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第三章。~僕は、パチンコ天才マン!!!!~

勝った直後は、何もかもがよく分からなかったが、時間をおけば、ある事実が見えてきた。

私はふいに、1万7千円という大金を手に入れたということだ。


ふいに手に入る額じゃない。

さて何に使うか、生活に必要な品でも……と冷静に戻ったはずの頭で考えていた、の、だが……。



どうしてだろう……?

パチで手に入れた金をふところに収めていることが、どうにも居住まい悪い。



なんだか……落ち着かない。

理由は分からないが、パチの金がふところにあるということ自体が、どうにも、そわそわとする……。


生活必需品代に当てて消えるような感覚ではない。

その金がふところに残っているという感覚自体が問題なのだ。



さて、ここで多くの人であれば二択を選ぶことになるだろう。


一つ。

あぶくぜにが消えたと思うときの方法なんて相場が決まってる、パーっと食事や遊びにでも、使っちまおうか!


そして一つ。

――――この金でパチすれば、また増やせんじゃねえ!!!?????


おとこは残念なことに後者だった。


ふところにあって収まり悪くとも、増えるとなれば人は諸手もろてを上げるもの。

そしておとこは、至極幸運なことに――一時期の天運を備えていたのだ。


おとこには考えがあった。

といっても大きなたくらみではない、実行しようというのは、ごく小規模な常識のことであった。




パチンコ店を選ぶのは、生身なまみの人間である。

そしてパチンコ店が客を呼び込まねば始まらない”営業”である以上、”必ず”一日に一定数の【大当たり】を実現させなければ商売やっていけない、つまり『大当たりが出やすい筐体』は必ず用意されているということだ。


そして。


前回のパチンコで、釘が形作る玉の道は見極めた。

今の私であれば、釘の配置で《出やすい筐体》を判別できる。

そこに『今、何回転であるのか』という情報を加味すれば、高確率で大当たりを引き当てることができる。




――――さて、これも残念なことに、おとこが持つ、筐体の釘を見極める『観察眼』は本物ホンモノであった。


それが最悪を加速させた――。


パチンコには【1円パチンコ】と【4円パチンコ】という種別がある。

その名の通り、【1円パチンコ】は1ひとたま1円、【4円パチンコ】は1ひとたま4円


【1円パチンコ】は安価で遊べる。おとこはまず【1円パチンコ】で観察の現実性を確かめようとした。



――出る。

出るわ、出るわ。

「ラッキー!」という声がずっと聴こえている。



もしかすれば、パチンコの筐体にはそれぞれに大当たりの出易でやすさが設定されているのかもしれない。

けれどそれはプレイヤーには分からない。

だからプレイヤーが信用できるのは、釘、ただその一点。――おとこはその時点ではそう信じていた。


実際として今現在、釘の配置が良く、導線が綺麗に引かれ、抽選穴スタートポケットに玉が入りやすい構造の筐体はそりゃあ、他よりはよく大当たりが出る。


【1円パチンコ】のコーナーには爺婆ジジババさんがいっぱいに詰まっているのだが、大当たりを引きまくる私に爺婆ジジババさんはものすごい視線を向けていたし、筐体を変えてまた大当たりを出す私を、筐体叩いていた婆様ばあさまはものすごい目で見てきていた。



偶然じゃない。

いける。



さて、やるのは――今回も【リゼロ2】。


前回やったからという理由だけではない。

これは……?と思われる筐体を発見していたからだ。


その筐体は現在、【回転数】770。

770回転、当たりの音沙汰ナシという意味。たぶん。

悪くない。

ちなみに、パチンコは完全確率・独立抽選、過去の抽選結果にはまったく影響を受けないとされています。回転率は関係ないとか、なんとか。

ともかく、釘は悪くない。

やるか。


経費として見なさない金を筐体に差し込むのには、たとえ1000円札でも大変な勇気を必要としたが――。



――回るわ、回るわ。



スゴイ回転数! 500円で10回転以上する……!!


そして――それは起こった。




()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()w()w()w()w()w()




耳をつんざく大当たりの音である。


……2000円で来たのは出来過ぎだな。


んで【スペシャルタイム(ST)】突入判定のターン。





「アル・シャマク」





余裕すぎなんですけどwwwwwwwwwwww


ST突入!!

……なんだけど、今回は、連チャン(【継続】がどれだけ続いたか)1回か。


3000玉!

1万2千円!!


収支+10,000円!

十分、十分……!!



そして私は、とっても気を良くした。


アレ、もしかしてだけど……?


私って――パチンコ上手うまいマン???



だがまあ、ちゃんと狙って取れたのはまだ一回きりである。

しかし、このあと。

二連続で『とんでもない状況』に出逢うことで、その鼻は天狗のように伸びて、有頂天うちょうてんになってしまったのだ。





おとこはまだ知らないでいた。

それらの結果が、”ただの運”であったことに。

そして、じわりと足元に広がり始めた、”闇”に。


  

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