10話 ダンジョンへ
今召喚者たちはダンジョン『始まりの迷宮』に向け馬車を走らせている。馬車は7人乗りで合計9台用意されていた。召喚者は合計42人でそれぞれ5人ずつ、さらにそれに騎士が2人乗っている。
しかし奏と美咲は余ってしまい、それに騎士が5人乗って行くことになった。
昨日ほとんどメイドさんたちが準備していたから、朝ご飯を食べてすぐ出かけることとなった。今日の夕方に着く予定なのでそれまでの間は大分暇である。
奏も最初は初めての馬車で興奮し、王都を出てすぐは景色を楽しんでいたが、すぐに飽きてしまった。
だってずっと草原か森かしかないんだし。
ちなみに今の奏のステータスは
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カナデ=コトブキ
種族 人間
性別 男
年齢 15
レベル 13
職業 歌姫
体力 290
魔力 3100
筋力 160
物耐 140
敏捷 670
魔攻 ?
魔耐 100
魔法属性
火 水 風 氷
ユニーク属性
オ*
スキル
言語理解 隠蔽 解析 アイテムボックス 聴覚強化 二刀流 投擲術 脚術 音響定位 音解析
称号
異世界人 被虐者 歌姫 動物と戯れるもの リエラ王国第2王女の友人
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二刀流と投擲、脚術は昼の訓練と夜のクリスとの模擬戦で身についた。
『音響定位』はいわゆる反響定位と同じで自分の声の反響でどこに何があるかが分かる。だけど外にいると建物の中は分からないし、建物の中にいると外が分からないという微妙なスキルだ。ただ窓やドアが開いていればその限りじゃない。それに、熟練してけば音波で探れるようになり、どんな場所も様子が分かると説明にあった。
……音波がどんなのかよくわからないから使えるようになるかわからないけど。
『音解析』は足音や武器・防具でだれか判別することができ、今のところ動物にも使える。しかも、動物の言語理解の能力も兼ね備えているようで仲良くなった動物の話がなんとなく分かった。
2つのスキルは聴覚強化の派生みたいだ。
リエラ王国第二王女の友人はそのままの意味で補正なんかは特にない。
こんな感じで地味にスキルも称号も増えていったがステータスはそんなに高くならなかった。
人によってステータスの成長具合はバラバラだが、ほかの召喚者はレベルは少なくとも20超えているしステータスも上がり具合が凄かった。
見比べるたびに虚しくなってくる。
まぁ基本ステータスプレートは個人情報だから見せたい人だけが見せるため、奏は特に見せていない。
それにしてもほかの馬車は皆静かだ。たぶん緊張しているのかもしれない。まぁいくら強いと言っても死ぬ危険はあるんだし。でも他の馬車にいるドルマがぎこちないのは気にはなった。
比べて奏達の馬車は騎士が多くて賑やかだ。そのおかげか奏もあまり緊張していないから美咲と話をしていた。内容は昨日本で読んだ『災禍の供物』。
話しているとき騎士の人たちが若干変だったけどもしかしたらこの内容はタブーだったのかもしれない。
そうこうしているうちに奏たちはダンジョンのある街についた。新米騎士や新米冒険者が多いため、人でにぎわっており、時間も夕方で酒場は特にうるさかった。
皆宿屋で夕食をとり、一応軽い確認だけとって明日に備えて早く寝た。




