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第33話 ネガティブ勇者、武器を見る



 翌朝。ナイはいつものように朝早く目を覚まし、身支度を整える。

 そしてレインズたちが部屋に来るまで、魔法の練習と精神統一。昨日教わったことを復習して、魔物との戦いでちゃんと出来るようにしないといけない。

 心を乱したら魔法は使えない。覚えた魔法を正しく使えるように、落ち着いて行かないと。

 ナイは深く息を吐き、不安で早鐘を打つ鼓動を落ち着かせた。


「……ふぅ」


 精神統一を終え、ベッドの上から立ち上がると、部屋のドアがノックされた。まだ朝食には早いと思いながら「どうぞ」と声をかけると、アインがドアの隙間から顔を覗かせた。


「いつも早いな」

「お、おはよう……もう行くの?」

「いや、まだだ。レインズ様の支度も済んでない。先に武器庫に行こうと思って」

「え?」

「昨日話してただろ。イメージ固めるために武器庫行きたいって。魔法の話になってすっかり忘れてしまったが……」

「あ……」


 言い出したナイ自身も忘れていた。

 ナイの中の剣のイメージはテオの所で使っていた練習用の両刃剣とレインズやアインが魔法で出したものだけ。本で読んだ知識もあるが、ちゃんと目で見て触れてみないと強いイメージを抱けない。

 ナイはアインと共に武器庫のある地下へと行くことにした。



―――

――



 さすが城の武器保管庫。様々な武器が置かれ、ナイは少しビビってしまった。下手に触れたら怪我をしてしまいそうと思いながら、一つ一つを見て回る。

 剣だけでも色んな種類がある。短剣や長剣、大剣に刀。特殊な形状の刃を持った剣。他にも弓矢、槍など。ナイには名前も変わらないようなものが沢山あった。


「これだけあると、圧巻だね……」

「城の兵士や騎士たちが使うからな。それぞれに合ったスタイルの武器が求められる。いざという時に武器がなかったら戦えない」

「へぇ……」


 ナイは使い方も分からないような武器は見ず、剣だけに絞って調べていく。

 振りの早い短剣、リーチのある長剣。ビジュアルだけで選ぶなら日本刀も悪くないと少し楽しくなりながら剣を眺めていたが、肝心なことに気付く。

 宝剣はどの形状の武器なのだろう。それによって今使う武器も選んだ方がいいのだろうか。


「アイン……宝剣がどんなものか、分かる?」

「宝剣? いや、勇者に関する記述はあまり残っていないんだ」

「うーん……」

「とりあえず使いやすそうなものを手に取ってみたらどうだ。あとはお前のイメージで作り出せばいい」

「うん」


 ナイは短剣をいくつか手に取って振ってみる。それから長剣と刀。大剣は魔法で作れば重さも気にならないかもしれないが、振りが大きいと隙も出来る。だから今は選ばないでおこうと選択肢から外した。


「おはようございます。ナイ、アイン」

「レイ、おはよう」

「おはようございます、レインズ様」

「どうですか? 少しは参考になったでしょうか」

「うん。実物を見た方が、イメージしやすい、かな」


 一番手に馴染んだ気がするのは刀だった。ナイは鞘から抜いた刀を軽く振って、素直にカッコいいと思った。

 図書館でよく見てた漫画にも出てきたからだろうか。それとも単純に自分が日本人だからなのか。魔法でどう表現するか、頭の中でどんどんイメージが湧いてくる。


「そろそろ朝食にしましょうか。アイン」

「すぐ部屋にお持ちします」


 先に武器庫を出ていったアイン。その後を追うようにレインズも部屋を出ようとしたが、ナイはまだ刀をジッと見たままだった。


「気に入りました?」

「え、あ……えっと、僕の世界でも、刀があって……日本刀とも言われてるんだけど、綺麗だなって」

「確かに刀は美しく強いですね。確かこれも、かつての勇者様が作られたとか」

「刀は昔からあるものだからね。てゆうか、その人も日本人だったのかな……」

「確か刀にはそれぞれ名前があるそうですね。元々この世界に武器に名前を付ける習慣はないので、ここにある刀に個別の名はないのですが」

「あーそういえば、そうだった、かな。こ、虎徹? 菊一文字、とか、なんかそういうの」


 かつての偉人たちが使用していた刀剣には名前があったが、ナイはそこまで興味がなかったのであまり覚えてはいなかった。


 そろそろ時間も押してきたので、ナイ達は武器庫を後にして朝食を済ませる。

 食事中もナイはずっと刀のことを考えていた。魔法はイメージ。構成するのに必要な言葉を頭の中で組み上げていった。




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