第六十二話
どうも、パオパオです。
この作品の方の終りが微かに見えてきたので、にじファンの方で新しい作品の投稿を始めました。
おとボクとか好きでしたら読んでみてください。
――勇者とは、遊ばれる者である――
「……これからどうしようかしら」
ポツリ、と。ネミコは呟いた。片手でくるくると大剣を弄びながら、何かを考えるように顎に手を当てていた。程なくして思いついたのか、満面の笑みを浮かべてボクに提案した。
「そうだ、ゲームをしましょう!」
「ゲー……ム?何の……つもり……なの……?」
ネミコの提案がボクには理解できなかった。瀕死の状態にあるボクには、少し口を動かすことさえ重労働だった。ネミコの突拍子もない思いつきを理解できる程、まともな思考力は残っていなかった。
「あら、このままじゃラマが死んでしまいそうね。それじゃあ楽しめないわ。えっと、回復の魔法が一番上手いのは……トランクィランテ。ラマを死なない程度まで治してあげて」
ネミコの傍に控えていた紅色のリスが、ちゅ、と鳴いてボクに近寄ってきた。止める術を持たないボクは、それをただ見ていることしかできなかった。リスはボクの頭に飛び乗り、体の上を踏み付けながら跳ね進み、ボクの足元辺りで動きを止めた。
リスはボクの足に触れながら、体を赤黒く発光させた。数秒と待たずに発光が終わると、徐々にボクの足から焼けるような痛みが発せられた。
「……っがぁっ!?っだぁっ!痛ぁあぁっ!!」
痛みから逃れようと、ボクは足をばたつかせた。リスはそんな中でもボクの足に触れたまま、離れることはなかった。迫るボクの足を軽やかに避けるので、地面にぶつかって逆にボクの足の被害が増える一方だった。
しばらくして、リスがぴょんと跳んでボクから離れ、ネミコの傍に戻っていった。それを見送った所で、ようやく僕は足が治療されていることに気が付いた。自由に動かせ、感覚すら戻っていたのだ。
それだけではなかった。立ち上がれない程全身を蝕んでいた痛みもいつの間にか緩和されていた。痛みに慣れた、ということもあっただろうが、大きかった傷口が目に見えて小さくなっていた。
不意に体の中から込み上げてきた異物感を、ボクは抵抗する間もなく吐き出した。ゴポ、と吐き出されたそれは、ボクの血だった。吐き出した途端に体調が良くなったことを考えると、体内に留めておくと悪い物だったのだろう。色合いからして、黒ずんでいたということもあった。
ちゅちゅちゅ、とボクの方を見て笑っているような紅色のリスに、ボクは何とも言えない感情を抱いた。
「これで大丈夫ね。うん、トランテは後で可愛がってあげるわ」
「……本当に、どういうつもりなの、ネミコ」
ボクの訝しむ視線を受けて、ネミコは一瞬考える素振りを見せた。
「だって、ゲームをするのにハンデがあるのは嫌じゃない。それも私じゃなく、ラマが不利な状況でやるゲームのどこが面白いのよ」
そんな気軽な、ネミコがボクの命を救った理由を答えた。呆気にとられるボクを見ながら、ネミコは何故そんな質問をしたのかと不思議そうな顔を見せた。
何を言わないボクを肯定したと受け取ったのか、ネミコは話を進めた。
「それじゃあゲームの説明を始めるわね。と言っても、やることは簡単よ。今からここに居る魔物たちが街の中を逃げ回るから、あなたはそれを追って捕まえればいいの。村でやっていた鬼ごっこみたいなものね。違うのは、鬼であるあなたに捕まったら、それで魔物が退場になることね」
そこで一旦言葉を区切ると、ネミコは小さく首を傾げた。
「これだけじゃ熱心さに欠けるかしら。……そうだ。ラマ、あなたが捕まえた魔物の数の分だけ、私が直接あなたの攻撃を受けることにするわ。そうすればゲームも白熱するでしょうし。うん、我ながらいい考えだわ」
自画自賛するネミコに、ボクは無駄だろうと思いつつも訊ねなくてはならなかった。
「……ちなみに、ボクに拒否権はないんだよね?」
「しても構わないけど、そうなったら私はあなたを消滅させるわよ?それでもいいなら、拒否するといいわ」
実質一択だった。ネミコから、魔王から逃げられないのはわかっていたが、それでも一縷の望みに懸けたのだ。結果は予想通りでしかなかったが。
「それで、やるってことでいいのよね?」
ネミコの問いかけに、ボクは迷わず頷きを返した。
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