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ちょっと興味がある

周防は、それから新規開拓に励んでいる。担当している福岡の会社は実に心が広く、こう言っては失礼だが、あんな周防でも怒ることなく対応してくれている。彼女とすれば、そことの関係を堅持しつつ、新しい取引先を一社でも二社でも開拓せねばならないのだが、残念ながらその成果はまだ、出ていない。


そんな中、俺は東京に三日間の研修に行くことになった。会社が実施している管理職向けの研修で、年に数回実施されている。今回はちょっと心理学的な要素を含んだ、部下との関係の築き方というのが主題だ。てっきり専門用語が飛び交う難しい研修を想像していたのだが、そんなことは全くなく、割合楽しく、学びの多い時間となった。


最終日は皆で集まって飲み会というのがお決まりのパターンだ。メンバーは同期もいれば、かなり若い者もいる。最年少は三十二歳の佐野という男で、コイツは京都大学を出た俊英で、相当に仕事のできる男だ。ただ、コイツは実にいい奴で、自分の大学を鼻にかけることもなく、謙虚さもある。この年で課長に抜擢されたのも納得の人物だ。


どこをどうしたものか、その彼と俺は同じテーブルになった。他には俺の同期と後輩がいて、なぜか周防のことが話題になった。


東大卒の俊英がじつはポンコツ、というのは全社的に広がっているらしく、そんな女子をよく我慢して使っているなというのが、全体的な評価なのだという。まあ、池端、よく頑張っているよね、と全社的に思われているので、俺としては喜ぶべきなのだろうが、直属の部下を悪く言われるのは、あまり気持ちのいいものではない。


「まあ、彼女も彼女なりに頑張っているんですけれどね」


そうフォローしつつ、今は新規獲得に向けて頑張っていると言うと、それまで大人しくしていた佐野が口を開いた。


「へぇ~どんな女性ですか。ちょっと興味がありますね」


「まあ、悪いコではないよ」


まさか、常にウンコをしているとは言えないし、たまにタメ口になるとも言えないので、苦し紛れに言ったのだが、佐野はそれを額面通りに受け取ったらしい。


「へぇ~だったらいいじゃないですか。そのコの写真か何か、あります?」


「あーないなぁ」


「機会があれば、写真、見せてください」


「本人に言ってみるけれど、どうだろうなぁ。きっとイヤがるんじゃないかな」


「そうですね」


会話はそこで終わった。ホテルに帰る道すがら俺は、周防に彼のことを話してみてもいいかもしれないと考えていた……。



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