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前科 交通事故の死神   作者: エントラル
異世界転移前
1/54

1 早朝

作者の独自表現又は造語を使う場合があります。ただ、読んで字の如くですが。

後で不足、誤表記箇所の修正をすることがあります。

某空間 空間暦 (上12桁省略)80年

日本 某県 某市 8月1日 蓮池荘(はすいけそう)

蝉が喧しく鳴く早朝 。 7:00にセットされた目覚まし時計がけたたましく部屋中に響き渡った。


「ん……」


一人の少女がその音で目を覚ました。身体をよじらせれば、ボサボサの広がった青い長髪が布団と擦れてザラザラ静かな音を立てる。視界が覚束ない中、濃いブルーの目を半ば開けて寝ぼけながらふらふらとした足取りでベッドから起き上がり、騒音の元凶を絶つべく机に置かれた目覚まし時計に直行した。時間が経てば経つほど追い討ちをかけるかのように音が大きくなる。


「もう起きました!!黙らっしゃい!!」


不機嫌な勝利宣言と共に右手で時計裏の目覚ましモードスイッチをOFFに切り替えた。音が止んだ。そして左手で目を擦り、朝の悪魔につけられたディジタル時計の時間を確認する。


「ふぁ~。もう7時かぁ……。あ~眠気が残るわ……」


そう眠気たっぷりに呟き、大きく背伸びして欠伸をする。毎日の生活リズムに今日も誤差はなし。


「よし」


自分で点呼を取ると洗面所へ向かい、顔を洗い、歯を磨く。玄関の郵便ポストに投函された新聞を回収。そして朝食をとる。ついでにテレビの電源を入れる。爽やかなアナウンサーの声が聞こえてきた。朝食はトースト一枚、目玉焼き、サラダ、牛乳、ヨーグルト。新聞を読むことと平行して。


「今日の天気は晴れ後曇り。ところによっては一時的に激しい雨が降るでしょう」


気象予報士からの予報。晴れ、曇り、雨。何でもありね。まっ、あくまで予報だから。ここまで30分。パジャマを脱いで制服に着替える。髪の毛を整え、青い学生鞄の中身を確認、今日の授業確認。状態オールグリーン。よし、何ら問題なし。


「行ってきま~す」


と2階建てアパートの二階207号室から明るい声と共に茶色のドアが開いた。学生鞄を下げて白い学生服を着込む女子高校生は長く青い髪を靡かせて外に繰り出す。


しかし、彼女の言葉に対する返事は来ない。何故なら彼女は寮で独り暮らしだから。だとしても日頃の癖で口にしてしまう。そうでもないとどうも納得がいかない。毎日を徹底するのが彼女のモットーなのだ。家族のことを恋しく思うがそれは時々のこと。


ちなみに私の名前は荒杉あらすぎ 理性りせい




「あ゛~何よ。こんな夏休み真っ只中にして出校日……。宿題は無理矢理全部7月中に片付けたものの……、精神はズタボロなのよね……」


朝の元気も何処へやら、ふてくされた口調でぶつぶつと愚痴をこぼしながら彼女は夏の日差しに頭痛を感じて通学路を歩く。宿題をやっていない人には多少驚きとムカつきを覚える言葉である。学生なら楽しみであろう夏休み。それを宿題という違和感なしにこれから堪能出来る。これ程の幸福はない。


が、変わりにその間は誘惑を退ける拷問の日々。お陰でいろんな意味でミイラ化している。荒杉は宿題をさっさと先に終わらせないと気が済まない性分だった。何よりも後回しが嫌いなのだ。どちらにせよやることに変わりがないのだから。


「お~い、荒杉ぃ」


体を引きずるようにミイラになった私の背後から自分を呼び止める声。約1週間程久々に聞いたので妙に遠い感覚。


荒杉が振り向くと50メートル後方よりこちらに接近する人有り。どうやら本当に声は遠かったようだ。こんな遠距離で呼び掛ける輩は外見を見なくても誰だか解る。普通ならストーカーだ。しかし荒杉は立ち止まって待った。十数秒待ってその人が追い付く。勿論、学生。そして男子。制服は無論白かつ半袖。バッグを肩にかけてすっかり息を切らしている。


「ハァー…、ハァー。ようやく追い付いた……」


その男子生徒は汗まみれで彼女に追い付き、頭を垂れた。黒髪の短髪少年。彼の名前は坂追さかおい 竜治りゅうじ。彼女とは同い年である。そして私の友人。


「あなた、どうしたらそんな状態になるの?まだ時間に余裕あるのに」


右手の腕時計を確認してもまだ8:05。リミットは8:30。走る必要はないと思う。ちなみに校門まであと600メートル。歩いて間に合うだろう。いや、それで遅刻する方が問題だ。なのに汗を掻いてまで走る理由が判らない。だが、首を傾げ困惑する自分に向けて、坂追は言葉の爆弾を堂々と投下してきた。


「お前に追い付けるだろうって思ったから」


「ハァ!?まっ……まさか鷹の目だからといって……」


寒気を感じ、彼女の身体に震えが走る。あんな遠くから自分目掛けて走って来るなんて……変質者も驚くストーキング力。まさか自慢の能力を……。


「そういうこと」


理性の考えたことを察したのかニコッと笑う。黒い目がキラッと輝いたのは私の思い込みか。一般的見解なら間違いなく不審者かつ警察署行き。


「いくら何でも遠すぎでしょ!!……というより止めて頂戴!!」


荒杉は名前の通りに荒々しくツッコミを入れただけに留まった。理由は簡単。前述の通り鷹の目を持つ。彼曰く4キロ先の鼠まで見えるらしい。そして距離感がおかしい。1キロ以内なら追いかけるのだ。だからつまり彼は彼女に追い付くために1キロ走っても不思議ではない。普通遠距離からの追跡はストーカーだ。対しこいつはその自覚は微塵もない。当たり前だ、という認識。


「まあまあ……とりあえず、一緒に行こうぜ」


朝からの脅威の追跡にぞっとする荒杉に気にかけず、彼はスタスタと歩いていく。何故かこういうときだけは妙に学生の輪に溶け込んでいる。でもそれは見た目だけであって……周囲からは奇異な目で見られているのは必然である。


「別に無理しなくて良いのに」


はぁ~。とため息をついて彼女はその横に並んで付いていく。朝からよくこんなに元気で居られるの!?と毎日だが心底思う。それなら陸上部に入った方がいいと全力で勧めたい。どうして自分を追いかける為に体力を消費するのか……。


「これは運動の一環だと思っておいて」


坂追は呼吸を整えて大きく息をついた。そして疲れなど感じさせないさわやかな表情で私の歩幅に合わせてくる。やっぱりこいつ、部活に入るべきだわ。私を実験台にして走るなんて……何処の暇人よ。


「夏バテで倒れても知らないわよ」


「荒杉こそな」


そうして二人並んで通学路を歩いていく。


これが私の日常である。彼との間にはギャップがあるのは明らかだが、これはまだ序の口。学校に行けば更なる化け物?がいる。しかもその全員が私の友達。変人集団……かもそれない。



取り敢えず……こんな感じで一日が始まる。

初投稿です。まだ言葉の言い回しが上手くないので読む方は温かい目で見守って下さい。ちなみに不定期更新なので期間が空くことがあります。空間、又は空間歴は重要な物語の設定として使います。他作品を投稿する時も共通して使う予定です。

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