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第25話 信頼


カーラ 公爵令嬢 銀髪に翠の瞳

レフ  転生者 琥珀狐 カーラの相棒

コラン カーラの想い人(両想い)


ロナルド(ロニー) カーラの兄

シーミオ カーラの母

ロイル  カーラの父


ジャスミン 町の料理店の店主

ケイト   転移者 ジャスミンの店の店員

プラシノ  風の精霊

「大丈夫、ふたりとも? 怪我はない?」


 結界の中に戻ったふたりに、カーラがかけ寄る。

 純粋にふたりの心配だけをしているようだ。


「なんともねーです。つか、この惨状をみてもまだ心配かよ……」


「ん?」


「い、いや、独り言っす。皆無事でよかったっす」


 言葉を濁す。


(あ、忖度した)


(黙っとけ狐)


「ふふん。カーラにとって、私はいつまでも可愛い子狐なのだよ」


 得意げに胸を張るレフをみて、脱力するプラシノ。


「この狐にこの飼い主あり、かー……」


(おおい、聞こえてるよー。プラシノくん。ま、否定はしないけれどもね)

(へいへい。……あ)


 はっと気づいたように、プラシノがカーラの顔近くに飛ぶ。


「あ、つか、すんません。お嬢。レフと魔力同調させるのはじめてだったんで、思ったより威力でちゃって。地面、ほっちゃいました」


 不可抗力とはいえ、スマラグドス家の領地の一部を吹っ飛ばしてしまったのだ。

 謝りながら、プラシノは頭を下げた。


 カーラは、まぁ、と目を見開いてから、にこりと微笑む。

 そんな事、と、首を振った。


「そんな事は気にしないで! 私が、すぐになおすわ」


 ころころと笑いながら、これくらいなんでもないわとカーラは言う。

 そして、土魔法で穴をすべて埋めてしまった。


「あ、じゃあ私もぉ」


 どこから現れたのか、シーミオが言った。

 白銀色の薄布が幾重にも重ねられたドレスを身にまとっている。無数の小さな装飾が月の光を受けて天の川のように煌めく。

 このドレスをこんなにも美しく妖艶に着こなせる人間は、きっと少ない。

 プラシノがぼーっと見蕩れていると、またしてもとんでもない事が起こった。


 シーミオが、白い手を優雅にかざして、木魔法を発動する。

 数秒もたてば、草が生え花が咲き、戦いの痕跡など残っていない。


「化け物ばっかじゃねぇか」


 プラシノは頰を引き攣らせて、ドン引きする。

 一瞬で頭が冷えた。


「かっこいいでしょう、カーラもママも!」


 レフが嬉しそうに自慢している。能天気が過ぎるぞとプラシノは呆れた。


(おいおい、かっこいいどころじゃねぇよ)


 こんな大規模魔法を息をするように使う人間が、まだこの世にいたのか。


 精霊のプラシノでさえ、伝説で聞くような規模の魔法だというのに。


 こんな力のある一族が王族に牙を剥いたら、国も獲れてしまうのではないか。


 それともプラシノが知らないだけで、王都にはこんな化け物がゴロゴロしているのだろうか。


「まっ、俺にゃ関係ないってか」


 そうだ、自分が悩む話ではない。


 切り替えが早いのは、プラシノの長所だった。


 自分が守るべきは、棲家の森と同胞のみ。


 人間の事は、人間に任せる。


 何より、この力の持ち主たちは、幸いにも敵ではない。

 信頼に足る者たちばかりなのだから。






「すごいな。騎士団の出番がなかったね」


 ロナルドがやってきた。

 屈託のない笑顔と賞賛に、プラシノが応える。


「おにーさんたちが、しっかり避難をさせてくれたから、俺たちが本気を出せたんだぜ」


「ふっ。ありがとうな」


(まぁ俺たちがいなくても、何とかしただろうけど)


 と、プラシノは推測する。


 カーラとシーミオによる、スマラグドス家の大規模魔法を見た後だ。


 きっとこのロナルドも、ナイトドラゴンくらいサクッとやっつけるのだろうなと、プラシノは思っている。


 しかし、と。

 カーラの肩の上で嬉しそうなレフを眺めながら、プラシノは口の端をあげて笑った。

 怒れるレフに、花を持たせてやれたのはよかったかなとも、思っている。


 友人として。


  




「ありがとう」


 次にやってきたのは、コランだった。


 王族のくせに、精霊にまで簡単に頭を下げる。


 目の前の優男。

 この王子の力量は、はたしてどの程度なのだろうか。


 カーラやその家族に比べたら、魔力はザコにしか見えないけれど。


 プラシノの不躾な値踏みする視線に、気づかない訳はないのに、王子は涼しい顔でにこりと笑う。


「本当に、助かったよ」


(読めねぇな。ま、おいおい)


「どういたしまして」


 そのうち、本気の王子を見ることもあるだろう。

 そう考えるくらいには、プラシノは、カーラやレフと交流を深める気になっていた。


 さて、と、コランはカーラに向き直る。


 その表情は恋人としてのそれではなく、王族としての威厳をまとっていた。


「カーラ。街道の安全を確認次第、お客様のお見送りが始まるとのことだよ。全てが片付いた後、部屋に訪ねても良いかい? よければ、君たちも一緒に。皆に話があるんだ」

読んでくださり、ありがとうございます。

ブックマーク、嬉しいです!

読んでくださる方が、ちゃんといるのだなと、実感できることがこんなにも嬉しい。

ここに書いてみるまで知りませんでした。


もうしばらく続きます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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