第三十九話
どうも、パオパオです。
最近、あまり書く時間が取れず、文量も減ってしまっています。
それと、中編ぐらい?の長さの小説を投稿したので、時間があればそちらも読んでみてください。
そっちはこれと違って、ファンタジーというわけではないですが。
――勇者とは、返り討つ者である――
進む足取りは重かった。ネビアさんの体が衰えてしまったこともあるが、何より空気が気まずかった。無言でただ歩いているだけでは、精神的に来るものがあった。
結局この日は、早めに休むことになった。久しぶりの運動と精神的な重圧で、疲れがかなり溜まってしまったからだった。太陽が沈んでいる間に夕食を終え、少し離れて眠った。
眠った時間が早かったせいか、ボクは夜更けに目を覚ましてしまった。ここ最近寝て過ごした日が続いたためか、体は睡眠を欲していなかった。少し周りでも歩こうかと思い、剣を背負ってその場から離れた。
静寂に包まれた自然の中で、ボクは目を閉じて大きく息を吸った。木々の濃い匂いや、近くにある水場からの涼しげな風が体を撫でた。
どれくらいそうしていただろうか。体に眠気が溜まってきた頃、茂みを揺らす音が耳に届いた。夜行性の獣かと警戒するボクは、すぐにその考えを打ち消した。人の声が聞こえたのだ。
山賊か何かか?そう考えて息を潜めるボクに、彼らは気付いていなかった。彼ら死角になる位置で様子を窺っていると、小声の相談が聞き取れた。
「……やーっと見つけたよ。こんな近くにいるとは思わなかった」
「……そうだよな。旅人だって言うからもっと進んでるものかと思ってたよ、俺」
「……あまりゴチャゴチャと騒がないでくださいね。はじめから先生の言う通りにしておけば、こんなに手間取らずには済んだはずです」
「……あー、すまなかったな。いや、先生がすげぇのはわかってたつもりだったが、まさかここまでとは思ってなかったんだ」
「……いえ、こちらもすみません。結局、私もあなたたちの意見に強く否定しませんでしたから。まあ、反省はあのガキと女を殺した後にしましょう。時間の無駄は出来るだけ減らすべきです」
「……了解、了解。いや、楽な仕事だよな。眠っている相手を殺すだけなんざ」
「……ああ、まったくだよ。こんな仕事ばっかならいいのにねぇ」
「……二人とも、行きますよ」
三つの人影は、次々に武器を抜いていった。月の光を反射して、鈍く輝く三本の長剣。その相手は、どうやらボクらのようだった。
しかし、解せなかった。彼らはボクらのことを狙っているようなのだ。仕事ということは、誰かがボクらを殺すように仕向けたのだろう。ということは、ボクが倒した連中の生き残りだろうか?
考えるのは後にして、ボクは臨戦態勢をとった。三人はネビアさんが眠る場所に近付いていっていた。放っておけば、寝ているネビアさんは殺されただろう。折角助けたのに、そんなことは許せなかった。
足下に気を付けながら、ボクは三人に近寄っていった。相手はこちらに気付いている様子はなかった。三人の意識は、どう見てもネビアさんのいる方に向けられていたからだった。
三人の内の一人が、ネビアさんを注視して何かに気が付いた瞬間、ボクは剣を抜き、三人をまとめて斬り払った。発動させた魔法により、剣は炎をまといながら三人の体をたやすく両断した。
三人が上げた絶叫で、ネビアさんは飛び起きた。燃えている剣を持っているボクと、三つの死体を確認すると、何事もなかったかのように再び横になった。
信頼されている、と受け取っていいのだろうか。わからないまま、ボクも眠るためにその場を離れた。
読んでくれてありがとうございました。
意見、感想、評価などをもらえると嬉しいです。、