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第139話【能力の検証とギルドの依頼】

「――能力の検証をしませんか?」


 深い眠りから覚めた僕に覆いかぶさるようにリリスの顔が目の前に迫っていた。


「能力の検証?」


「ええ、昨日のあの状態で魔力注入が行えたのは紛れもなく事実ですので何か発動でき得る条件があるはずです。

 それを見つける事が能力を取り戻す近道になるはずです」


「昨日の事……」


 リリスにそう言われた僕は昨夜の事を順を追って思い出していた。


「――あの時は裸のリリスを抱きしめて……」


「きゃあーっっ!!

 そんな所は思い出さなくても良いから!

 その後よ、その後!」


 リリスが顔を真っ赤にしながら僕の記憶を消そうと必死に手を振った。


「そうなのか?

 でも実はそれが重要な鍵かもしれないぞ?」


 僕はいたって真面目に分析をしようと記憶を辿る。


「うーん。とりあえず裸で抱き合ってみれば良いのか?」


 僕がそう言って服を脱ごうとするとリリスは慌ててそれを止める。


「いや、待って。

 きっとそれは違うんじゃないかと思うわ。

 だって、ほら、それだとナオキが治療する女性と裸で抱き合わないといけないでしょ?

 それって倫理的にどうなのかなって思う訳よ。

 そんな事は女神様が許しても私が許さないわよ」


 リリスの表情が段々と険しくなるのを見て僕は慌てて服を着た。


「――こほん。えっとその後はリリスの背中に手を回した時に注入が始まった気がする……かな?」


「それですよきっと!

 今まで胸を触らないと出来なかった治療が背中から出来るようになったんですよ!

 ちょっと試してみませんか?」


 今度の案はすぐさま肯定されてリリスで試してみる事になった。


「じゃあいくよ?

 ――完全治癒(ヒール)


 僕はリリスの背中に手をあてて魔法を唱えたが魔力注入が始まらなかった。


「うーん。

 やっぱり胸同士をくっつけないと駄目なのかな?」


 リリスが恥ずかしそうにそう呟く。


「それは分からないけど、まだ安定してないだけかもしれないし、一度は使えたんだから何かの条件があるはずだよね。

 まだ焦る事はないからこれからゆっくりと試していけばいいさ」


 僕はリリスの頭を優しく撫でながら「気分転換に町に出てみよう」とデートに誘った。


   *   *   *


 町はいつものように活気のあふれた人達で賑わっていた。


「やっぱり温泉のある町って観光客が多くて活気があるわね。

 カルカルはどちらかというと職人の町のイメージが強いからね。

 あーあ。カルカルでも温泉が出ないかなぁ」


「僕は地理に詳しくないからはっきりとは言えないけれど、温泉って火山とかが近くに無いと無理なんじゃないかな?」


「はぁ……。

 やっぱりそうよね。

 なんか、魔法でドーンとかなったらいいのにね」


「ははは。魔法でドーンとかなったら家が吹っ飛びそうだよね。

 あっ!? なんかちょっと閃いたんだけど僕の治癒魔法って水とかにかける事って出来ないのかな?

 出来たらお手軽な治癒ポーションが簡単に作れ……それを入れたお風呂は回復の泉となり……」


「無理に決まってるでしょ!

 それにそんな事が出来たらそれこそ薬師の人が廃業してしまうじゃないの」


「あっ!

 ……それもそうだね。完全に忘れていたよ」


「――まあ、発想は面白いとは思うけれどね」


 僕達は町の屋台やお店をはしごしながらお互いに思いつく事を話した。


「――ふう。これといった確実な方法は見つからなかったけどリリスとこうしてゆっくりと町歩きを出来たのは凄く楽しかったよ」


 夕方まで散策をした僕達はもう一泊するために宿に戻り夕食のテーブルに着いた。


「――ところで、なぜ今日も居るのかな? ナナリーさん」


 ゆっくりと夕食を楽しむ横で当然のように同席をしてくる彼女に穏やかに質問をしてみた。


「お母様からの伝言があるのと私がナオキ様に会いたかったからです」


「ギルマスから伝言?」


 ナナリーの後半の言葉はスルーしてギルマスからの手紙を受け取った僕はその場で内容を確認する。


 それにはナナリーを領都まで送り届けて欲しいとの依頼が書かれていた。


「ナナリーさん。

 この手紙にはあなたを領都まで連れて行って欲しいとありますが間違いないですか?」


 僕はナナリーにそう質問をする。


「はい。領都の斡旋ギルドマスターのアルフおじさまにお母様からの手紙を渡して欲しいと言われいます」


「その手紙はギルド便で送ったら駄目なのかい?」


「なんでも私をアルフおじさまに会わせるのが目的のひとつだそうで私が行かないと意味がないそうなんです」


「いや、だが普通にギルドから馬車を出してもらえば……」


「効率の問題です。

 私だけのために馬車と護衛を雇うよりもナオキ様について行ったほうが「依頼料だけで無駄な経費がかからなくて助かるわ」とお母様が言ってました」


(あの人が考えそうな事だ……。

 連れて行ってあげたいのはやまやまだがリリスがなんと言うか……)


 僕は困った表情でリリスをチラリと見る。


「はぁ……。

 まあ領都ですし、5日もあれば着く距離ですから引き受けても良いのではないですか?

 アーリーギルドマスターにも恩を売れる事にもなりますから」


 予想外にリリスから許可の話が出たので僕は頷いてナナリーに説明をした。


「ナナリーさん。

 当然依頼書は持参しているんでしょ?

 まずはそれを書いて明日の朝一番にギルドへ持っていこう。

 集合に遅れたら皆に迷惑がかかるからね」


 僕の説明にナナリーは答えが分かっていたかのように


「あ、これは私が持って帰って手続きはしておきますので明日は時間どおりに集合場所で合流しましょう」


 と言って僕にサインを求めてにこりと笑うと書類を持って帰って行った。

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