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第57話 ネガティブ勇者、仲間を増やす



 ナイが呆然としていると、リオは「ガハハ!」と大口を開けて笑って彼の背中をバシバシ叩いた。


「とにかく今日はもう時間もないし、もう一回寝ろ! ああ、先に飯か!」

「あ、え、あの……はい」


 嫌いではないが、少し苦手かもしれないとナイは心の中で思った。



―――

――


「え、テオとリオ、さんは兄弟、じゃ、ないの?」

「ええ。私とリオ兄は血縁でも何でもないわ。昔、私はここでちょっと暮らしていたことがあったんだけど、その時に仲良くしてもらったってだけ」

「名前が似てるからってだけで兄弟扱いされてたんだよな。それでコイツも俺のこと兄って呼ぶようになったんだよ」


 二人の昔話に花が咲き、ナイは食後のお茶を頂きながらその話を聞いていた。

 テオがまだ賢者と呼ばれる前。前代の大賢者である祖父と共にこの地に訪れ、幼少時を過ごしていたと。

 その時に国務で訪問していた国王に同行していた王子であるレインズと仲良くなって三人で遊んでいたこと。


「もう何年も前だけどな。王子様も今はお忙しい身だしな」

「それはお互い様ですよ、族長様」


 そう言い合う二人は、気の合う親友同士といった雰囲気。レインズの表情もいつもと違い、年相応の青年の顔をしていた。


「勇者ナイは随分幼く見えるけど、今いくつなんだ?」

「僕は、14歳です」

「テオよりちょい上か。まだまだガキだな」

「そ、そうですね……義務教育中、でしたので……」

「なんだ、そのギムキョウイクって」

「えっと、僕の世界では中学生……えと、決まった年齢まで必ず教育を受けられる、というか……」

「はーん。それは良い国だな。この世界じゃそんな風に皆が当たり前のように勉学できる場所なんてあんまりないぜ?」


 感心するリオに、ナイは自身のいた国は恵まれていたんだなと思う。

 そうでなければ、きっとナイは学校に行かせてもらえてなかっただろう。実際に通わせてくれていたのは母方の祖父母だが。その辺には感謝しないといけない。


「異世界の話なんてそう何度も聞けるものじゃない。先代の勇者だって150年も前の人物だ。この出会いも奇跡といえよう」

「魔王さえ居なければ、もっと良かったのにね」

「ハハ、ハ……」

「まぁ、そんな出会いに感謝しつつ、助力を惜しまない。魔王を倒すため、我が勇者にどんな力でも貸してやろう」

「……あ、ありがとうございます」


 ナイは頭を下げた。

 リオの言葉に、自分は一人で戦いに行くわけではないのだと安心感を覚えた。

 最初はこの世界の人は魔王という脅威に脅え、異世界の勇者に全ての責任を丸投げしていると思っていたが、その考えを改めないといけない。


「そうだ。ナイ、テオから聞いたけどお前は魔法が好きなんだろ? あとでうちにある古文書見せてやるよ」

「ほ、本当ですか!」

「ああ。勇者様なら解読できるんじゃねーの?」


 リオからの申し出にナイは目を輝かせた。

 その顔はさっきまでの気弱な印象を変えるほど、生き生きとした表情をしていた。


 楽しげな顔をする彼の背後には、真っ黒な影が渦巻いている。

 リオはナイに悟られないようにいつも通り接する。あの影の存在を本人に知られるわけにはいかない。

 あれに飲まれたら、この世界の希望は潰える。

 そうでなくとも、妹分とさして年の変わらぬ少年が闇に落ちる所など見たくはない。


 子供を守るのは、年長者としての責任だ。




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