよね?」


「……じゃぁ」


この世の終わりを迎える涙目。

「そこまで嫌なん!!!!」

そらそやろ。

ヨイツ、ショック!は無視。


「スキル駆使して判るのは位置と輪郭だけだ」

土方が吐き捨てる。

C、ユエを振り返った。

頷いた。

「うぃ!間違いないっす」

「ぶれねぇな」


ユエが頷けばなんでも真実なスタイル。

Cである。


「じゃあ!」


歓喜。

ユーリアである。


理力フォースに映らぬモノはない!」

ダークサイドに目覚めるヨイツ。

「ぶれねぇな」


「その心は」

ユエは紅茶を置いた。


「意味なき所に意味を見いだし、見たい物だけを見る」

無意味な模様に顔を見いだしたり、運河やピラミッドを発見したり。


「つまり妄想だろうが!」

ユーリアが土方の背後に隠れた。

彼女は北方最強なのだが。


ちなみに土方は参謀型で防御力は高くない。


「何を抜かすか!」

ヨイツがまるまっちい指を突きつけた。


「いつの間に」

縄抜けスキルは存在する。

緊縛スキルも。

簀巻き解除スキルは未発見。

「縄抜け得意っすね」


ヨイツは土方を指差した。


外野を無視し!

血の涙を流し!!

それしか見えないかのように!!!




「このロリコンが!」




世界が凍った。


「ユエ様。紅茶は如何されますか」

「ああ、もう一杯」


例外はある。



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