17話 新しい家族
だいぶ遅くなりました
すみません
あれから約半年が経った。しかし、ダンジョンにいる奏には実際どのくらいの時間が過ぎたのかは知らない。ダンジョンに潜る者たちのためにダンジョン用の時計があるのだが、元々1日で出る予定だったためドルマしか持っていなかった。
妖刀 鬼啜りを手に入れた後もまだ扉の奥の『何か』にはまだ勝てそうもなかったからひたすらレベルを上げることに時間を掛けた。
その間に死にかけること47回、狂喜乱舞で助かること12回、毒で苦しむ事19回だった。特にワイバーンはキツかった。竜種でありさらに群れでいたため1番死を感じた。また毒は19回以外にも麻痺や睡眠といったものもあり、戦闘終了後にそれで倒れたこともたびたびあった。
おかげでレベルはあがったのだが。途中からはレベルの上りも遅くなっていった。
最初に閉じ込められた場所に行って壁を破壊しようとしたがどうにも破壊できなかった。他の壁も試したが壊すことができたため何故かは分からなかった。
更に最近ひょんな事から新たな同行者ができた。魔吸蜘蛛のアリアだ。
ある日モンスター同士が争っているのを見ていた。それは大きな木の巨人であるウッドジャイアントと魔吸蜘蛛だった。どうやら魔吸蜘蛛は卵を守っているようであった。ダンジョンはモンスターは自然発生や産卵などあり、謎に包まれている。
魔吸蜘蛛が魔力を吸い上げ決着が付きそうな時、横からアシッドベアが2匹まとめて酸液を吐いて殺した。
その後臭いで奏も気づかれたが、アシッドベアの脅威は酸液だから奏にとっては特に厳しくなかった。
問題はそこからだった。モンスターの素材を剥いでいる時、魔吸蜘蛛の卵は気にしていなかった。理由はアシッドベアの酸液がかかっていたからだ。その時ピキッと音が聞こえた。しかし周りを見ても何もいない。気のせいかと思い作業を進めると何かが割れる音がした。
後ろから音がして振り向くと其処には卵の殻と今這い出てくる魔吸蜘蛛の赤ちゃんがいた。どうやら奇跡的に酸液から免れていたらしい。
モンスターではあるが奏は特に慌てることもなかった。城での授業でモンスターの赤ちゃんは生まれたばかりは全く戦闘が出来ないと聞いていたからだ。それ故に魔獣使いは最初の頃に教育し、魔獣を使役すると言っていた。
奏は特に育てる気もなかった。だけど魔吸蜘蛛の赤ちゃんが近寄ってきて、奏に糸を付けた。これには流石に困惑した。なんせ魔力が吸われている感覚がするからだ。しかし危機察知は特に反応を示さない。すると魔吸蜘蛛は糸を付けたまま体をよじ登ってきた。そして肩に乗るとキチキチと嬉しそうに音を立てていた。
奏が自分が親になってしまったと気づいたのはそれからしばらくしてだった。
名前はアリアドネからとった。名前からなんとなく察することができるが雌である。
アリアが家族になってから色々とわかった
。
まずアリアは小さい頃は親の魔力を吸って成長する。これはモンスターでも様々であることがわかった。大抵は肉や乳で済むと聞いていたがこういう特殊な方法もあるらしい。
次に奏はあんな目にあったがやはり一人は寂しかったこと。アリアが家族になり以前よりよく話すようになった。最初に出会ったのが少なくとも人間ではなかったのは良かったかもしれない。
もし人間であったならどうしていたかわからない。
アリアは生まれた時はレベルが低かったため共にレベル上げをした。もともと手のひらサイズだったのが2回り程大きくなった。
今ではとても頼りしている。しかも糸は普通の糸と魔力を吸う糸と使い分けられるようで更に糸を器用にも扱えるらしく試しに服を作ってと言ったら本当に作ってくれた。そして左眼を取り敢えず覆うために包帯も作ってもらった。本当は眼帯なんだろうけど包帯のほうが作りやすいため包帯にした。
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アリア (魔吸蜘蛛)
性別 雌
レベル 54
体力 980
魔力 950
筋力 1280
物耐 840
敏捷 1360
魔攻 1400
魔耐 900
魔法属性
雷
スキル
脚術 糸術 魔吸糸 気配察知 裁縫 隠密
称号
奏の魔獣 奏の子
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カナデ=コトブキ
種族 人間
性別 男
年齢 15
レベル 84
職業 歌姫
体力 4240
魔力 7360
筋力 3810
物耐 3480
敏捷 5220
魔攻 ?
魔耐 3300
魔法属性
火 水 風 氷
ユニーク属性
音
スキル
言語理解 隠蔽 解析 アイテムボックス 聴覚強化 二刀流 投擲術 脚術 音響定位 音解析 聖殺与堕 狂喜乱舞 複合魔法 詠唱破棄 無音 火纏 水纏 風纏 氷纏 掌術 危機察知 声写し 鬼圧 毒耐性 調教 魔力吸収耐性 舞闘術
称号
異世界人 被虐者 歌姫 動物と戯れるもの リエラ王国第2王女の友人 裏切られた者 絶望する者 災禍の供物 纏う者 アリアの親 剣舞士
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【声写し】いわゆる声帯模写。人、モンスターに関わらず一度聞いた声なら出すことができる。
【鬼圧】威圧の上位互換。
【舞闘術】舞うように闘い見るものを魅了する。
他は名前の通りのスキルである。
『始まりの終わり』に来てから出るためにレベルを上げることを考えていたらこの辺のモンスターには負けないほどにレベルが上がった。今となってはアリアでもある程度1人で戦える。
「そろそろ扉の奥に進もうか」
そうアリアに言って扉に手を掛けた。




