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それから➁

「ああ、やっぱりみたらし団子はおいしいですねぇ」



 おやつの時間に響いたのは、コンの明るい声。

 ギンは大人しい性格で、私もコンとギンが神使になるまではあまり口数が多い方ではなかった。

 そんな私たち三人の中でムードメーカーなのは食いしん坊のコンで、いつも笑いの中心にはコンがいる。



 主を失ってひとりぼっちになったあの頃、こんな日々を送ることになろうとは想像もできなかった。

 穏やかで、優しくて、温かい時間。



「コンはなんでもおいしいと言うであろう」


「もちろんでございます。雨天様がお作りになられる甘味もご飯も、どれも本当においしいですから」


「今朝の味噌汁はどうであった?」



 私の問いに、コンがみたらし団子を持ったまま眉を小さく寄せる。

 不本意そうではあるが、程なくして口を開いた。



「……大変おいしゅうございました」



 コンは、今朝の味噌汁を作ったのがギンだとわかっていたのだろう。

 最近は私とギンが作った味噌汁の違いがわかるようになったらしく、ギンを褒めるのが悔しいとでも言いたげな感情が見え隠れしている。

 兄としてギンの料理の腕前が上達していくのは嬉しいが、ギンばかり褒められるのが悔しい……といったところだろうか。



「それはよかった。なぁ、ギン」


「はい。とても嬉しいです」



 にこにこと笑うギンを見たコンが、喜びと嫉妬を同居させたような顔で両手に持ったみたらし団子を頬張る。



 普段、料理以外の家事やおつかいは、ほとんどコンが担っている。

 私とギンがふたりで台所にいる時間がとても長いため、三人でいてもコンだけ疎外感を抱くこともあるだろう。

 そんなことがないように気をつけているつもりだが、この顔を見るにヤキモチが隠せないようだった。



「だが、その味噌汁を作るために必要なカツオや昆布、煮干しは、コンがおつかいに行ってくれるおかげで手に入る。みたらし団子のタレに必要な醤油はもちろん、隠し味の黒糖や水あめはコンが猪俣様のところでいただいてきたものだ」



 私の言葉に、コンの顔がみるみるうちに綻んでいく。



「いつもありがとう、コン。コンとギンがいてくれて、私はとても助かっているよ」



 満面の笑みになったコンは、頬張っていたみたらし団子を飲み込んで得意げに胸を張った。



「とんでもございません。コンもギンも雨天様の神使にございますから、雨天様のお役に立てることほど光栄なことはございません。家事もおつかいもコンの大切なお役目ですから、これからもなんなりとお申し付けください」



 現金なコンの顔は、おかしくなるほど誇らしげだった。

 しかし、コンのこういうところが屋敷を明るく照らしてくれる。



 コンとギン。

 双子といえども、ふたりそれぞれにまったく違った魅力があり、ふたりとも私にとっては可愛い。

 唯一無二の、大切な神使なのだ。



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