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第95話 ネガティブ勇者、迎えに行く



 ナイを救い出すための準備を始めた。

 一か八かの賭け。皆の顔が自然と引き締まる。


「いいか。俺が今から霊脈をこの場に繋ぐ。レインズ、お前が門を開け」

「門?」

「そうだ。まぁ、分かりやすい言葉でそう言ってるだけだが……お前の光の魔法で入口を開けるんだ。んで、そこからアインが入る」

「はい」

「ただ、入口を開けていられる時間はレインズの魔力と体力次第だ。霊力は魔力を搔き消す。普通の魔法より消耗は激しい。レインズの魔力が尽きたら、終わり。それまでに戻って来れなかったらお前もガキも帰って来れない」

「も、もう一度入口を開けばいいんじゃないか……?」

「そんな簡単なことじゃない。俺もお前も魔力と体力を消耗するんだぞ。回復するの待ってたらまたコイツらは闇の奥深くに潜ってしまうかもしれない。連絡も取れないから開けっ放しにしておく必要もあるしな」

「……そうか。分かった」


 レインズが頷き、心を落ち着ける。

 邪魔したくはなかったが、アインは心配になって声をかけた。


「レインズ様……大丈夫ですか?」

「問題ない。大変なのは実際に闇の中に潜るお前なんだから」

「……言い出した俺がこんなことを言うのも馬鹿みたいなのですが……アイツには、レインズ様が会いに行った方が良かったのでは……」

「…………それは、本気で言ってるのか?」

「え?」

「ナイが一番心を許していたのが誰なのか、分からないとは言わせないぞ」


 レインズの言葉に、アインは肩をビクッと震わせた。

 真っ直ぐ、自分の目を見つめる主人の瞳。

 言葉にしなくても分かる。レインズは、自分の想いに区切りをつけているのだろう。


 アインは目を閉じ、自身の胸に手を置いた。


「……はい。俺は、いや俺がアイツを救いに行きたい。アイツの手を引き上げるのは、俺でありたい」

「ああ。ナイもきっと、お前が来るのを待っているよ。だから、そのための道を私が作る」


 レインズは魔法陣を展開し、光の剣を出現させた。


 この剣は、間違いなく闇を切り裂く光。

 どんな暗闇だって、切り開いてみせる。

 大切な者へと繋ぐ道だって、作ってみせる。


「ナイを。この世界の呪いを晴らさなければ、本当の希望は訪れない。ナイが救われなければ、魔王が消えたことにはならない」


 レインズは剣を構えた。

 覚悟が出来たのを確認したリオは、いつもの笑みを浮かべて地面に拳を突き落とした。


「行くぞ!」


 その瞬間、リオを中心に地面に黒いモヤが広がった。

 魔王が放っていたものと同じ。

 この黒いモヤの中に、ナイがいる。


「宝剣よ。勇者の元へ案内してくれ……!」


 レインズはそのモヤに剣を突き刺した。

 剣の放つ光に応えるように、その中心が渦を巻く。


「今だ、行け!」


 リオの掛け声に、アインは頷いて渦の中に飛び込んだ。

 深い、深い闇の中に。


 愛しき少年を見つけるために。




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