俺とアデリタを信じろ
反応があると、とても嬉しい。
もうしょうがないわねって思って、続けて書くこともある。
「ミツルさん」
理美容師のミツルが楓にやってきたので。
「時間があるときに耳かきを頼みたいんですけど」
そう虎児謳歌が声をかけてきた。
「耳掃除もいいんだけどもさ」
「?」
ミツルことみっちゃんは虎児の髪をチラチラと見てる。
「謳歌くんさ、ワックスとか使う?」
「使いますよ」
「そうか、使うか」
みっちゃんは虎児の髪を見ても、ワックス材を使っているのか、一目ではわからなかったので聞いてみた。
「じゃあ、ヘッドスパだ」
「はっ?」
「したことない?」
「ないですね」
「大丈夫だ、俺とアデリタを信じろ」
アデリタとは洗髪台にある翼のマークが可愛いシャワーヘッドの名前である。
「お店とか大丈夫なんですか?」
「うちはほとんど常連客だし、そろそろ来るかなってお客さんについては、こちらから出向いた、今はその帰りだ!夏はね、毛根の脂をスッキリさせた方がいいと思うんだよね」
「そこまでいうなら、お願いします」
虎児がリクライニングシートに座り、ミツルはシャワーの調子をチェックしている。
ペンで手の甲に線を引いて、それをシャワーのお湯が当たるときれいに流れる、このペンは水性ではない。
アデリタは元々この洗髪台に付属しているものではない、介護用品を扱っている会社が出した新シリーズで、言葉の意味には翼がある、思いやりがあるというのがある。
シャワーのお湯だけでも汚れは落ちるのだが、汚れには止めをささなければならない。
シャンプーをチュー~と出して、しっかりを馴染ませると、ミツルの中でのってくる。
シャカシャカシャカ
リズミカルな音を立てて、一気に洗い上げる。負けず嫌いな虎児でさえ、シャンプーマッサージの腕については、完全なる敗北、白旗をあげる。
「おしまい!」
そのまま叫びそうなみっちゃんを横目に、青葉がお疲れとタオルを渡してきた。
「やっぱりミツルさんも先生の仲間か」
「何を今さら」
本当だね!




