アビシニアオリジンミズナラ~健康処楓~
「ああいうポーズだけの連中が一番腹立つんじゃ、そんなにポーズが得意なら、ポージングにらめっこにでろや!!!!」
女性は怒りを込め、強力粉をこねていた。
「すいません、珈琲ができたので味を見てもらえませんか?」
ゆすらはそこにアイスコーヒーを持ってきた、可愛らしいグラスにカランと氷も浮かんでいる。
「あら、ごめんなさいね、…ああ、良くできてるわね」
(お仕事大変なんだな)
ここは実梅町の会館で、この女性は栄養の仕事についていた。
「木更くんも来てるから、ゆすらさんはピザが焼き上がったら、アイスコーヒーと一緒に楓に持っていってもらうわ、今日はお手伝いありがとうね」
先日健康を愛する会において、会員に対する配食の機会を増やすと言うことが決まり、場所を楓の近所であり、厨房がある会館と決まった。
会員は一食無料だが、それ以外のものでも格安で頼めるので。
「はい、ピザと珈琲、三人前、テイクアウトで、食器はどうしますか?食べたあと後で返しに来る、お返しの際は夕方までにお願いします、ご注文ありがとうございました」
注文の電話を受けているのは会長の木更、会長が率先して動くのは、彼は学生であるが、明らかに周囲が食えてないやつが増えたことである。
食べないと言うことで体に問題が起きる前に、行動を起こそうということで、このような企画となった。
お昼が近づくと、持ち帰りと会館内で食べるお客さんが増えていく。
トマトと茄子がたっぷりと乗ったピザが焼けるまでの時間、サービスで食べれる茹でたとうもろこしやキュウリの漬物をかじっているので、みな静かに待っていた。
「すいません、珈琲美味しかったんで、持ち帰りでもいただけますか?」
「持ち帰りは500ミリリットル一本、一人リットルまでですが、」
珈琲の評判も上々、何しろ六時間ぐらいかかって落としたものを使っている。
「青葉、お昼は会館でビザとアイスコーヒーにしようと思って、宅配してくれるって」
「豆は何?」
父の幸洋に聞くと。
「アビシニア(地名)オリジン(在来種)、(熟成)ミズナラ」
この言葉で興味をひいたらしく。
「お一人様どのぐらい買えるの?」
「一リットルまでだって、お父さんのぶん入れて、2リットル頼んじゃう?」
という会話が午前中にあった。
ガラガラガラ
昼頃遠くから何かが近づいてくる、そして家の前で止まった。
「ピザとコーヒーをお持ちしました」
「えっ?岩彰さん?」
まさか岩彰ゆすらが運んでくるとは思わないので、急いで青葉は荷物を預かった。
「岩彰さん、悪いね、麦茶いれるから、飲んでいって」
幸洋がゆすらに麦茶と茶菓子を用意している。
「あれ?飯来たの?」
その様子を覗きこんできたのは幸洋の弟子の虎児、風呂上がりなのかタオル巻いただけだ。
「虎児、着替えてから来いよ!」
青葉がキレて、虎児は急いで引っ込んだ、遠くから「やべぇ」って声が聞こえる。
「お風呂入ってたの?」
「ここに来る最中、エンゼルを、虎児の隣の家に住んでる猫、逃げたの捕まえて返して来たので、ネコ毛がついてたのさ」
お客さんでアレルギーの方がいるとまずいので、毛を掃除機でとり、着ていた服は洗濯、本人はそのまま風呂行き。
さっきの虎児は着替えをとるために、収納部屋に向かった帰りといったところか。
「あ~あそこ、服いっぱいだもんね」
なんでゆすらが知ったいるかというと、その部屋には老若男女サイズ別で衣服や下着が収納されているが、その収納を手伝ったからだ。
女性ものが来たとき、ちょうど青葉の母菊露がいなかった。
しかし急ぎて収納しなければいけなくて…
「岩彰さん、ちょっと頼めるかな」
と頼んだからである。
綿のシャツを広げても、ちょっと厚手のいいものであった。
近年この着替えの利用頻度もかなり高く、入れ換えの頻度もかなり早くなっている。
「~♪」
青葉はもうゆすらが持ってきたアビシニアオリジンミズナラ、それをたっぷりと楽しもうと準備をしていたが。
「俺、牛乳入れるから」
いきなり虎児が牛乳いれたため、青葉と喧嘩になった。




