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ネクロマンサーよしえ ― 偽りの仮面 ―

作者: 茶電子素
掲載日:2025/09/01

よしえ、43歳。専業主婦。二児の母。

その日の朝も、よしえは完璧だった。

夫にはアイロンを効かせたシャツ。子どもには栄養満点のお弁当。

玄関先で「いってらっしゃい」と笑顔を振りまけば、ご近所の憧れの的。


――誰もが信じて疑わない。よしえは理想の主婦だ!と。


だが玄関が閉まり、家族の気配が途絶えたその瞬間、

玄関ドアのカギ二つ両方をロック、全てのカーテンを閉じ、

果ては“冥府結界”を展開。外界を遮断するのが日課だ。


「顕現せよ、我が眷属たち!」


床下からガラガラと音が響き、死人しびとたちが這い出てくる。

ゾンビは掃除機を抱え、ミイラは洗濯物を干し、

スケルトンは冷蔵庫の中の食材を吟味する。


「闇の落とし子どもよ、あとは任せる」


よしえは布団に鎮座すると究極魔法を発動させる。


「禁呪!!食う、寝る、太らない――!!!」


こうして家事は死人に任せ、よしえはグータラ三昧の毎日を満喫していた。

暗黒死霊魔術のリミットは14時。時間は、まだまだある……


――その油断が悲劇を呼ぶ!


娘が学校を早退し、11時半に帰宅したのだ。

ガチャリとドアを開け、結界を無効化して入ってくる。


(なっ……!? どうして結界が効かぬっ!?)


そう、よしえの血を受け継ぐ子どもたちは、

無意識にネクロマンサーの術を無効化できたのだ!

死人たちが跳梁跋扈するリビング。

慌てて死霊退去の術を唱えるが、はたして間に合うのか――?


「ただいま……」


――なんとか間に合った!

心拍数は爆上がりではあるが、

ツラの皮の厚さに定評のあるよしえは、こともなげに言う。


「あら、どうしたの早かったわね――」


その夜。


『今日は全然スローライフ出来なかったわ……でも、こういうのもたまには悪くないわね』


午後から”偽りの仮面”を、かぶり続けたよしえは謎の充足感を味わいつつも

ネクロマンサー同士(娘)でも解くことのできない

『さらなる高みへ至るための』[注 1]

結界の開発を急ごうと、心に固く誓うのであった――。




注釈

1.^さらに安心してグータラするための。

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