洗うのも楽!乾くのも楽!起きてからも楽なのである。
「髪切っちゃったのか」
岩彰ゆすらが髪を切った感想は、本人にはいわず、虎児は青葉にこぼした。
「虎児は結構そういうのすぐにいっちゃう方だと思ったんだけども」
「さすがに言いにくい」
彼女は栄養失調を子供の頃に経験しているために、色々と体が脆い。髪も最近までシャンプーが合わずに大変だった話も聞いていた。
そんな彼女が髪が傷んだので切ったといった長さが、あまりにも短かったので虎児は言葉がなかった。
「フォローするようだけどもさ、シャンプーとかあっているから、今の髪の部分はいいわけ、一度痛んでしまうと戻らないんで、今回それを切ったわけ」
汗が彼女の髪にとどめをさしました、すれて、髪がこんがらがり、これは切った方がいいですね状態。
「全部悪いところ切るともっとになるから、今回はこの辺にしましょうって、みっちゃんがいってたじゃん」
「そうなんだけどもな」
みっちゃんというのは月に何回か楓のエステルームを借りて、カットの出張にきている理容師。
青葉の母である菊露のメインがホテルになっているため、エステルームの洗面台など、理容室にあるものがみんな揃っている上に、月に何回も使っていない状態だった際に。父から受け継いだお店のリフォームのために、町内会の建物で出張営業を始めていた時に、町内会の人間が幸洋さんこの人ね、いい人なんですよと話を持ってきたら。
「みっちゃんじゃん!」
見覚えがあった。幸洋はみっちゃんのパパりんである朔太郎さんにはお世話になりましたということで、みっちゃんの楓での出張営業を執り行うことになりました。
お店のリフォームが終わってからも、楓の近所住んでいるお客さんは掴んでいたので、このお客さんたちも大事にしたいなってことで、現在もみっちゃんの出張は続いている。
「でもさ、やっぱり理由が理由だからあいつも落ち込んでんじゃないか?」
と思ったら、楓に訪ねてきたゆすらが、幸洋先生から涼しそうだねっていわれたときに。
「このカットめちゃくちゃ楽ですもん」
そうなのだ、みっちゃんのカットはスタイルカットといい、普通はカットに+料金で受けれるものなのだが、これは洗うのも楽!乾くのも楽!起きてからも楽なのである。
「もうこの短さでいい気がする」
(いつもの方が可愛いと思うぞ)
(そういうのを口に出そうよ)
みっちゃんの現在の混み具合は、楓の玄関にあるホワイトボードか、お店のスケジュール配信で確認してね!




