一口で甘露
「不健康なことをすると、先生がどこからか現れて、追いかけてくるような気がするんですよ」
「はっはっ、それはおもしろいね、いいね、今度からはそうしようか」
「そして、先生、今までの不健康をここに謝罪したいと思います」
「今日の朝食は何を食べたかね?」
「はい、もちろん、栄養のバランスはよく、そして、私がはじめてここにやってきたときに、愚かなことに先生に寝てない自慢を聞かせてしまいました、それをお許しください」
「そうだね、なかなかだよ、今日は○時間しか寝てないとか、私の前で自慢するのは」
常連客ならばこいつは何をいっているんだ、花信風幸洋に対して、とんでもないことを口にしていうことがわかってないのか?ああ、なんてかわいそうな、先生、遠慮なくやっちゃってください、あっ、この人スタンダートコースなんですか?オプションは払いますから、どうかこの人に先生の素晴らしさを!
じゃあ、俺は頭皮揉みオプション分を持つ!
とかいって、常連たちをがこの寝てない自慢に追加料金払ったのである。
「あの時、先輩たちがそういうことをしてくれなかったらって思うと、今の私はいなかったかもしれませんね」
まずは体内を動かすための水を飲むことになるが…
(あれ?水ってこんなに旨かったかな?)
この水は幸洋が買い物しているコーヒー専門店のマスターが教えてくれた、名水をろ過したものであり、一口で甘露であることがわかるほどの味をしている。
故に…
ギュル
胃もその旨さで動く。
「ん~体の強ばりもあるね、寝てる場所も適当じゃないかね、これは」
「そうですね」
「それは質がいい睡眠をとれてないね!」
室内の快適な気温で、開きゆく毛穴、そんな中、間接技のようなものを幸洋にかけられていく。
流れるようにかけていく技はまさに芸術。
「特に後ろで腕を交差したあれですね、思わずうわぁ!なんて声が出てしまいましたが、今では笑い話ですよ」
そこで腰も伸ばされ、技がかけ終わったとき、ホッとしたというか、あれ?体がビックリするほど軽いぞ、んでもってなんか落ち着いてない?最近イライラしてたのに、ちょっと眠いな。
「少しゆっくり眠るといい」
「そうします」
この後、そうしたら世界はいい方に変わってるよ、とまでいったのだが、そこは聞こえてなかったようだ。
「あれでものの見えかたが違って、次の日仕事いってたら、なんでこんなにパンパンにスケジュールつめていたのかな?って見直しを冷静にして、次に仕事をしたかった人に連絡してましたね、その人は体を気遣ってくれた、その人なんですよ、楓に行け!ってすすめたの、付き合いもあるしなって思ってここに来ましたが、やっぱり仕事できる人はおすすめアドバイスは人生変えるもんですね、先生のおかげで幸せになりました、ありがとうございます」
こんなことを言われてあるからこそ、言葉だけ聞いた人の中には、あそこはなんか危ないんじゃないの?と思っている人はいるようだが…
そんなことないよ!




