アンスリウムレザー~健康処楓~
需要と言うのはどこにあるのか、いや、むしろ当初の想定というのは当たらないものである。
みっちゃんの店、健康処楓の理美容のサービスにはそうやって先にお客さんがいたからこそ、生れたてものがあって、本日もそのお客さんが来ていた。
「あれ、モミーズはいないんですか?」
モミーズというのは、初代モミーの花信風青葉と二代目モミーの虎児謳歌のことである。
「太陽神麺に行くって、だから俺の分もテイクアウト頼んでる」
「この暑さで?」
外は32℃、本日はまだ上がると言う。
さっきから楓の事情に詳しそうな客は誰かと言うと、虎児と岩彰ゆすらと同級生で、青葉とも元同級生でもある澄水である。
「髪は暑いんでちょっと短めに」
「眉は?」
「そうですね~」
などと話していた。
彼が頼んだのは、みっちゃんのお店ではやっていない、楓のみのサービスである、デート前の身だしなみとコーディネート、ワンポイントアイテム付きのもので、澄水はヘビーとまではつかないが、頻繁に利用してくれるお客さんである。
白いTシャツに黒い細身パンツで店にやって来たが、何種類か+したいアイテムを並べて、そこから選んでもらって、そこに髪などを合わせていくものだ。
今回澄水は薄青の七分のボタンシャツにした、今はそれを着て髪を軽くしてもらっている。
「そのシャツだと、家でも洗えるからおすすめ」
「すごいですね、糸が細いと洗濯機で洗えないこともあるのに」
フランス産のリネンを使ったシャツ、これだけで結構するだろうが、そこは楓クオリティである、予算はちょっと頑張れば出せる価格に抑えていた。
「はい、じゃあ、写真は撮影する?」
「お願いします」
そういってみっちゃん、ミツルは澄水に簡単なポーズを取らせて、澄水のスマホで撮影して、撮影したものを見せる。
「これでいい?」
「ありがとうございます!また来ます」
このサービスの始まりは、みっちゃんの元に来た、楓の近所に住んでいた少年である。
失恋した後に、みっちゃんの元に髪を切りにきた。
「デートってどうすればいいんですかね」
なんでもデートといって普段の格好で、いつもいっているラーメン屋などにつれていったところ、彼女にそれを不満といわれて、別れを切り出されたようだ。
そこで次は何とかしてあげるよといってミツルは、デート用の準備をしたという。
しかしミツルはスタイリングは作るのはうまいが、何種類もアイテムを用意するというのが苦手で、サービスとしてはあったものの、メニューとしてはあったが頼む人はそういなかった。
そこを変えたのはこのきっかけになった少年である。
失恋が彼を成長させたというか、大人になった彼が、このお手軽で何種類のアイテムを用意することを担当することになっていき、またみっちゃんの店だけではなく、楓の品物も彼が担当することでクオリティがおかしいといわれるまでになった。
「ミツルさん、いいレザー小物入りましたよ」
いいものが入るとこうして連絡が来る。
もうどのぐらいの予算ならば導入するかわかっているので、ほとんどその場で全部決まる。
「このメニューってさ、澄水くんぐらいの年齢の男子が対象だったんだけどもさ」
えっ?みっちゃんのスタイリングにアンスリウムレザーの小物来たんゾン?
髪切らなきゃなって思っていたから、頼もうかしラン!
+のアイテムの質があまりにもいいせいか、情報が入るとコレクターたちが息も荒く「アンスリウムレザーァァ、アンスリウムレザーァァ」と予約が入ったりするので、結構多く今回入れちゃったな、でもゆっくりと消化していけばいいやと思っても。
「ご予約ですか?はい、大丈夫です」
意外と早く消えたりする。




