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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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ゼロ hour +α



サイコパスというのは、一般社会にそれほどめずらしくないのですよ。

アメリカの熟練精神医学者が、


『自己診断してみたら自分がサイコパスだった』


などという実例を語っているくらいです。もちろん、当の本人は仕事で実績を上げ、家庭を持ち、良き社会人として人並み以上に評判がいい人間です。


共感能力が欠如していても、犯罪に走りやすくなるわけじゃありません。むしろ、損益計算だけで行動すれば犯罪を犯す確率は低いといえるでしょう。

法が適切に執行されている社会においては犯罪から利益を上げることが難しいからです。


凶悪な殺人や傷害の原因第一位は

『カッとなって』

『感情のもつれ』

ですから、情緒が欠けているサイコパスのほうが犯罪を犯す可能性が低いといえます。


「あー、わかったわかった!おっさんは安全だって言いたいんだな」

「ニートさんは安全じゃないけど頼れる人ですよ!!わたしたちには!!!他の人にはともかく!!!」

「え?え?え?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ネコ)。






「混乱した人は最初に聞こえた大声に従います」


まさに、デス・ゲーム当日にニートがギルド『モヒカン』226名を掌握した手口。


当日、ギルド『モヒカン』はフィールドに待機していた。


リアルとは昼夜逆転のヴァーチャル空間。

零時は正午に等しく、真昼の陽光はイベント日和。


オフィシャルの記念イベントに(勝手に)合わせたプレイヤーイベント。

最大手PKギルドによる、


『祝!イベント帰りの略奪祭!!街に帰ってログアウトするまでがイベントです!!!』


開催中。

複数のイベントエリアと街、フィールド上の安全圏を結ぶ結節点・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・に近い森の中。


ありったけのアイテムとメンバーを集め、数に任せてエリアを制圧。

モンスターの出現ポイントに休憩部隊を常駐しリポップを防ぐ。


斥候が街道を見張り、イベント帰りのパーティーを奇襲。


男ばかりなら瞬殺。


男女混合ならサブイベント『おとこを見せろ』発動!様々な方法で追い込みをかけてカップルバスター・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、漢気を試すのである。


女ばかりなら、降伏勧告後、従えはアイテムを全部巻き上げる(帰り道は布の服だけになるから、優しくはない)。

そして街まで送る(優しい?)。


これはPKギルド『モヒカン』が


『闇落ち女子募集中!SMもあるよ!!』


なのとは無関係である。

と広報部は語る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・PKギルドに広報?


しかしながら、真の目的は別にある。

と広報は語る。

やはり広報部があるらしい。


ゲームセキュリティーにより『身ぐるみ剥がれる』以上の犯罪的扱いこそ受けないが、被害者の皆さんが『街まで送ってくれてありがとう』などと思うわけがない。


え゛

と広報は語る

何を期待していたのか。



PKすら容認されているゲーム世界、アイテムを奪われたからと言って運営に泣きつけない。

泣きついても『ご意見は今後の参考にさせていただきます』とかなんとか、二重三重敬語に満ちた機械返信がくるだけである。


ゲーム世界は無法地帯であり、警察も裁判所もない。


自前で賞金をかける事もできるが、パーティー以下で身ぐるみ剥がれた身には不可能。


大手ギルドなら、独自に制裁を企むが、そんな連中は被害を受けない。


襲撃時にギルド証明をすれば見逃される。

まあ、育成圏で最大手PKギルド『モヒカン』が遠慮するギルドは余りないが。


攻略圏の、ゲーム最強ギルド『GG』のユエに一方的に喧嘩を売られ、ギルド『モヒカン』が皆殺しにされたのはいい思い出である。

広報はそれには沈黙する。


誰のいい思い出なのやら。


この『300vs1』事件。ユエ一人に300名のモヒカンがフル装備で皆殺し。


これにより、本当は314名いたメンバーが大量にゲーム引退してしまったギルド『モヒカン』。

原因は通りすがりの少女を、からかったモヒカンメンバーが居るからで、その少女をセイと言ったりする。

というか『チンピラ』のロールプレイ中だったのだから、むしろおとなしめの行動だったのだが、話の通じる相手ではなかった。

まあモヒカンたちもこの戦力差で負けるとは思わなかったので、喧嘩を買ったのだが。



懲りた。モヒカンのくせに。



教訓を学ぶというヒャッハーに相応しくない考えで、ギルド『モヒカン』はアドバイザーを外部から招聘。

間違えて強い相手の尻尾を踏まないように、慎重にPKにいそしんでいるのである。

モヒカンのくせに。


だからデス・ゲーム当日の勝手に開催中イベントでも被害者は間違いなく弱者。


弱きを襲って強きを避ける、チンピラヒャッハーPKギルドここにあり!

広報も鼻高々である。

おい。



そんな被害者は泣き寝入りするしか無いのだろうか?

ゲーム世界に正義はないのか?

世界に光を!


え、もういい?


しかして需要あれば供給あり。

哀れな被害者を万歳三唱を内心に我慢して迎えるモノ。


正義の味方PKKギルドここにあり!


ガチからなんちゃってまで各種完備のヴァーチャルゲーム。


PKプレイヤーの絶滅を狙いリアルストーカーになる者。

PKプレイヤーと組んでヒーローショーに興じる者。

被害者まで巻き込んでツアーを組む、別の意味でのガチまで。


ギルド『モヒカン』は、正しい意味でガチな正統派正義の味方がお気に入り。


だから哀れな被害者を彼らの巣窟(ギルドホームがある街)に届けるのだ。

被害者は、せいぜいパーティー規模のモヒカンに襲われた!とPKKギルドに駆け込む。


PKKギルドは先を争って討伐に出る。

ニヤニヤしながらモヒカンの斥候が追尾。

複数パーティーで四方八方からお出迎え。正義の味方を、被害者達(女性)の前で数に任せたフルボッコ。


なんで被害者(女性)をわざわざ連れてきたのかは、PKもPKKもたいてい男性プレイヤーだから。

推してしるべし。


『ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!女の前でかっこつけっからだ!!!』


などと世紀末ヒャッハーに相応しく溜飲を下げ、またしても被害者女性プレイヤーは街に送りつけられる。

キャッチ・アンド・リリース?

いや、まるでスポーツフィッシングだが、正義の味方から巻き上げたアイテムで被害者(女性)に補填するあたり、迷いがある。


いい加減、諦めればいいのに。

話違うよ!先生!

と広報は語る。

語られたニートは文久二年の桜田門外の事件について語るが、誰もついてこれないからやめよう。



まあ、流石に、複数回PKK正義の味方を連れてくる被害者はいなかったが。

いたらソイツはPKギルド女性アバターの美人局だ。



そもそも、ゲーム『スフィア』ではPKギルドの方が女性メンバーがいたりする。

正義の味方に憧れる女性はいても、正義の味方になる女性は・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、悪女気取りを楽しむ方が多かった、と。


とはいえ、ギルド『モヒカン』でもアバターまで女性プレイヤーは30名程度。

ゲーム全体の男女比半々には遠く及ばない。

だからこそ、正しい男女比を目指して男女共同参画PKを実現します!!

と広報は語る。

お前はどこの地方議員かと。


PKギルド『モヒカン』には女性専用席があります。大半があいてます。

と広報は語る。

は、この際どうでもいい。




そんな訳で、デス・ゲーム当日。


零時までに18のパーティーを潰し、3つのPKKギルドを殲滅。

25名の女性プレイヤーを街に送迎していた。


PK/PKKと銃の名前的な連中が、互いに不評を高め合う。

一方は悪党、一方は格好つけ軟弱者。

切磋琢磨して主に新規ユーザーに多い女性に嫌われていたのだ。


ギルド『モヒカン』広報は白目である。

そんな彼らに白羽の矢をたてたのがニートだった。


勝手に。


世界には相手の都合を考えない人間がありふれてるらしい。


ね?だから言ったでしょう?

サイコパスは珍しくないって。


「いや、おっさんじゃん」

「ニートさんが皆に嫌われる理由ですね!!」

「いや!トモ!あたしらは別だろ!!な?な?」

「あーセイちゃんツンデレ??」

「え?え?え?え?」

・・・・・・・・・・・・・・すりすり(ネコ)。





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