2話 異世界事情
武器の等級を変更しました
奏たちは王に頭を下げられ困ってしまった。まわりの貴族や騎士たちも王が頭を下げるとは思っていなかったらしく、動揺していた。横にいた大臣らしき人が王に何度も頭をあげるよう言っていたが王は聞く耳持たなかった。
そこで体育教師の岩川が
「まずは話を聞かせてください。じゃないとどうすればいいか分かりません」
「そうじゃの。すまなかった。まずはこの世界について、そしてそなたらを呼んだ理由についてを説明しよう」
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国王からの説明は割とラノベのなんかと変わりなかった。
話や自分の感想をまとめると、まずこの世界には1つの大陸の中に人間、獣人、魔人、エルフ、ドワーフ、精霊や妖精などがいる。獣人は身体能力が、魔人は魔法とパワーが、エルフは魔法が、ドワーフはパワーが優れ、人間は他種族に劣るがバランスがいい。
エルフは里のある森の中で生き、稀に里から出て他種族と関わるが基本的に干渉することはない。
また、ドワーフは鉱山などに村を作るが、人間や獣人の国で武器や防具を作り、店を開いたり、宿屋を経営したりとバラバラに生きていたりする。
精霊は実態を持たず寿命がなく、また属性ごとに生きている場所が違う。また精霊は普段エルフが感じ取れるくらいでほかの種族は例外を除いて生涯関わらない人が大半らしい。とはいえもし精霊の中でこの人に関わりたいというのであればその人は関わることができるらしい。
妖精はとても小さく、いたずら好きでよく花畑や川辺で人をおどろかしているとか。
これらは基本共存や不干渉または共存をもとに生活していると考えられる。
しかし、人間や獣人、魔人は違う。それらの種族ではたびたび戦争をしてきた。特に人間は領地や鉱石などの資材を獣人は世界の最強の種族としての地位を、そして魔族は他種族の殲滅を目的としている。その結果大陸はところどころ環境が変化し危険な状態の場所もあるらしい。
そして近年魔族は下級魔人や中級魔人しか戦争に出てこなかったが、上級魔人が参入し均衡が崩れ始めてきた。魔人は上級魔人のトップの魔将や魔人を統べる魔王が出たら他種族は終わりらしい。そこで人間と獣人は互いに争うことを控え、切り札として僕らを召喚することにしたらしい。
ただ、最近は緊張状態にあるものの戦争が止まっているらしい。噂では魔王が変わって戦争に反対しているとか。僕らを呼ぶ必要ないじゃんかと思ったが、いつ戦争が始まるかわからない、他種族を殲滅しようとする魔人はいる、それに脅威は魔人だけではないと言っていた。
あと世界事情についてだけど人間の国はいくつか存在するが獣人は1つその中に村や里があり、、意外なことに魔人の国は複数ありそれは総称して魔国と呼ばれ、今まで争ってきた魔国はちょうど種族の境界に面した魔国だけらしい。
国王は人間の国は悪くないと思わせようと話していたが、奏の感想としては自業自得だとしか思えなかった。
次に話していたのは魔法や魔石、物の等級についてだった。魔法は火・水・風・土・雷・氷・光・闇・聖・無の10属性らしい。
光と聖は同じではないのか疑問に思っていたが、光とは攻撃と若干の回復魔法でアンデッドには効かないらしい。逆に聖はアンデッドにのみ攻撃可能であり、ほかに他属性とは比べられないほどの回復魔法と付与魔法があるらしい。
魔法の等級は初級・中級・上級・王級・帝級・災害級の6等級。普通宮廷魔術師で王級までで勇者や一部の天才は帝級までは使えるらしい。災害級はかつて何人か使えたものがいたが、どれも地形を変えたりと危険であった。
さらに例外として、精霊と契約すれば精霊魔法が使えるようになる。
魔石とは魔力を持った石で様々な力を宿しているが、この世界では取得方法が限られている。この魔石を武器や防具の作成に使用すると強い効果が得られるしそのままでも使えるものもあるとか。
武器や防具なんかの等級は粗悪・一般・高級・希少・国宝級・伝説・神話の7等級。
ただあくまでも等級であって強さや耐久は使用者によってかわる。
そしてこの世界には動物のほかに動物が魔力を吸収した魔獣、発生が不明な魔物が存在し、魔獣や魔物は森や洞窟そしてダンジョンに現れる。これを冒険者や騎士団が討伐して村や街をを守り、日々暮らしている。魔獣や魔物は強く被害も大きかったりする。
召喚者はみなこの世界では補正がかかり強いため、討伐も手伝ってほしいとか。
最後にどうやっても帰る手段はない。召喚魔法は種類がいくつかあり、僕らを呼び出したものは召喚はできるが送還できないものらしい。少なくとも今は見つかってない、と。
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「どうじゃ? 我々に力を貸してくれんか?可能なことならどんなサポートもする」
国王の説明が終わり生徒たちは様々な反応をする。異世界で浮かれているもの、不安になるものなど。
しかし、ここで困っている人を見捨てない藤堂が
「わかりました。俺は力を貸しましょう! みんな! ここの人たちは困っているみたいだ。幸い俺たちには力があるみたいだ。俺は困っている人は見捨てられないしみんなで力を合わせればどんなこともできると信じている」
藤堂がそういうと同時にクラスのみんながだんだん「しかたないなあ」「楽しそうだしいいか」「藤堂君がそういうなら」など乗り気になってきた。
そして国王の傍にいた第一王女のアイアが藤堂の近くに駆け寄り、藤堂の手を取って頬を赤らめながら
「ありがとうございます。失礼ながらあなた様のお名前をお聞きしても」
「ああ、まだ名乗っていなかったね。俺の名前は藤堂勇真。勇真が名前です。アイア王女様」
「ユウマですか。いいお名前です。さすがは勇者様。それと私のことは呼び捨てで構いません」
「まだ俺が勇者かはわからないけど、困っている人は助けなきゃね。アイア」
いつの間にか二人だけのピンク色の空間ができており、クラスの女子の何人かはは目に嫉妬の炎を宿らせている。
その後奏達の自己紹介をして豪華な夕食をとりその日はみんな用意された部屋へ案内された。
部屋は一人で使うには豪華すぎるくらい広くそのまま眠ってしまった。
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次の日奏達は訓練場に集められた。ここには訓練場がいくつかあり、騎士や魔法使いなど場所によって用途が決まっているらしい。
「カナちゃん、昨日はねむれた?」
「うん、ベッドが気持ちよくってね。桃華は?」
「私も。ねぇ今から何をするのかな?」
「うーん、いきなり訓練とかはやめてほしいかな~」
「なんでだ? 早く運動したくてたまらないだろ」
「さすが隼人は脳筋だね」
集められたものはみんな今から何をするのかわからず、騒がしかった。
それから10分ほどしてアイアとゴツイ禿の騎士と細身で優男雰囲気を感じさせる騎士、そして召喚されたときにアイアと一緒にいた青いショートカットの女の子がなぜか鎧を着てやってきた。
「お前ら、俺は王国騎士団団長のドルマだ。お前らの教育係を任された。厳しくいくから覚悟しろよ!」
「僕は副団長のメリエルです。微力ながらサポートをさせていただきます。よろしくお願いします」
ゴツイ禿ことドルマがでかい声で自己紹介し、優男のメリエルがさわやかな笑みと共に挨拶をした。
メリエルの笑みに女子が頬を染めていた。
そして、
「わ、私はリエラ王国第2王女クリステラ=リエラです。わ、わたしもまだ未熟でしゅが騎士の一人です。国を守るためお互い頑張りまひょう」
緊張しまくってて噛み噛みだった。
しかし驚いた。クリステラが王女なのに騎士でもあったなんて。しかも年は奏達の1つ下らしい。
そんなことを考えていると
「よーし、自己紹介も終わったし本題に移るぞ。今日はお前らのステータスプレートを作ってもらう」