第一話
どうも、パオパオというものです。
遅筆のため、あまり頻繁には更新できないと思います。
このサイトではよく不遇な勇者を見るせいか、「あれ、勇者の扱いひどくね?」とか思って、「よし、自分がカッコいい勇者を書こう!」とか考えて書きました。
書きましたが、どうしてこうなったんでしょうか……?
――勇者とは、孤独な存在である――
ボクの十歳の誕生日。それが全ての始まりの日だった。
村を治めるパドローネ一族の末裔、その長男に当たるのがボク、ラマ・ロンポ・パドローネ。ボクはいずれ村の統治者となるべく、様々な教育を受けていた。
それは文字の読み書きだったり、数字を使った計算だったり、体の鍛錬だったりと多岐に渡っていた。けれど、できるようになることが多くなっていくのが実感できて、それなりに楽しくはあった。
でも、辛いこともあった。それは、友達がほとんどできなかったこと。村に同年代の子供が少なかったのは確かだけど、居なかったわけじゃない。人口七十人程の村人の内、ボクを含めて子供は六人。日々の教育のため、ボクは他の子供と遊ぶ時間があまりなかった。
だからこそ、偶にある自由な時間は彼らと一緒に居ようとした。けれど、段々と彼らと僕との間に、目に見えない壁のようなものが出来ていく気がした。
おそらく、ボクの付き合い方が気に食わなかったのだろうと今なら思う。他の子供と違ってただ一人だけ教育を受けていたボクは、無意識のうちに他の子供の癇に障ることをしていたのだろう。そのことに気付かないまま、いつしかボクは彼らとの間に堅固な壁を作り上げてしまっていた。
それでもたった一人、ずっとボクの友人であった存在が居た。ネミコ・ムロ・ディストルジオンという名前の、ボクよりも一つ年下の少女だ。
ネミコは彼らよりもボクと仲が良かった。鍛錬の日には一緒に体を鍛えたし、最初の内だけは勉強も一緒にしていた。(一ヶ月も経った頃、ネミコはよく頭から煙を出していた。彼女は勉強が得意じゃないらしかった)
時にはネミコに連れ出されて野草を採取し、またある時には実践訓練と称して一角鹿を狩ったりした。勉強や鍛錬の合間にある彼女とのそんな時間は、確実にボクを癒していた。そんな日々がずっと続くことを、根拠もなしに夢想していた。
そうして迎えた、ボクの十歳の誕生日。ボクの人生は、間違いなくこの日に変わった。いや、変わらざるを得なかった。
その日の明け方、ボクは夢の中にいた。何故かはわからないけど、ボクは自分が夢の中に居ることをはっきりと自覚していた。
ボクの目の前には人がいた。見覚えがないのに、どこか懐かしさを覚える、そんな不思議な感じがする人だった。その人はボクを見て、こう言った。
―――――勇者よ、と。
読んでくれてありがとうございます。
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