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第81話 ネガティブ勇者、国王へ報告する



 それはまさに、闇を切り裂く光の剣。

 レインズの姿は剣に変わり、輝きを放っている。


「レ、レイが……剣になっちゃった……」

《ナイ。これは……》

「喋れるの?」

《喋る、と言っていいのか分かりませんが、この姿でも私の意思はあるようです》


 レインズの声が頭の中に響いてる。

 意思のある剣、とでも言えばいいのか。レインズが発動すればその状態でも魔法を放つことは出来るようだ。


「凄いわねぇ……でも、これで魔王城へ行くことが出来そうね」

「えぇ。つまり勇者は、自身の闇の魔法。そしてレインズ様の……宝剣の光の魔法、二つの力を使うことができるんですね」

「そうね。これは頼もしいわ」


 魔王に立ち向かうために必要だった宝剣を手にすることが出来た。


 つまり、もう準備が整ったということ。

 ついに、敵の本拠地へと向かう時が来てしまった。

 ナイの背中がぞくっと震えた。この時のために自分はこの世界に呼ばれた。その役目を果たさなければならない。怖がっている場合ではない。


「……そういえば、レイは元の姿に戻れないの?」

《ああ……このままでは不便ですよね。えっと、戻る……戻る……》


 レインズが呟くようにそう言うと、剣が光を放って人の姿へと戻った。

 どうやらレインズの意思で元に戻ることが可能なようだ。


「良かった。さすがにあの姿のまま父の元に行くのはどうかと思ったので」

「そっか……お、王様にお話、しに行かないと、だよね」

「ええ。しかし、さすがに緊張しますね……」

「国王も知らないことだろうからね。一応私も付いていくわ」

「ありがとうございます」


 テオを連れ、ナイたちは城へと戻ることにした。

 空飛ぶ絨毯に初めて乗ったテオは終始大はしゃぎで、レインズはずっと表情を強張らせたままだった。



―――

――


 城に戻り、レインズは真っ直ぐ王の間へと向かった。

 ナイが初めて会った時のように王は玉座に腰を下ろし、鋭い眼光をこちらに向けている。


「勇者ナイ。そなたのことはレインズの報告で聞いている。我が国、いやこの世界のために動いてくれていること、礼を言う」

「い、いえ……」

「して、レインズ。勇者と賢者殿まで連れて何用だ?」


 王の問いかけに、レインズはいつになく緊張した表情で一歩前に出た。


「父上。勇者の宝剣が見つかったことを報告しに来ました」

「本当か! では、ついに魔王城へ……」

「はい。それで、今回はその魔王城に私もお供することになりました」

「何!?」

「勇者の宝剣。それが、私だからです」


 レインズの言葉に、国王は目を大きく見開いた。

 それからデルゼッド火山で何があったのか、先ほどまでテオと話していたこと全てを説明した。


 話を聞いた国王は、言葉を失ってしまった。

 まさか自分の息子が宝剣であったなんて驚くなっていう方が無理なこと。

 今後のダナンエディア国を背負っていく王子に何かあったら。大事な息子の身にもしものことがあったら。王として父として、魔王城だなんて生きて帰れるかどうかも分からない場所に息子を行かせるなんてしたくはない。

 だが、ここで首を縦に振らなければ、その先の未来だってなくなるかもしれない。


「……とても信じがたいが、認めるしかないのだろうな。我が息子、レインズ。光を抱いて生まれてきた子よ……」

「はい」

「勇者と共に、この世界を希望に導いておくれ」

「はい、父上。必ず、ナイと共に魔王を倒してみせます」


 その言葉に、国王は少しだけ泣きそうな瞳で微笑んだ。


 その表情は、ナイが一度も見ることのなかった父親の顔だった。




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