空気イスでお茶会に参加して、婚約者をギャフンと言わせたい
関係ないですが、マッチョプラスが面白いです
婚約者は、初対面の時に
「こんなのが婚約者か」
と言った。
それは、こっちのセリフだわ。
ひょろひょろで、なよなよの身体。
ちっとも好みじゃない。
政略結婚だから、仕方なく婚約しただけ。
婚約者との交流のお茶会で、私は空気イスをした。
実は、私は転生者で、筋トレオタクだったのだ。
家でも筋トレ三昧。
両親は、最初は小言を言っていたけど、もう諦めて何も言わない。
筋トレしたら、所作もダンスもキレキレになったからだ。
お茶会が終わると、普通に立ち上がり、礼をする。
勿論イスは無い。
婚約者は、私とイスがあるはずの場所を何度も交互に見た。
2度見じゃない。5度見くらいした。
ウケる。
「それでは、ご機嫌よう」
ついドヤ顔してしまったのは、仕方ない。
次のお茶会でも、私は空気イスをした。
婚約者は、私に負けじと空気イスをしたが、すぐに音を上げた。
だが、私に負けたくないと、毎回できる限り空気イスをしようとする。そして、すぐに音を上げて、悔しそうにイスに座る。
その根性は認めてあげよう。
普段から練習していたのか、段々、長く空気イスができるようになってきた。
「今日は、いつもより長くできましたね」
私が微笑むと
「そ…そうかよ…」
と、そっぽを向いた。
耳が赤くなっている。
その負けず嫌いなところ、結構好きよ。
でも、負ける訳にはいかない。返り討ちにしてあげるわ。
必ずギャフンと言わせてやるんだから。
何なんだこいつは?
同じ伯爵家、取引もお互い様。
俺の方が偉いんだと思わせたいのに、何も無い。
顔合わせの時、何故か婚約者は、イスに座ってる振りをして、イスに座ってなかった。
最初に見た時は、5度見した。
次のお茶会の時に真似をしてみたが、すぐに音を上げた。
…くそぅ…負けるか。
勉強と剣術の訓練の合間にイスに座ってる振りも練習した。
あとは、学問で差をつけてやる。それから、剣術。
ところが、婚約者は何故か剣術を習っていて、実力を見てやろうとしたら、ボロ負けした。
…油断したんだ。俺が負けるはずない。
剣術の訓練も増やした。
ある日
「今日は、いつもより長くできましたね」
と婚約者に笑顔で言われた。バカにされたのかと思って
「そ…そうかよ…」
と、そっぽを向いた。
ジワジワと喜びが湧いてくる。
俺は、婚約者に褒められて、嬉しかったのか?
学園に入れば、婚約者が成績1位。
俺は10位だった。
…この俺が負けるだと?
婚約者が負けて悔しがる顔が見たい。
世間の婚約者同士は、勉強会なるものをしているらしい。
婚約者が誘ってきた。
俺は、剣術の訓練も勉強も、手を抜かなかったが、婚約者には負ける。
悔しいから、次こそはと勉強も鍛錬もするものの、中々成果が出た気がしない。
仕方なく、婚約者との勉強会を受け入れた。
図書室で、お互いの邸で、2人で勉強した。
聞けば、婚約者は、立って読書するらしい。
時々、イスに座る振り…空気イスというらしい…をしながら読書する。
なるほど…鍛えながら読書とは考えたものだ。
俺も、邸で読書する時は立って、あるいは空気イスでした。
次の成績は、婚約者が1位、俺は5位だった。
婚約者が、成績2位の男に声を掛けられている。
…何か…婚約者の背がいつもより高い気が…する…そんな事あるわけないよな…?
「俺の婚約者に何か?」
俺は2人に声を掛けた。
「あら」
婚約者が俺の方を見た。
「どんな勉強をしているか、聞かれていましたの」
「確かに君は成績1位だが、婚約者のいる令嬢に声を掛けるのは、どうかと思うが?」
相手は侯爵令息だから、失礼にならないように気を使う。
「別に特別な勉強方法は無いと言いましたのに、諦めていただけなくて」
「成績5位の男より、2位の私の方が良いだろう?」
男が言った。
「仕方ないから、つま先立ちをして足を鍛えていましたの」
つま先立ち…だから…
「だからいつもより背が高かったのか?」
俺の呟きに
「あら、よくお分かりで」
婚約者が、ふふふ…と笑った。
「せっかくだから、座って話さないか?」
男が言うと
「そうですわね」
婚約者は、その場で空気イスをした。
俺も空気イスをした。
「どうしました?座らないのですか?」
俺は煽ってみた。
俺の婚約者に声を掛けたんだ。嫌味くらい言っても良いだろう。
男は、婚約者と俺の交互に見た。
イスは無い。のに座っている。
男が座る振りをする。
すぐに音を上げた。
「何なんだお前達は!」
男は逃げ出した。
俺と婚約者は顔を見合わせた。
「優雅に座っているのに」
俺が言うと
「随分長くできるようになりましたね」
婚約者が言った。
「お前に負けたくないからな」
「勝った事も無いのに?」
「いつか必ず勝つ!」
「必ずギャフンと言わせてみせますわ」
何だかんだで、俺達は上手くいっているのかもしれない。
この後、ちょうど通りががった生徒達に2度見された。
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