帰った後お化けに会った話したっけ?~健康処楓~
太陽神麺というのは、八層市でもかなり人気なお店であって、こんなご時世でも行列を作るほどであり。
虎児謳歌と花信風青葉も並んでいた。
すると、行列の前にいたお客さん同士が話始めた事が、自然と二人の耳を引いた。
「この間さ、帰った後にお化けに会った話したっけ?」
「なんだよ、それ」
「本当だって、ほら、そういう話した後じゃん、やっぱりさ、そんなときって出るんだよ」
そこで両手でお化けのポーズをした。
「どんなのさ」
「なんか歩いてたら、いきなり『セイ!』って声と共に体が重く、なんかがさ、俺の背中におぶさっているの、そういう妖怪っていたじゃない、それだよ、それ、んでさ重くなっていくわ、締めてくるわ、俺膝ついちゃったんだ、もうダメだわって、そしたらフッと体が軽くなってさ、えっ?あれれって、立ち上がったら、肩まで軽くなっちゃったんで、やべぇ、俺妖怪に会ったんだわって」
「マジかよ、どの辺だよ」
「揺稲穂の交差点のところ」
「お次のお客様どうぞ!」
そこで順番が来たので、食券を買い、虎児は限定の『夏のイケ麺』青葉は定番の『ザクザク鳥白湯』を頼んだ。
「お待たせいたしました」
それでは先にいただいてしまいましょう!
『いただきます!』
「辛いのがうめぇ」
一口で汗が吹き出る辛さではあるが、ニラと黄身がまろやかにしてくれる。
「暑い中、よく熱いものいけるな?」
「この店に来るのはこのためさ」
ザクザクの部分は玉ねぎのみじん切りであり、これが鳥白湯をさっぱりとさせていた。
あっという間に食べ、他にお客さんいたのですぐに帰ることにした。
店を出て、一つ目の角を曲がると、人気はなくなる。
「…」
「…」
「さっきの話って先生だよな」
「おそらくね」
揺稲穂は、実梅が隣接しているので、それか花信風幸洋でなければ、本物の妖怪であろう。




