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第92話 ネガティブ勇者、救出大作戦



 ひとまず誰かに連絡の取れる場所に行こうと移動しようとした二人だったが、遠くの空から見覚えのある巨大な生物が見えた。


「あれは……ポルネイド?」

「え、じゃあテオ様が乗られてるんですか?」


 これから会いに行こうと思っていた相手が空からやってきた。

 レインズ達を見つけたテオは、こちらへ笑顔で手を振っていたが、ナイの姿が見えないことに気付いて表情を変えた。



 ドラゴンから降りてきたのはテオだけでなく、リオも一緒だった。

 どうやら彼もナイたちを心配していたようで、豪雪地帯の手前でずっと戦いが終わるのを待っていたそうだ。


「黒い吹雪が消えたってことは魔王を倒したんでしょ? ねぇ、ナイはどうしたの? 一緒じゃないの!?」


 テオはレインズの腕を掴み、当然の疑問をぶつけた。


 レインズは全てを話した。ここで起きたこと。勇者と魔王のこと。ダナンエディアの過去のこと。

 語り継がれなかった歴史を知り、テオは青ざめた。

 知らずに済んだ方が良かったのかもしれない。だがこれは真実だ。


「語られなかった理由……もしかしたら、先代もこの呪いを断つために何かしたかったのね」

「じゃあ、わざと魔王のことを教えなかったってのか。ま、無理もねーな」

「とにかく、いまはナイを見つけないと。彼が魔王として目覚める前に助けたいんです」

「そう。そうよね、ナイは……いいえ、異世界の少年達はこの世界の都合に巻き込まれただけなんだもんね……せっかくツラくて苦しい場所から救われたのに、こんなのってあんまりよ」


 テオはその場で足をバタバタさせた。

 怒りたくもなる。魔王となった少年の恨みは当然のことだ。


 いっそ、本当に世界が滅んでもいいと思ってしまうほどに。


「だから、私はナイを救って呪いを終わらせたいんです。だからテオ様に協力をお願いしようと思っていたんです」

「私に? うん、いいわ。ナイを助けられるなら何だってする!」

「俺も手伝うぜ。この世界のためだしな」

「ありがとうございます。それで、ナイの居場所なんですけど……」

「それなら、俺に任せてほしい」


 リオがいつもの自信に満ちた顔でそう言った。

 この状況でも彼の変わらぬ自信はとても頼もしい。


「どうするんだ。リオ。私に出来ることがあれば言ってくれ」

「おう。いいね、そのノリ。そんじゃ、親友のために一肌脱いでやろう」


 リオは意気揚々と城の中へと入っていった。

 何をするつもりなのか分からないが、気分良くしてる彼の後ろを付いていった。


「つまり、あのガキに取り憑いてるのは過去の亡霊。相手が霊なら俺様の出番ってことだろ?」


 長い廊下を歩きながら、リオはパチンと指を鳴らした。

 リオはナイに憑いていた黒い影のことも見えていた。あれは歴代の勇者たち、同じ境遇の少年達の魂だったのだろう。

 確かにそれが見えていたリオなら、ナイの居場所も分かるかもしれない。


「さっすがリオ兄! 最高!」

「だろう? それにしても、アイツの影がこんな厄介なものだとは思いもしなかったな。なぁ、レインズ」

「……そうだな。私も過去のことを知って、驚いた。だが、後悔しても仕方ない。私達は真実を知ったのだから、それを変えなくてはいけない」

「さすが無駄に真面目な王子様だ。俺も同意見。あんな不気味な影、このままにしておくわけにはいかない。あのガキのためにも、この世界の平和のために犠牲にされた彼らのためにも」


 リオは廊下の奥にある扉を開けた。


 今は何もない。誰もいない、王の間。


「引きずり出すぞ、我らが勇者様を」




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