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世間一般のクリスマス

「青葉は何歳までサンタを信じてたんだ?」

「ん~もしかしたらはあるじゃん」

「えっ?何々、今も信じちゃってる口?」

「親父がさ」

親父こと花信風(くわしんぷう)幸洋。

「クリスマスになると、ソワソワするんだよね」

「それはさ、やっぱり息子がいるわけだし」

「見ればわかるんだけどもさ」

ガチャ

「メリークリスマス!」

そこに自分の師匠がやってきた。

「メリークリスマス、先生…なんですか?それ」

「今年一年、どう腕を磨いてきたか、問われる日だから」

「どういうことか、お前、顔に出てるよ」

「いやいや、先生に、青葉、サンタはですね」

「じゃあ、夜まで張り込みするといいよ、親父と一緒に」

「なんだよ、それ、誰か訪ねてくるのか?」

「俺は寝るけどもね、たぶんその意味は見たらわかると思うよ」

さすがに何もないだろうと思い、先生と一緒に夜を過ごすと。

「そろそろ私語を慎んで、最低限の会話にしたほうがいい時間だね」

「おやすみ」

「青葉、おやすみ」

「おやすみ」

息子はさっさと部屋に行く。

気温はどんどん下がっていくなかで、幸洋は神経質になってるようだ。

(珍しいな、先生ってこういうタイプではないというのに)

幸洋のいつもは見せぬ顔を見ても、そういうこともあるだろうなって思っていたのだが…そこで意識は途切れた。

「おはよう」

青葉の声で目が覚める。

ここは客間であり、寝落ちしてしまったようだ。

(あれ?昨日、何があった?)

浮かれたからあんまり覚えてないな、いや、そもそも俺はなんでクリスマスイブに先生の家に泊まってるんだっけ?

上着を見ると、そこにはプレゼントの箱があった。

(メリークリスマス?)

誰がくれたものだろうか?

謎に翻弄されている友人を見ながら。

(これは一度は通る道だからな)

青葉もその昔、父と一緒に起きていたことがあるのだが、結局何が起きているのかまでは今も知らないままだ。

(プレゼントも不思議がってあけないと、いつの間にか消えているんだよね)

そして消えたことを父親に話すと。

「ああ、それはね、形を変えて青葉はもらったんだよ」

なんて教えてくれるのだ。

「消える?」

「そうだよ、青葉が何か怪我しそうになったりすると代わりになってくれたりするし、役目を終えたプレゼントは消えちゃうんだ」

どう考えても、世間一般のクリスマスではないのである。

いわゆるそんな話聞いたことがないんだけどもっていうやつだ。

(害はないだろうが、知るとたぶんとんでもないから、見ないことにしているって決めたんだけども)

たぶんそれで正解なんだろうなと青葉は思っているし、なんなのかたぶん父は何か知ってる。聞けば教えてくれるかもしれないし、はぐらかすかもしれない。

そのぐらい触れるのも覚悟がいる、そこだけはわかった。

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