第31話 レフとコラン
カーラ 公爵令嬢 銀髪に翠の瞳
レフ 転生者 琥珀狐 カーラの相棒
コラン カーラの想い人(両想い) 王子 金髪碧眼
ロナルド(ロニー) カーラの兄
シーミオ カーラの母
ロイル カーラの父
ジャスミン 町の料理店の店主
ケイト 転移者 ジャスミンの店の店員
プラシノ 風の精霊
「……フ、ーーーーレフ!」
気を失っていた、らしい。
目を開けたら、コランが心配そうに覗き込んでいた。近い。
「よかった、目が覚めたね。大丈夫?」
「げ、コラン」
反射的に、肉球でコランの頬を押しのけてしまった。
「ひどいな。これでも心配したんだよ?」
しまった、手も出たし口にも出ていたーー。レフは慌てて、右足を振って弁解した。
「ごめんごめん、そうじゃなくってーー。悪く思わないでね。コランのオーラっていうの? 嫌なわけじゃないんだけど、何か苦手というか、時々、近づくと体がピリッとするんだよ」
「ああ、なるほど。それは、僕のせいだね」
納得したように、頷く。
レフはどういう意味かと聞こうとして、もっと大事な事に気がつく。
「カーラは?」
見当たらない。
どこにも。
カーラ以外の人間も。
あたりをじっくり見渡す。
ごつごつした岩に囲まれた洞窟のようで、しかし、壁は薄く光っている。
どうやら、誰かの魔力でできた場所、の、ようだった。
おそらく、人間の魔力ではない。
しかし、魔物特有の敵意に殺気、呪いのような気配も一切感じない。
この場所に、捕らえられたのだろうか。
「ここには僕たちだけみたいだね。レフとカーラが飛ばされたあと、沼地全体が光ってね。僕がここに来た時には、レフはもう意識がなくて。バラバラに、飛ばされたのかな。カーラの気配を、辿れるかい?」
目を閉じて、カーラの魔力を探知するレフ。
どんなところにいても、見つける自信があった。
カーラの魔力は、カーラそのものだ。
あったかくて、優しくて、何色にも光る。
「ーーーーん、いる。いっぱい壁があって、ぐるぐる曲がってて、迷路みたい。一直線には行けないけど、ちゃんとカーラに繋がってる」
でも、かなり回り道だよーーと言おうとしたレフは、コランの不敵な笑みにビクッとした。
この王子、こんな顔もするのか。
美形なだけあって、迫力が増す。
きっとカーラの前ではしないのだろうなと、レフは思う。
「レフ。壁は僕が何とかする。カーラの場所を、最短距離で教えて」
「え、でも」
コランが戦っているところは、見たことがない。
強いという話も、知らない。
申し訳ないけど、強い魔力も感じない。
そもそも魔力が足りないせいで、記憶を失ったのだしーー。
不安しかないと、顔に書いてあったのだろう。
レフの顔をみて、コランは苦笑する。
「信用ないなぁ。大丈夫だよ。ほら、騙されたと思って」
ほらほら、と促されて、渋々、前足を右の壁に向ける。
「こっちーー」
「わかった、ちょっと僕の後ろに下がってね」
(コランって、気を抜いてる時は「僕」って言うよなぁ)
レフにはけっこう気を許しているのだろうか。
まぁ、悪い気はしない。
レフがコランの後ろに避難すると、コランは壁に手を向けて目を閉じた。
「僕は、自前の魔力は少ないんだけどね。意識せずとも、他人の魔力を吸ってしまう体質らしくてね。それを逆手にとって、魔力でできたものを壊すのは、得意なんだ」
ああ、全身の毛が逆立って、ピリピリする。
コランに近づいたときのピリッとする感じ、あれだ。
あれの、強いやつ。
レフは居心地が悪くて、もう少し、コランと距離を取った。
コランの右手が光る。
まるで濃い霧が晴れるように、さぁっと壁に穴が空いた。
「わぁ!」
こんな魔法は初めてみたレフ。
キョロキョロしながら穴に近づく。
ピリつく感覚は、もう消えていた。
穴を通って、先に進んでみる。
壁の向こうにも、同じような道があった。
そして向こうの壁にも、穴が空いている。
その先も、何重にも穴が空いていた。
ふたつめ、みっつめと進むごとに、穴のサイズは小さくなっていたけれど。
いつつめの壁までは、コランの長身でも、身をかがめれば何とかくぐることができた。
「すっごいじゃん! やるじゃん!」
コランの肩にのって、しっぽで背中をバシバシたたく。
琥珀狐流、最大級の賞賛のつもりだ。
「ありがとう。僕も、意外と使えるだろう?」
「うん。今日だけは、ドヤ顔を許してあげよう」
「ドヤ……?」
「あ、自慢して良いよってこと」
レフの魔法では威力がありすぎて、洞窟の中ではどんな二次災害が起こるかわからない。
転移魔法も、レフの場合、着地点をイメージできないと、使えない。
レフだけだったら、カーラの場所がわかったところで、迷路を地道に進むしかなかった。
(うん、心強い)
レフは、目の前の王子を心底見直したのだった。
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もうしばらく続きます。
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