表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

事故


猫が好きだ。

 のんびりとしているのに優雅かつ機敏に動きをし、柔軟性を携えた体に柔らかな毛を纏うその手触りは、何とも云いがたい唯一無二存在。





――― 幸せだ。




 猫を触っている時が一番癒される。

 例え、新卒から3年間身を粉にして働いた会社をクビになったとしても。例え、高校の入学式に猛アプローチを受け、7年近く付き合ってた彼氏が同棲している部屋に堂々と女を連れ込み、あげく私をセフレの扱いしてきたとしても。


 それでも。それでも、それでもそれでも。猫ちゃんさえいれば...―――






「みゃっ!!」



「なんでっ急に走り出すの!?」


「そんな自由奔放なところも好きだけど!!」


「だけどそっちは道路でっあ゛ぁ!!!」






 ――― っキキーッ ――― ドッンっっ






 なんというお決まりのパターン。

 突然飛び出した白猫のみゃちゃん(私が勝手に呼んでいるだけ)を追いかけて、同じく道路に飛び出してしまった私は、呆気なく轢かれた。






「みゃぁ...」






 霞む視界と遠のく意識中、みゃちゃんの声が聞こえる。






――― あぁ、私は死ぬのね。






 そう分るのに、時間が掛からなかったのは、きっと当の昔に覚悟なんてものが決まっていたから。


 




――― 無事でよかったわ。






 声は出なかった。

 だから、私は精一杯手を伸ばし、ふわりとした大好きなアナタに触れる。

 

 アナタは、何度も何度も鳴きながら擦り寄よってきてくれ、私の頬には冷たい雫が流れた。






「...ありが、とう」






 私の意識はそこで途絶えた。―――


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ