表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

桜が咲く季節に起こる悲劇(笑)

作者: 雛子

 桜が舞い散るこの季節。

 俺はいつもの場所に来ていた。


「えぇ…っと……いつもの奴は…」


 学校の隅にある自動販売機。

 俺はここの常連客となった。ここにしか、例の物は売ってない。

 俺は売り物を確認し、思わず呟いた。


「無い…だと…!?」

 そ、そんな馬鹿な…! 昨日まではあったのに…!!

「……世界は何時だって、こんな筈じゃない事ばっかりだよ」

 というか今更だが何故ここに自動販売機置いたし。ここで買う人全然見たことないぞ。

「……しかし、どうするか…」


 例の物で始まり例の物で学校を終える。

 始まってそうそう出鼻を挫かれた。

 ……はぁ…仕方ない。


「早退するか」

 と言った瞬時、俺の頬に何かが当たった。


「うわっ!」

「はい。これが欲しかったんでしょ」


 目の前には、喉の潤いを取り戻し、尚且つ体力が快復するエナジードリンクが…!

 驚きの余り後ろを振り向いた。


「……なんだ、お前か」

「お前か、だなんて失礼じゃない? 折角用意したのに」

「いや、悪い。こんな端まで来る人は少ないからさ」


 渡されたエナジードリンクを受け取り蓋を開ける。

 そのまま一気飲み。


「くぅ〜。この一杯がたまらん」

「……オヤジ臭い。そんな事言ってると彼女出来ないよ?」

「春は来てるのに『春』は来ないって? うるせえわ。俺だってな、本当なら女の一人や二人……」

「作れるの?」

「……」


 ツッコミが核心を突いているので何も言い返せない。

「もぅ…意地張ってないで早く行こうよ。体育館に集合だよ?」

「行かねえよ、俺は」


 俺は誰かと、卒業や入学をする為に喜んだりする事は出来ない。


「……やっぱり、駄目だったの?」


 半ば諦めかけていた様な声音で、俺に聞いてくる。

 だから俺は、ただ首を縦に振って返事をする。


「………そう、なんだ…」

「なんでお前が悲しむんだよ。それに、もう逢えなくなる訳じゃないだろ?」


 彼女の頭をクシャクシャと撫で、俺は自転車に跨ぐ。

 そこで俺は、ポツリと聞こえるか聞こえないかの声を出す。


「……俺、お前の事が好きだったよ……」

「え…?」


 自転車のべダルを踏み漕ぎ出す。

 ただ俺はその場から逃げたかった。


(聞こえたかもしれないな)


 けれど、このままで良い。

 気持ちは伝えた。後はもう……


 俺がこの世界から居なくなるだけなんだから。


「あぁ…本当に、この世界はこんな筈じゃない事ばっかりだよ」

今回も安定の駄文

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ