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11話 ダンジョンと裏切り

称号に災禍の供物を追加しました

 現在奏達はダンジョン『始まりの迷宮』の前にいる。入り口は多くの冒険者が出入りしていた。奏達は前衛と後衛に編成してダンジョンへ入っていった。


 ダンジョンは上下左右石壁で囲まれ、まるで洞窟のようだ。


 ダンジョンはそれぞれ環境が異なり、そのせいで命を落とすものも出ると言われている。また、出現するモンスターの属性も環境に合わせて変化したりする。

 そのため『始まりの迷宮』は初心者にとっては攻略しやすい環境となっている。


 今のところ、狼型モンスターのファングや土人形(ゴーレム)、蟻型モンスターのアントばかりである。


 召喚者はこれを難なく倒し、順調にレベルが上がっている。

 奏も初級魔法の制御がほとんどできるようになったことから他よりだいぶ時間はかかりながらもレベルは上がっている。


 皆初めてのモンスター討伐に余裕をもっており、喋りながらというものがほとんどである。しかし、時折、魔法の制御を誤ったり、奏にしか分からないが声の高さが変わったりしている。その時は意外と緊張しているんだな、としか奏も考えていなかった。


 おかしいと感じたのは5層に到達して少ししてからであった。一行は十字路に差し掛かった時、本来右へ行くはずが、まっすぐ進んだのである。地図では右が6層への階段があり、左は行き止まり、真っ直ぐは『始まりの終わり』へと続く道となっている。気になって


「今のところ右が6層に一番近いと思うんですけど」


 と近くの騎士に聞くと、騎士は


「いや、それは古い情報だ。最近こっちの方が近いと分かったらしい」


 と返された。確かにこの道でも途中で曲がれば行けないことはないが近道は覚えている限りでは特に近道となるルートはなかったはずだけど……と思うが、皆先を進んだためついていくことにした。


 そして、段々『始まりの終わり』が近づいてくると皆喋らなくなり、震えていたり、躓きそうになっていたりする。やがて進行方向の左側に大きな穴が見えてきた。穴は8mほどの大きさで中は広間があり、その先に通路が一つ続いていた。


 ここでドルマが休憩を出した。皆にこの穴の先がどれほど危険か教えるためとお昼を取るためだそうだ。知り合いを探すと穴の近くにいつものメンバーが座っていた。皆表情が落ち込んでおり、近づいてどうしたのか尋ねようとしたとき、背中に強い衝撃がありさらに浮遊感が続き、気づくと広間にいた。


 一瞬何が起こったのかわからなかった。しかしとりあえず戻ろうとした時、クラスメイトと騎士が数名こちらに魔法を放って来た。戸惑いはしたが、何とか避けることができた。


「どういうこと!?」


 奏が叫ぶと八重沼たちがニヤニヤしながら穴のそばまで来て


「よかったな!! お前は選ばれたんだよ」

「選ばれた……?」


 何のことかわからなかったが、今いる場所で気づいた。


「もしかして……『災禍の供物』?」

「なんだよ。知ってたのかよ。まー、説明の手間がなくなっていいかー」

「おい、最初から説明する気なかっただろ」


 当たってはほしくない予想が当たり、今までの不可解な行動も理解することができた。近藤と成田が笑っているがそんなことどうでもいい。とにかく出なければいけない。


 そう思い、穴へ走り出られると思ったとき、何かにぶつかり弾かれた。なんだと思っていたら、当たったところが振動していた。奏ではこれを訓練でよく見ていた。


 これは職業結界師かスキルに結界術を持つものしか使えない魔法、『結界』である。これを使える知り合いを探すと、そこにはスキル『結界術』を持つもの数名と職業『結界師』の奈央と他数名が固まっていた。


 奈央は目を合わせようとはしなかった。助けを求めるためほかの知り合いに呼びかけた。


「なぁ、助けてくれよ!!」


 その叫びも虚しく、隼人は何も言わず、渚は俯いて何かを呟いており、大輔は目を閉じていた。桃華を見ると口を開こうとしたから少し希望が湧き出たがそれは一瞬で砕かれた。


「ご、ごめんね。わ、私はま、まだ死にたくないの!」


 桃華はそう言って目を逸らした。


「なっ!? ど、どうして?」


 そういうと横から藤堂が


「大丈夫! ここに入ったものの多くは死んでいるらしいけど中には生きて出てきたものも多いらしい。世界の人たちを救うためには仕方ないんだ。分かってくれ! でも僕は……いや僕たちは君が生きて帰ってくると信じているよ!!」


 そんなことを言っていた。たぶん藤堂の性格からして本心から言っているのだろう。


 だけど意味が分からない。勝手に呼ばれて役立たずと言われ挙句の果てに生贄だとか。しかも生きて帰ってきた者はいないと言われているのに。そもそも生贄の意味が分かっているのか?生贄が生きて帰ってくるはずないだろう。


 意味が分からず呆然としていると穴が塞がって行った。


 複数人で行使する強力な集合魔法の土魔法によって穴は完全に閉じ、奏は捨てられた。



 【称号  裏切られた者 絶望する者 災禍の供物 を獲得しました】

 【称号  被虐者 裏切られた者 絶望する者 の獲得による隠しスキルの解放】

 【スキル  聖殺与堕 を獲得しました】

 【属性熟練度達成のため ユニーク属性 完全解放】

 【ユニーク属性  音 を獲得しました】

 【スキル  聖殺与堕 ユニーク属性  音 の特殊スキル  狂喜乱舞 を獲得しました】

スキルについての説明は次の奏の時にしようと思います

尚、次話は美咲・桃華視点で行く予定です




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