遠慮~健康処楓2~
岩彰はぐったりしている。
「おっ、どうした?」
先日マッサージをしてくれた同級生が話しかけてきた。
「そこの椅子が堅くて」
「あっ、これか」
そういって椅子をさわった。
「これなら長く座っていたら、しんどいかな」
「なんか肩も辛い」
「どのぐらいだよ」
「悪霊が乗っているぐらい痛い」
「悪霊w」
大ウケした。
「どうする?今日は楓に行くつもりだけど、来るか?」
「お願いするわ」
楓とは健康処 楓であり、この同級生虎児が修行しているお店である。
美しい変化という楓の花言葉から、店名は来ているというこの店を覆うように、敷地内にある楓の銘木が濃い影を作っていた。
「オオオオオオオオ」
家の奥から悲鳴が聞こえてきてました。
「意外になれるだろう」
「そうね」
「あっ、いらっしゃい」
玄関先でスーツ姿の男性が、先生に捕まり。
「膝がね、悪いよね」
そこで膝の裏にあるツボをぐい
「アアアアア」
「ああ、いらっしゃい、岩彰さん、準備はできるよ、虎児」
「この店は腕はいいから、お客さんは一定数いるんだけども、先生はこんな調子だからな、教わるやつがすぐにやめるんだわ」
「でも虎児くんは、才能あるんじゃない?この間受けたあと、ぐっすり眠れたし」
そこで微笑みを浮かべるものだから。
「虎児、お湯が冷める」
「ああ、わかってるよ」
「さあ、どうぞ」
リクライニングシートを勧められる。
「じゃあ、悪霊を退治しなきゃな」
「悪霊?それはシネマコズミックの隣に、カレー屋さんあるから、そこの今村さんに頼みなよ」
「例えだから、これ」
「あっ、そうなの、今村さんは県で三本の指に入る凄腕だから、悪霊だったら、うちじゃなくて、今度からそっちね」
「情報が多くて、何から突っ込みすればいいのかわからないわよ」
「ここか」
油断した。
虎児が岩彰の頭の真ん中より右ををぐいっと押した。
「あっ、ツンツンくる、ヒャー」
「やっぱり効いたか、左肩がおかしかったもんな」
かばうように反対側がこっていた。
「アレルギーは事前に聞いていたが、椿もオリーブも大丈夫と」
「はい、じゃあ、これ」
息子さんが持ってきたパッケージを見て。
「それものすごく高いやつじゃん」
高品質のために普段使う値段ではないヘアオイルであった。
何しろ100年椿を栽培してきたところの油と、ローマ時代からオリーブを扱っていブランドのものを両方贅沢に使ったものである。
オイルで服が汚れないように、タオルを巻いた。
「頭をマッサージをするときは?」
「ピアニッシモで」
「はい、じゃあ始めてください」
こういうところに出る修行している感。
モミモミ
「痛くないですか?」
「気持ちいい、ほぐされている感じがする」
「さっきの椅子がここまできてんだよ、いつもはあの椅子には座らないよな?」
「うん、他がいっぱいだから、あいているところあそこしかなくてさ、普段座っているものじゃここまでにはならないじゃない」
掌で円をかくように、力か入りすぎないように。
「あ~そこそこ」
「いかがですか?お嬢様」
「余は満足じゃ」
「せっかくなんだから、お嬢様っぽく答えてくれよ」
「それもそうね、でもマッサージ師になったら繁盛しそうね」
「そうだろうがな…」
「あら?何か問題が?」
「先生って奥さんもゴットハンドなんだわ」
「それはすごいわね」
「でも女性のお客さんしか取らなくて、俺は奥さんからもマッサージを習っているんだけども」
男性のお客さんからは、なんで男性はダメなんだといわれるような腕の持ち主で、その人が男性の弟子をとり、筋がかなりいいらしい。
「だから予約受け付けになると、ほぼ男性からの客になるって言われている」
野太い声で虎児君をお願いしますになるともう予測されていた。
「あれ?息子さんは?」
「あいつはあいつで他のところから習っているんだよ、商店街にある腰痛のスペシャリストがいてな、そこで勉強してる」
「腰痛で悩む人は多いからね、でもそれはそれとして、女性のお客さんからも虎児くんは人気高いとは思うけどもね」
「なんでだ?」
「痛くないから、男性にやってもらうと、結構痛いのよ」
「お前、俺以外のやつにやらせたことあるのか!」
「虎児言い方!」
このお話はみんなが読める内容です。
「ギャァァァァァァ」
「あっ、さっきの人と違う声だ」
「あれは胃腸が悪いね」
「そんなのわかるのか」
「だいたいね」
楓には花言葉がある、美しい変化という意味を最初に浮かべると思うけども、他にもある、それは「遠慮」。
「私は不健康には遠慮はしないよ」
家に配達にきたところ、先生に消化不良の胃腸を見破られ、ゴリゴリ足つぼをかけらた。
この店ほど、遠慮という言葉が似合わない店も、おそらくない。