第14話 希望
カーラ 公爵令嬢
レフ 転生者 琥珀狐 カーラの相棒
ロナルド(ロニー) カーラの兄
シーミオ カーラの母
ロイル カーラの父
ジャスミン 町の料理店の店主
ケイト 転移者 ジャスミンの店の店員
?? 風の精霊
「いいわ、特別に許してあげる。でも罰を与えるわ。もう二度と、黙って姿を消さないこと!」
カーラは、優しくレフの頭を撫でてくれた。
「わかったわ」
よし、と破顔するカーラ。
レフを抱き上げて言う。
「お家に帰りましょう、レフ」
話は終わったといわんばかりのカーラの背中に、おずおずと声をかけるのは緑頭だ。
「えぇーーとぉ、俺もいるんですけどぉ」
「あ、レフに魔石をくれた精霊さんね? どうもありがとう! じゃあ、さようなら!」
「ちょちょちょ、ちょおまてーて!」
慌ててレフに向き直り、浮遊魔法で例の石像を運んできた。
「お前、レフっていうんだな。これ忘れてるし」
今度はカーラに向かって、会釈する。
なんでカーラ相手だと、目線の高さまで降りてくるのだろう。
本能的に、怒らしてはいけない血筋の娘だと、気づいているのだろうか。
「俺の名前は、プラシノっす。風の妖精やってます。趣味は旅人を迷わす事で……」
「お見合いかしら?」
「うるせぇよ狐」
「私はカーラ。よろしくね」
「やっぱり、噂のお嬢様っすか。俺の仕掛けた迷いトラップが、全然効いてないから。そうかなって。自信作だったんだけどな。まいったな」
「トラップ? あったかしら?」
「ねぇカーラ、ナチュラルに追い討ちかけるの、やめてあげて」
ふぅ、とため息をつくレフ。
「前から言ってるけどね、カーラは規格外なのよ」
「初めて言われたわ」
「そうだった。心の中で、言ってたんだった」
「あらぁ……」
スマラグドス家の皆とは、いろいろと膝を突き合わせて話した方が良いかもしれない。
「で! これなんすけど!」
毎度毎度、俺を忘れないでくれと、必死で声を張り上げるプラシノなのであった。
「長老たちから預かってたものっす。ここの人間の、領地っていうんすよね、そこのボスの娘さんがもし森に来たら、渡せって。10年前の忘れ物だって」
カーラの顔色が変わる。
「10年間…………あの時の…………でも、まさか」
戸惑い、期待、疑い。
カーラの気持ちが渦巻いているのが、表情でわかる。
10年前ということは、レフと、森で出会った頃のことか。
「ねぇ、プラシノくん。長老さまたちは、他に、何かおっしゃっていたの?」
心を落ち着かせるように、ゆっくりと噛み締めるように。
カーラは問う。
プラシノはピシッと背を伸ばして、長老たちの言葉を伝える。
「これは器、だって。魂の器。心と記憶を預かっているんだって」
あぁ、と嘆息するカーラ。
その瞳から、涙が溢れていた。
「ここに、あったのねーーーー」
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やっと。やっと。恋愛モードに入ってきます。
もうしばらく続きます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。




