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プロタゴニスト  作者: ASH
1/1

私は、ある人に特別な感情を抱いた。

しかし、その人は姉に特別な感情を抱いていた。

ちょっと鈍感な姉は、そんな私たちの気持ちに気づかず、違う人に恋をしてしまう。


なんてベタなドラマ的展開ではないか。


ただ現実は、そのドラマ的展開とちょっと異なる。

姉は違う人に恋をしないのだ。

間違わず、私の好きな人の気持ちに気付き、二人は相思相愛になる。


つまりこれは、

主人公(姉)を見守る、サブキャラ(妹)の話だ。





私、胡桃沢りくには好きな人がいた。

2歳年上の幼馴染で、姉の同級生である天城千遥だ。


小さい頃から姉に連れられて、二つ学年が上の幼馴染たちと遊んでいたため、

面倒見がよくムードメーカーでいつも私を楽しませてくれた千遥を、

好きになるのに時間はあまりかからなかった。

だがそれと同時に、いつも千遥ばかり目で追っていたから、

そんな彼が誰を見て、誰を想っているのかもすぐ見当がついた。


千遥のことが好き。

家族へ向けるそれでも、友達に向けるそれでもない、好きだ。

だがその気持ちに気付いた瞬間、私は同時に失恋したのだ。

誰よりも尊敬して大好きな姉のせいで。


姉の胡桃沢そらは、魅力的な人間だと思う。

愛嬌のある顔形に、性格はおしとやかに見えて天真爛漫。

何事にも一生懸命で、いつも輪の中心にいる敵を作らないタイプだ。

決して完全な優等生ではなかったが、勉強はかなりできた。

物怖じせず自分の意見をハキハキ話すタイプで、先生たちからの評価も高かった。

声が可愛らしく、歌うことが好きだった。

非の打ち所がないとはこのことである。


何をとっても平均的な私にとって、そんな姉は憧れの存在であった。

そうまさに、姉はドラマの主人公的人間なのだ。


だから、勝手にどこかで安心してしまっていた。

この先の結末を、勝手に想像してしまっていた。


私が思うドラマ的展開は、千遥が高校生になった時に終わりを告げた。

私の予想を反して、そらと千遥は恋人になってしまったのだ。

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