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≪第五十話≫    No.68

≪第五十話≫       No.68

警備の武者は30人、菅田(かんだ)()衛門(えもん)を始めとして腕に覚えのある者たちを揃えていたが、弓矢の攻撃に7,8人がやられ、更に行列の中央に乗馬した野党集団が割込んできたので、列は分断され、情愛の輿を守る武者は10人程であった。

それでも、菅田(かんだ)()衛門(えもん)や楓達の活躍で野武士たちは、仲々輿を奪得なかった。其の内、藪の影で成り行きを見ていた数騎の野武士団が勢い良く出て来て須衛門たちを蹴散らした。野武士の(かしら)らしき男は、黒染めの兜に面を付けて大声で怒鳴った。「輿から、女を引き出せ!!」

4人の担ぎ手も既に斬られ、「暴れると命はないぞ! 」と大地に置かれた輿から情愛姫が無理やり出された。周りの様子を見て、情愛は大人しく用意されていた馬に乗った。

首尾よく獲物を仕留めた野党集団は、まだ抵抗する闘いは残して、10騎程で姫を(さら)って行った。・・・・それを遠目で見定めていた黒い影があった。朱鷺の権坐である。権坐は俊高の命を受けて密かに行列を護衛していたのであった。

権坐は素早く動いた。残っていた野武士の馬を奪って、稲島の国境(くにざかえ)に向い、駒を走らせた。   

国境には、用心も有り俊高以下、20人の稲島武者が、一行を待っていたが、権坐を見て、異変を知った俊高は直ぐに駈け寄った。

「お屋形様、姫様が奪われました。野党の頭を装っていたのは、間違いなく白根・佐藤の忠勝で在り申す。白根に向っておりまするぞ!」

「よし!判った。案内致せ!」と命じて、俊高は清水寅之助を含む10騎の武者を引き連れ後を追った。

走りながら(河を渡られると厄介ぞ・・・)と思いながら情愛姫の安否を念じて馬を走り続けさせた。

越後平野は視界が利く。権坐の感は鋭く、情愛姫の救出の為に駒を走らせている菅田(かんだ)()衛門(えもん)や楓の一団が遠くに見えたので、権坐は野党一味の先回りをして西川の川沿いに俊高達を導いた。

西川の小橋を渡ろうとする野党一味と正面衝突した。激しい斬り合いとなったが、数や力量はこちらが勝っていた為、勝負は直ぐに付いた。

やはり、首謀者は、白根の侍大将・佐藤忠勝であった。逃げ際に「俊高‼ 父の仇は必ず取るぞ!!」と捨て台詞(ぜりふ)を残して去って行った。

俊高は情愛の手を取り、無事を(ねぎら)った。二人はじっと見詰めながら、これから自分達が歩むべき困難な道の予感を互いに心の底で感じ取っていた。



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