作戦決行
ガサッガサッ
「よし、獲物が来たぞ。作戦決行だ」
翔たちは少し大きめの声で話し始める
「あの刀、なんだったんだろうね」
「絶対凄い刀やわ」
「我の主人はお前ではないとかいって6人とも持てなかったもんね」
「もうオーラがー凄かったー」
「あんなに凄い刀が目の前にあったのに使えないなんて悔しすぎる」
「翔じゃ無理よ。きっとあの刀を持てる人は真の勇者なのよ。あの刀でバサバサと魔物を斬るとかカッコよすぎて惚れるわ」
「くそー。今からまた洞窟に行って挑戦しようかな」
「まぁすぐ近くやからな。確かあっちやったかな」
「そうそう。でも翔、止めときなよ。さっきと何も変わってないんだし」
「そっか。あの刀使えたら最高なのにな」
ガサガサガサ
ドテッ
ドタドタドタドタ
・・・
・・・
「行った?」
「行ったな」
「絶対行ったー」
「全員棒読みだしバレると思ってヒヤヒヤしたわよ」
〜洞窟内〜
「これがアイツらが話していた刀か」
その刀を取ろうと握る
「我の名はザッソードなり。其方を我の主人と認める。力を授けよう」
「よし!よしよしよし!さすが俺様!アイツらの悔しがる顔が目に浮かぶぜ!そしてこれで水守さんも俺のものだ!」
刀を持ちニヤけながら洞窟内から立ち去る
〜拠点〜
「そろそろ帰ってくる頃だな」
「これで水守さんは俺のものだーとか言ってそうだね」
「やめてよ。うわっ、寒気してきた」
6人で今後の展開を楽しみにしつつ会話をしている所に彼は現れる
「おいお前ら!よくも散々馬鹿にしやがったな!これを見ろ!」
「そ、そ、その刀は!?どうしてお前が持っているんだ!」
「この刀の名はザッソード!この俺、ザーピ様を主人と認めたんだよ!」
「「「「「「ななななんだってー!」」」」」」
「このザッソードから俺に凄い力が流れこんでくるのを感じるぜ!ザッソードさえあれば俺は誰にも負けない!」
肩を震わせ俯く6人
「肩なんか震わせてどうした?悔しいのか?俺様にビビってるのか?」
「あ、はい。ザーピさんぱねぇっす。勝てねぇっす」
ちょっと面倒くさくなってきた翔
「負けを認めるか。でもダメだ。お前だけは許さない。かかってこい。水守さん、見てて下さい」
ザーピはザッソードを構える
面倒くさそうに剣を構える翔
「何だその顔は!負けて本気じゃなかったとか言い訳するなよ!」
ザッソードを翔に向かって振り下ろす
ヒョロヒョロヒョロヒョロ
肩を震わす5人
翔はザッソードが壊れないよう慎重に受け流す
「うわっ!凄い力だ!」
「まだまだ本気はこれからだぞ!」
ヒョロヒョロヒョロヒョロ
ヒョロヒョロヒョロヒョロ
翔はザッソードを潰さない為にヒョイヒョイと躱す
「すばしっこい奴め!」
「主人・・・距離をとり、魔力を我に溜め込んで薙ぎ払え」
「ザッソード!?」
ザッソードに言われた通りに距離をとり、居合いのような構えで魔力を溜めていく
キュイィィィィンと音をだすザッソード
音が途切れザーピが叫び薙ぎ払う
「くらえ!水守さんに捧げる!ザーピストライク!!」
ザッソードから放たれたのは
「月に照らされた川が綺麗ですね」
・・・
・・・
「はっ??えっ?えっ?はぁ?」
「ぷっ」
混乱するザーピ
笑いを堪える翔
「魔力が足りなかったんだな!もう一度だ!」
構えて魔力を溜めるザーピ
ザッソードはまたキュイィィィィンと音を出した後に静かになる
「今度こそ水守さんに捧げる!ザーピストライク!!」
先程よりも力を込めるザーピ
ザッソードからまたしてもあの言葉が解き放たれる
「月に照らされた川が綺麗ですね」
・・・
・・・
「ぶっ、ぶははははは!もう無理!」
「「「「「あはははははは」」」」」
「なっ!?何がどうなってやがる!」
「いやー、ザーピさんには勝てねぇっすわー!」
そう言い持っている剣でザッソードをバラバラにする
「あぁぁ!俺のザッソードがぁぁぁ!」
「ザーピの旦那。ここにもザッソードがありますよ」
創太が新たに作ったザッソードを渡す
「おぉ!ありがとう!これさえ有れば・・・ってもう騙されるか!」
「「「「「「うはははははは」」」」」」
「ノリツッコミとはなかなかやるやん」
「さすがザーピさん!ザッソードがあれば無敵ですね」
「水守さんにー捧げるーザーピーストライクー」
「「「「「ぶはははははは」」」」」
「クソが!Eクラスのくせに!Aクラスの俺にちょっかい掛けやがって!2度と俺に関わるな!」
「じゃあ私にも関わらないでね」
「ちくしょー!」
優華の冷たい一言で更に傷口が広がりザーピはフラフラと立ち去る
こうして翔によるザッソード大作戦は大成功に終わり6人はこの後も盛り上がり痙攣するほど笑い明かすのであった