掌底による内臓のチャージ~健康処楓~
健康を愛する会は先生のご帰還をお待ちしております。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
そう見せかけて4の字固め。
人の悲鳴には不思議な力がある。
「自分のではなくても、人のを聞いてもストレス解消の力がある」
そして先生はこう続ける。
私は負けぬ、この悲鳴と共にあり続けると。
「ぅああわあ!」
「この家に引っ越す前に、住んでいた物件でさ、近所から苦情が来たんだよね」
一人息子はそう語る。
最初は注意が来たのだが、その後昼夜問わず悲鳴が聞こえるので、注意すらされなくなった。
「それは…」
「そう、恐れられていたんだと思う」
弟子でもある友人とそんな話をした。
「今日はお前んところの担任がくるんだろ?」
「ああ、でもさ」
健康的な人なので、幸洋にあまり恐れたりはしないのだ。
「そうでないと、担任は無理だろう」
その後担任がやってくるが。
(おっ)
(迷ってる迷ってる)
幸洋はどこから技をかけようか、隙を探すがなかなかない。
「これでどうだ!」
「うっ!」
「えっ?先生、不健康なところあったの?」
「大人の付き合いというものがあってな」
「それがなけりば、見抜くことは難しかっただろうね」
こちらでは健康的なギャグを本気で繰り広げられています。
「で、どうする?酒に負けないようにしちゃう」
「そんなことが出来るんですか?実はあまり酒は…付き合いは必要なのでいただいてますが」
「なるほど、肝機能良くしておこうか」
ゴゴゴゴゴゴ
不穏な空気、バトルでもこれから始まるようだ。
「青葉」
「あっ、はい」
「君の父上が最高の技をかけようとしているのだから、それに対して礼を欠くことは出来やしないよ」
「先生もそっちの住人だったの!」
ガッ!
もちろん健康な成人男子、どこから切り崩せばいいのかわからない。
「そいや!」
掌底による内臓のチャージが行われた。
「は、針がチクチクするような痛みがあるな」
「えっ?それだけで済むんですか?」
「そんなもんじゃないのか?」
「使い終わりの歯みがき粉になった気分だっていう人もいますよ」
「まずは体の中からいろんなものを出さなきゃね」
それが押し搾られる感覚になるらしい。
「あーーーーーーーーー!」
「いい呼吸のためにも、先に吐き出しなさい」
そういわれ、出るだけ体から出され。
「ケホッ」
そんな咳を一つだしてから動かなくなる。
「死ぬ死ぬ死ぬ」
「大袈裟だな、死ぬときはもっと痛くないよ」
ポンと肩を叩きながらいうのだ。
「ギャー」
本能的になんかもう地獄からの使者を恐れたという。




