表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】超絶ネガティブな僕が異世界で勇者召喚されました。【全年齢版】  作者: のがみさんちのはろさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/100

第88話 ネガティブ勇者、昔話を聞く



 何を言ってるのか理解出来なかった。

 ナイは黒い影に縛られたまま、抵抗するのを止めた。


 元勇者。確かに彼はそう言った。

 そして、その言葉に納得しそうな自分もいた。


 だって、彼はあまりにもナイと似すぎている。


「驚かせちゃった? でも、ネタバラシでオシマイってわけじゃないよ」


 魔王の体から溢れ出した黒いモヤがナイの全身を包み込む。

 ナイを中心に渦巻き、誰も寄せつけないように大きく大きく膨れ上がっていく。

 もう指一本動かせない。何も出来ない。

 モヤの向こうで、アインとレインズがナイを助けようとしているのだけが見える。


「無駄だよ。君は、救われない。これは呪いなんだ」


 幼い声が聞こえてくる。

 なんの事だ。そう言いたいのに、口も動かない。


 まるで、あの時の夢のようだとナイは思った。

 ただ怖いだけの夢。何も出来ず、話せず、心の中で助けを求めることしか出来なかった。

 でも今は、夢じゃない。レインズもアインも助けには来れない。


 いまなら分かる。あの夢は、彼が、魔王が見せた夢だったのだと。


「僕の声が聞こえるでしょう? 君の勇者としての役目は終わった。いまから君が、次の魔王になるんだよ」


 彼の言葉に、ナイだけでなくレインズ達も動きを止めた。

 どういうことだ。そう言いたいのに、言葉が出てこない。


「言っただろ? これは呪いなんだって」


 少年の体が全て、黒いモヤへと変わった。

 彼は消えたが、声だけは聞こえる。


 そして、まるで絵本を読むように話をし始めた。




 昔々、何千年も前のこと。まだ勇者も魔王も存在しなかった頃のお話。

 それは偶然なのか、必然なのか。とある国の魔法の才能に恵まれた王子様は召喚魔法を編み出してしまった。

 呼び出されたのは普通の少年。地球という星の、日本という国に生まれた、ただの男の子。

 ずっと一人ぼっちだった王子様は友達が欲しかった。その願いから召喚された男の子は、この世界に来る際に精霊から魔法の力を与えられた。

 この世界は魔力がなければ生きていけない。そのための力。


 だが、魔法なんてものがない世界から来た少年にはとても使いこなせるようなものではなかった。

 強すぎる力が暴走し、あろうことか王子様に大怪我を負わせてしまった。


 わざとではない。だが、そんな子供の言葉を聞き入れる大人はいなかった。

 強すぎる力。おぞましい程、深い闇の力。

 それはこの世界にない力だった。

 皆は恐れた。この力はきっとこの世に災いをもたらすと。


 男の子は、豪雪地帯の奥に作られた牢獄へと閉じ込められた。

 一瞬で全身が凍りそうなほど寒くて、身体中が痛い。

 本来ならその場で処罰されるはずだったが、男の子の強すぎる防御力のせいでどんな拷問も効かなかった。だから閉じ込めるしかなかった。


 冷たくて暗い牢獄の中で、男の子は思った。

 勝手に呼び出され、勝手に与えられた力を与えたのは向こうなの、何故こんな目に遭うのだろう。


 男の子の闇の力は、彼の元の世界での暮らしに影響したものだった。

 親の不仲。学校でのイジメ。そんな彼の思いが、闇という力に変わった。


 そして、異世界でも同じ仕打ち。

 どうしてこんなことになる。

 どこに行っても、自由はないのだろうか。生まれてきたことが、そもそも間違いだったのだろうか。


 そんな彼の深い闇は長い年月をかけて、呪いへと変わった。


 こんな世界、無くしてしまおう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ